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距離

貴方はいつもニコニコしていて、貴方の傍にいると心穏やかでいられる。

俺が笑ってたのは、君が傍にいてくれて嬉しかったから自然に。

俺が笑っていると君も笑顔を見せてくれてずっと幸せが続いてた。

何もしてなくてもこんなにも優しい気持ちになれるなんて初めて知ったんだ。


君の名前をたくさん呼んだ。

意味がなくてもあっても本当に本当にたくさん。

君は声が甘すぎて、ストレートかブラックが飲みたいと言っていた。

君の名前を呼びながら感情を伝えるのが愉しかった。

だって君は声にのせた感情さえも読んでくれるから。


誰がいても君の名前を呼ぶときは声が色付く。

いくらでも君に甘えたら受け入れてくれる。

君の前でリラックスするようになってから、だんだんと甘えるように変化していったし、甘やかしてくれた。

どんなことをしても君は俺を拒絶しなかったし、ドロリとした甘さになっても動じていなかったんだ。


これについても、もしかしなくとも読んでたの?

ドロ甘になることがみえたなら、多少のワガママくらい誤差だから何も言わなかった?


ゆっくりと君の言うように反応を見ながら何処までも甘くしたかったのを。

先に気付けていたなら、もっともっと早く君に人が変わったかのように甘えられたのに。

でも君から否なんて聞いてしまった日には俺の精神状態がどうなるかわからなかったんだ。

2人きりじゃない時は止めてって言われたけど、止められなくてごめん。

恥ずかしいって照れてる君がとても良くて、何度も言っていた訳じゃないよ。


◆◆◆


君は俺の声がとても好きだと言った。

貴方の声を聴きながら眠るのは癒されるからなのか、いい気分で眠れる。

そう言って君はよく寝落ちしたね。

半分眠りながらの君の声はいつもと違ってふわふわしていて優しかった。

傍にいたら髪を撫でて君を抱き締めたかった。

静かに寝息の聞こえる電話の先にいる君にいつも愛しさと寂しさを感じていたんだ。

だから、君が家にいるときは、君の傍をずっと離れたくなかった。

何処に行くにも俺がついてきて君はいやだった?


たまに君と相違があって一緒に入れる貴重な時間なのに少し離れている日もあった。

君はいつもと違うけどどうしたの?って誰か(あいつ)に聞かれて、


拗ねてるみたい。

いつもゼロ距離にいるから拗ねてる横顔もすっごく可愛い。

みて、写真撮ったのこれロック画面にしようかな。

あっ、笑ってる。

嬉しかったみたい?

短い拗ねタイムだったわ。


おいでよ?


こないの?


まだ耐えてるみたい、でも雰囲気が変わってるから時間の問題ね。

自分から離れた手前戻り辛いかも?

ふふ、いつもみたいに素直になればいいのに。

素直になれない貴方もたまには新鮮ね。


手を広げて首を傾げながら君は俺に聞こえるように言った。

俺は君の言動に誘われていつの間にか君を強く抱きしめていたんだ。


あいつはそんな俺たちをみてどんな顔をしていたのか、興味がなくて見ていなかったからわからない。


◆◆◆

君の理想の男性(ひと)になりたかった。

そうすれば君は俺から離れていかない?

理想と俺は相違が大きいらしく詳しくは教えてくれなかったし、理想と現実は違うのよと言ってた。

君は「そのままの貴方が好きだからそのままでいてね」とも言った。

凄く嬉しい言葉なのに、俺が俺のままでいたら、君は本当に離れていかないのか不安しかなかった。


君に(根拠のない)自信のある貴方が好きと言われたけど、君に関してだけは全く自信が持てない。

君の前では有るようにみせてたけど、何度も何度も好意を聞いてる俺の行動からバレていたはず。

節目に君に確認したら、もっとそれ以上の心が溢れ出ていたことを知って凄く恥ずかしかった。

表情や雰囲気から君は俺の心を読みすぎる……。

ポーカーフェイスのハズなのに、他の人から分かりやすいって言われたこと少ないのになぜだろうか?



