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迷宮


 隠し階層の攻略の進捗状況について、所持アクセサリーを4つにしても転移部屋に到達できた。

他の到達者たちの所持数は知らないが、アイテムバック内の所持品も該当することには気付いていた。君用のアクセサリーを俺が使用するのも変で身に着けてはいなかったから。


 そのため面倒だが、1つを家に置いてからの探索となった。最近は隠し階層の攻略に明け暮れていたので、売却出来ないものが増えていく一方だったが、出来れば今まで通りソロで狩りをしている体で居たかった。準備が整っていない今何かが起きても対処が出来ないし、それ以上にやりたいことが多すぎる。


 煩わしいことはしたくない。でも探索したアイテムの売却はそろそろしておかないと何か勘繰られても非常に困る。魔法契約で縛れるような世界観なら良かったがそんな甘くはない。魔法契約自体はあるが、所持属性よりもスキルのような別枠な気がする。魔法契約対応者自体が少なく、契約が対応者にもバレてしまう難点がある。口は固くとも感情を介する生物であれば、絶対はない。


 可能なら多種多様な人種と呼ばれるモノ以外の精霊種や別種を介した魔法契約だったらお願いしたかもしれない。


 そんな事情もあったので、通常ダンジョンの下層で狩りをしつつ、帰宅前にアイテム4つにした状態で転移部屋に行けるかどうかだけ試し、下層で収集したアイテムを売却することにした。隠し階層で格が上がったのか、身体の使い方が変化したのか、動きが良くなっているのを実感できた。以前の下層の上層より対応に時間がかからなくなったことと、下層探索が楽に感じたからだ。隠し階層で下層の下層ランクのモンスターと対峙していれば当然のことではあるのだが。


 以前下層の収集アイテムを売却していた量の3~5日分を1日で収集可能になった。宝箱はランダム要素が強いため、運はいい方ではあるが利益になったりならなかったり幅の格差がある。ドロップ品は一定量を貯まったら売却している方式をとっていたので、このところ売却していなくてもそこまで問題視されてはなさそうではあった。


 前回の慣らし期間中に通常ダンジョンの下層での狩結果を売却していたりするからだろうか。君のことを考えてぼーっとしていた時間も意味があったなんて嬉しい。


 通常ダンジョンの転移は、上層、中層、下層の行ったことがある地点まで行ける。ダンジョンにより階層の間隔は異なるが。現在のダンジョンは、比較的大型よりのダンジョンであり、転移は5階層刻みである。場所によっては、下層から2~3層ずつ刻みが減る場合もあるらしい。最下層まで到達して突破するとダンジョンが崩壊するパターンと、現状のままの場合の2種があるが、最下層まで到達できるダンジョン数がそれ程ないようだ。ダンジョンが崩壊すると、別の場所へとまたダンジョンが生まれると一説にはあるが、実際遭遇することは稀のようだ。


 ダンジョンからモンスターが溢れるスタンピードが起こる場合もあるが、基本ダンジョンは収入源となっており、到達は良くとも、突破は領主の意向によりけりで、許可されている領地は少ない。スタンピードは、探索者への締まりがあまりにも酷く無ければ寄り付かなくなることはないため、多少の人気差はあれど何処のダンジョンも一定数が探索してるようだ。


 その辺りの町おこし……収入につながる経営の話は、領主に任せるとして、税金が高くなければ探索者は減らないし、近辺の食事・花街・宿の状況がそこそこから上等であれば居つく者は増えるかもしれない。ただ食事に関しては、俺の意識とは結構かけ離れている。俺の感覚は周囲の探索者と違う。産まれの状況も多少加味されているかもしれないが、基本君との地球時代の記憶の影響が強いからだろう。


 自作で作れなくもないが、面倒だったので、リアムに文字の勉強に多少はなるかと思ってレシピ集を渡して作って貰うことにしている。レシピはこの時代ではとても価値のあるモノになるため、意識せず周囲に渡すとまた面倒なことが起きることをなんとなく知っていた。


 料理人はレシピをすぐ他人には渡さないし、渡すくらいならば、商業ギルドへ登録した方が利益になる。特許のような初回作成者への恩恵があるのはいいことではあるが、この件は地球人がいた形跡では? と思わずにはいられない。詮索するのも現在存命者の場合、関わらずに距離を取りたいため、そんな相手がいるかもしれないことだけ頭の片隅に入れておくことで放置している。


 リアムには元々見習いを守る契約上、雇い主から得られた情報を口外してはならないことになっている。ただ、雇い主が犯罪に加担している場合は別となるが、レシピ集に犯罪はない。口外のみでなく、文字のやり取りも契約内容に追加しておいた。リアムは多少の読み書きが出来るし、教えていく予定であったからだ。