いつからか俺が泣いた表情が君にとって感情を揺さぶることを知った。

数少ない月に会える日の内に数回は泣いていた。

別れ際は毎回。あと少し、あと少しって君といる時間を引き伸ばしてた。

いい大人が気持ち悪いと思うが、何をしてでも君を俺に惹きつけておきたかったんだ。


君は泣いてるより笑った表情のがもっと好きだからまたねをするときは笑って欲しいなと言っていた。

時折君は泣き笑いの俺にキスをくれた。

幸せで嬉しかったけど、その分帰った後がツライ。

一人になった部屋で君の名前を何度呼んだかわからない。


君がいる時に、態と泣いてワガママを言っても君は絆されてくれた。

後々、「泣いてるのはあざと可愛いから好き」と話しているのを聞いてしまって、隠せてなかった事を知ったよ。


◆◆◆


今日の君は俺の髪について話してた。

髪に触れながらこの時は……、あの時は……、と話したい事が尽きないみたいで俺について考えてる君が愛おしかった。

君を見ているだけで嬉しかった気持ちが戻ってきて幸せなのに、あの時の俺は君に触れるのを制限していたんだ。

君の傍を離れらないくらい近くにいるのに、これ以上触れたら、過剰過ぎて君に拒まれないか心配で。


起きたらダンジョンの安全地帯にいて、君のいる夢に行きたいと思った。

今なら制限なんて気にせずとも君は俺を拒絶などしないことが分かってるから、もっと触れておけばよかった。


下層の安全地帯は比較的空いている。

ここ迄来れる冒険者も中層に比べれば多くない。

態々俺に集る必要もないから、地上と違って静かで過ごしやすくていい。


ソロ派はあまりみないがいないことはない。

利益が個人のものになるから、技量さえあれば誰でもいける。

ただコミュニケーション能力があるならパーティーを組む方が安全面の不安は解消出来る。


君と居たときよりコミュニケーション能力は下がった。

誰かと関わるのが本当に煩わしい。

ふとした時に君のことを考えていられないのも面倒だ。


君はしなくていいなら、人と関わりたくないっていってたのを思い出した。

君は狭く深く派に見えないのにそっち側で。

俺は広く浅く派だったから。

君の狭く深くの中に入れて嬉しかった。

その中が俺だけになればなおいいのに、流石に言えなかったけどもしかしなくても君は解っていたりする?


やろうと思えば、コミュニケーションを取ることもできるが、メリットよりデメリットのが多いから躊躇している。

日々何をきっかけに君について思い出すのだろうか?

時系列でないことは確かだ。

出来るなら、君を見つけたあのときからもう一度繰り返したい。


◆◆◆


ダンジョン下層の宝箱からよく分からないものがここ2年くらいに数度出た。

多分高純度の魔石であるが、何か腑に落ちない。

これ一つだけしか入っていないなんて別の価値があるのだろうか?

色合いが綺麗なブルー系統なのも君に似合いそうだから魔道具のアクセサリーをまた作ろうかな。

過去出たのと合わせて5種で指輪、ピアス、ネックレス、ブレスレット、ヘアアクセにしよう。


魔道具製作アイテムを使用してだと魔力使用量が多く必要で、繊細な点は専門職と比べると劣る。

更に信頼できる店や職人ならばいいが、戻ってきたら似た別の石になっていることもありえる。

今回の探索が終わったら休養がてら隣の領へ行こう。

そこならば魔石が石に変わることはない。

自作も悪くないが、適性やセンスがないとやはり君にそぐわない。

この世界のセンスが君に似合うかは甚だ疑問だが。


それ以外にも宝箱からは高価そうなものが多少出たので、今回もいい稼ぎと言える。

時価が多いからそれっぽい傾向がある品が出たとしか判別はついてないが。


流石に査定で誤魔化されることもないので、そのシステムには感謝している。

ただ需要と供給がなければ利用価値のないものになるので、使い方と考え方次第だとは思うが。


その辺りの発想がここの住人達にはない。

地球の記憶がある俺が変なのだろうけど、

発想がないと発展も少ないってこういうことなのかと身をもって実感することになっている。


支配階級があると、どうしても制限や規制をして情報が下まで降りてこないからだろう。

売れないが、使い方次第では便利になるものについては、

家の防衛やソロでの狩りをよりやりやすくするために使っているからいい。


君だったらどうするかを考えるのが楽しい。

モンスターを斃しながら笑っていると言われたことがある。

そんな時は大抵君のことを考えていて、

君ならこの()をどうやって斃す?と頭に浮かべば、君が答えるであろう回答が君の声で再生される。


一緒にゲームをしているみたいで、君と居る時間がとても素晴らしい。

だから狩りが好きなのかもしれない。

いや、君が、君のことを考えていないなんて生きていくのが辛過ぎるからこの仕事は天職だと思う……しかない。


◆◆◆


君は俺の見目よりは、内面が好きで褒めることが多かった。

そこそこ悪くはないと思ってたけど、聞けばパーツ的にどこが好きかくらいは教えてくれた。


声は内面に入るのだろうか?

身体の一部だから外見?


今の声は前の声とは全く違う。

それでも君は俺を好きなってくれるのかな?

君への想いはずっと変わってない。

君の名前を呼ぶ声もきっと前のまま色付いてるはず。

感情が一緒ならきっと君は解ってくれるよね?


見目は洋風にはなったし、その分パーツもはっきりくっきりした。

虫どもが集る要因にもなっているようなので、ここでの評価は悪くないと思う。

日本人的には濃すぎるから、君は好ましく思わないかもしれない。


いや、洋画の俳優も好きだったから可能性はあるか!

君の好きな俳優に似てはいないから、好きな傾向かによるが、君の好みはよくわからなかったからやっぱりあって確かめるしかない。


第一印象で苦手にさえ思われなければいい。

君を見つけたらもう離せないし、俺に囚われてくれるはず。

無理でもそうする。


君に暗くて怖い感情を言語化することはあまりなかったけど、

心では何度も何度も考えていたから、きっと君は理解してて言わなかっただけだよね?


言って現実になってしまうのを恐れていた節が君にはある。

違う俺が見えてしまっても君は表現を濁したし、言いたくないと言って言わないことも多かった。


俺だって時々は見えるようになったけど、君ほどは見えなかったし。

君は俺が送信しているものを受信してるだけと話してくれたけど、そこについては違うと思ってる。


君はなぜこうなったかの推察も話してくれようとしたけど、

見る先で探った結果が微妙だったみたいで、貴方に話すといいことがないから言えないとしか答えをくれなかった。

きっと言ってしまった先の俺によくない事があったか、俺が君に何かをしたか、

なんにせよメリットがないなら知らない方が良かったから深く追及はしなかった。


見えてしまうことについての理解をするためには、その辺りについても情報として聞いておいた方が良かったのかもしれない。

君だけが考えた思考より、二人で考えた方が幅広い回答が出たかもしれないし。


そういうことをあの時考えて君にちゃんと言葉にして伝えられていたら、

もっと君は俺のことを考えてくれたのかもしれないし、二人のことについて俺が考えてるって理解してくれたかもしれない。


君が居ないとそうやって過去を反芻しつつ、もっと出来ることがあったような気がして考える。


君はよく俺が質問して、多分その時の俺に合った回答をくれてたんだ。

そして「分からないなら考えて? きっと今なら考えたらわかるから」って。


考えてって言われることが多かった。

でも君が傍にいて答えてを持っているのに、俺は考えたと思ってよぎった答えを出してたけど。

そうじゃなくて、もっと深く考えて考えて考えて欲しかったんだなって今なら解る。


あの時そこを理解していれば、もっと深く君に愛してもらえたのかもしれないと思うと、

あの時の自分をが恥ずかしくて、殴りたい。


そうだ、笑顔の練習をしないと。

君は俺の見目は多分どっちでもいいけど、笑顔が可愛い人が好きだったって言っていた。

俺のぎこちない笑顔が良かったらしいし、やっぱり君の好みはよくわからない。

でも一人鏡に向かって笑顔の練習を毎日することにした。


君は俺の作り笑いも読むし、本当に笑ってないと「やめたらそれ」と言われる。

相槌を打つのはいいけど、面白くもないのに笑うのが苦しそうだからって。


無理して笑うことのない、本当の笑顔を君だけに届けたい。


今すぐ会いたいけど、今の笑顔じゃまた今回もぎこちないって言われるのが目に見えてるから。

君に会うのを待って欲しいと思ったのは今日が初めてかもしれない。


ああ、でも、君に会いたいのは変わらない。

涙が止まらないのは、どうしてだろう?

君のサラサラと綺麗な音を奏でる髪を指で梳きたいし、ふわりと優しく香る匂いが好き。


どこかでバス用品についても販売していないか探そうと思った。


抱きしめて抱きしめて、一緒に眠りたい。

君の声を聴きながら、ゆっくりと撫でて欲しい。


こうやって君に会えず君の想い出に縋りながら生きていくんだろうか。


君を思い出せて嬉しいけど、辛い。

君が俺の家から帰ってしまった時よりももっと。

多分一瞬でも触れられていないし、会話もしてないから一層。


どんな形でもいい。

君に会いたい。触れたい。傍にいたい。

今度こそ君の言葉にちゃんと耳を傾けるから。


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