 レシピ集を渡し、作り方の実践もしたので、その辺りの飲食店には負けないレベルの腕になったと思うが、俺としてはもう少し捻りのような、型にまらない抜け感が欲しいのは要求レベルが高すぎるのだろうか……。でもとがりすぎて何を結果としたかったのか不明確な創作料理を出されても困るので、当分はこのまま基礎をじっくりとしてこうと思っている。


 魔石屋の件はとりあえず行ってみた。高純度魔石は大きさがある訳ではないから気付いてなければいいなと思っていたけど、小粒魔石に紛れていたり、露天商が売っていたりと結構見かけ購入することが出来た。基本属性の場合はそのままの色合いで、複合属性の場合は色合いが濃い以外特に分かりやすい差がないため、多少値段が上がっている場合もあれば、一律の場合もあって面白かった。


 理由はどうしようかと思っていたが、日常的に工房での創作で魔石を使用していた。狩で集めた魔石は成果の半分を売り半分を収集していたが、創作物に一定量以上の魔石が必要な場合は魔石屋で購入していたから、いつも通り購入すれば変ではないことに気付いた。


 高純度魔石がアクセサリーに最適なくらい小さいのも良かった。小粒魔石と間違っていることも多くてこの町にある高純度魔石はほぼほぼ手に入れられた。所持者がいる赤・黄・橙も得れたが、橙に至っては3つは無理だったから別の領地で探したい。


◆◆◆


 君だったらこんな疑問が出て、こんな風に解決するのかなと思いながら出た疑問と回答だった。俺自身でこんな考えが浮かんでも行動できたか怪しい。まず考えが浮かぶかそこからかもしれないが。君の幻影が何か伝えたがっていたから必死で解読した結果だった。


 そんな検証やアイテム収集と隠し階層の収集をして、1年が経過した。

 リアムは正式に雇うことになって、料理の腕が本当に上がった。俺はとっくに超えてるかもしれないし、美味しい。バランスも考えてくれているし、見た目と味についても敏感であった。調味料やスパイスについてはダンジョンで採集出来る。下層以降での採集になるからオススメはしないし、公開したら最後それだけの採集が目的となりそうだから、採集場所は禁止区域と呼んでいる。


 下層探索者なら解っているだろうが、料理をしない探索者だと解らないのかもしれない。でも別の領地ではスパイスを獲得できる情報が昔から伝わっているから、可能性を考えてないのか、下層の禁止区域にたどり着けた者が少ないのかその辺は不明。

 

 分かっていない可能性が高いかもしれない? 下層の安全地帯で料理してる該当者って少ないからな。美味しくない食事を食べて日々何のために活動しているのだろう?


 俺は君の再現の為と、君に嫌われないために生きている。目標がある方が前よりは生きやすくなったが、食事も暴飲暴食にならないように、この世界の知識よりはバランスがいい生活をしてるが、食事のバランスがそこまでこの世界の状態から必要とされるのかは不明である。地球人と同じ生命活動量が必要なのかわからないし、それに魔法があるから何かが違っていないと違和感を感じる。


 分からないことと他者のことを考えている時間はない。数年はかかると思われた貯蓄は2年で結構な成果が得られた。幻影の君が教えてくれた宝箱が本当に利益を生んだ。徐々になら流してもいいかなと思えるようなアイテムだったので、少しずつ売却したんだ。


 出たのは高値取引されているアイテムバックが複数。容量の大きいものを上から数個自己用に使用して、それ以下のアイテムバックは金銭へとオークションに登録され、結構な金額になった。多少だけど流通がよくなってくれればいいな。


 次に高価な商品になったのは、蘇生薬よりは下位になるが、欠損回復薬の素材となる薬草が下層の下層で発見できたこと。採集だったら根こそぎすでに採られていてもおかしくないのだが、下層の下層を探索出来る実力者にそんなマナー違反をするものは少ないが。


 採集素材ではなく、ドロップ素材として一定数狩ると獲得出来ることに気付けた。例によって幻影の君がここで今日は狩をする姿勢を崩さないから従っただけなんだけど。金銭さえ君に頼ってるみたいな感覚になったけど、そんなこと(小さいこと)気にしてることが理解できないと君に言われてしまった。


 貴方のいいたいことは伝わってるけど、私達が一緒に狩をしているのだから利益になるものを見つけて狩りをして何がいけないの?? とのこと。その通りなんだけど、相変わらず君の勘は鋭いといってこの話を終了させた。このままいっても俺の多少ある、君には伝わらないプライドが粉々にされる気がしたから、回避しないと。


 薬草がモンスターからドロップって意味がわからないが、仕様だと思えばいいらしい。俺の使用属性的に狩りやすいモンスターではあるから、魔法の練習には最近はならなくなってきた。属性剣にしてたまには剣術で倒したらいいと君からお言葉をいただいたので、最近は剣術で倒している。


 下層(かそう)下層(げそう)なので、探索者に会うことは稀で、出現スポットが行き止まりの道の先にあるので、正直人に会ったことがない。俺には君と二人で居られるいい空間となる。モンスターはいるが、君は嬉々として倒してるし。それを見ながら別の方法で倒したり、同じ魔法で処理したりと様々。


 下層の上層の転移部屋で下層の下層レベルのモンスターランクだった。下層の下層の転移部屋も発見し、下層の下層より2段階上がった、最下層の中層くらいかな? 最下層に行ったことがないからわからないけど、下層からいく隠し階層のモンスターは侮れない。進捗率はまだ50%くらいかな。今到達してる層での状態になるから、更に下があればまた35&くらいになるのかも。


 下層の下層で、薬草ドロップが一定数量したら、下層の転移部屋へ行き、最下層の中層くらいのモンスターランクと相対する。そんな流れが最近は出来つつある。薬草ドロップの一定数が月を追うごとに増えてるが、売却量に変化は付けないことにしている。


 欠損回復薬の価格が下がってきて探索者の安全が増えるのはいいことだが、今後それだけを取りに行く作業になるのも困るから、一定量のみの取引を最初からしている。たまには俺だって考えたんだ。君が褒めてくれたから嬉しかった。


◆◆◆


 隠し階層の中で2年の成果としてあげるのならば、更なる隠し部屋から、転移部屋へ行けて、そこからの移動が出来たことだ。これは魔石を多種購入してたことが関係していると推察した。現在の領地のダンジョンでは濃い青の高純度魔石4つで隠し階層へ行けた。高純度魔石の産地が気になったが、時間とタイミングがなくて検証出来ていなかった。


 その件が解消された。幻影の君が更なる隠し部屋から宝箱を見つけ、特に利益にならいアイテムだったため、獲得を拒否する流れになった。アイテムバックに余裕はあるが、態々収集する必要あるか疑問のアイテムを持っているのも、ハズレと言っても過言ではないアイテムも時々あるため。今後アイテムバック内を整理する手間を削減したともいえる。


 更なる隠し部屋は安全地帯と同等のような場所も多いため、君はいつの間にか安全を確認して、休息することにしたようだった。君がここに留まるのに俺が傍に居ない訳がなく、君に誘導された結果が、見送った宝箱がドアに変化している不思議。


 ダンジョンマスターが監視していて宝箱のアイテムを変更したとしか思えない。イメージが出てきたけど、飲み込んで戦闘準備後、ドアを開けたらいつもとは壁の色が全く違う上下2色の転移部屋にたどり着いた。ここまできたなら、探索するしかないとそのまま転移したら、壁の上下2色が逆になっていたため、別の転移部屋に来たと理解。


 発見した更なる隠し部屋が、下層の上層からの隠し階層であったから、下層の下層くらいのモンスターランクで、最近は肩慣らし程度くらいの余裕があった。そのため、どこに転移したかよくわかってはいなかったが、逆壁色の転移部屋から更なる隠し部屋へ移動し、そこから周囲の状況を探る。


 出現モンスターが全く違う。これは3つ先の領の大型ダンジョンの分布に近しいものを感じ、隠し階層をでて、下層から中層と上がっていった。過去下層まで狩をしていたことがあるダンジョンと分布が同じすぎて、上がっている段階でほぼ確定の要素ばかりだった。大型ダンジョンすぎて探索者がひっきりなしに出入りするため、入出チェックなど行っていないダンジョンで助かった。


 町に出て、別領地まで転移したと確定。その足で魔石屋へ行き高純度魔石がないか小粒魔石を調べ、さらに昼間だったのもあり、露天商巡りをして高純度魔石を購入。それだけに目がい行かないように、別の魔石も多種購入していて、根切の一環として小粒魔石をつけるならなど条件をごちゃまぜにしてはいる。


 宿をとるか迷ったが、いい時間になったので、久しぶりに友人宅へ訪問。留守なことはわかっていたので、いつも通り地下部屋を本日間借りする。あまり人に見られるのは良くない。領地に入るのに門を通っていないから。ある意味不法侵入になるような気がする。


 ダンジョン下層で人に会う前に、その懸念に気付いたため、幻影魔法のようなアイテムで見目は変更済みで、姿隠しのアイテムでなるべく他者に見つからないように上層へと昇ってきた。正直転移部屋に行けば地上二出るのは早いとは思うが、誰かとかち合った時に姿隠ししていると違和感を感じられても困る。


 モンスター分布確認もしたかったので、確信出来る情報が集まった。友人宅地下でリアムが作った昼兼夕食を食べ、元々所持している高純度魔石の数が多いものを調べたら、緑と白が5つあった。この領地にある大型ダンジョンの隠し階層へのソロ挑戦者に、緑か白の5つを所持している者が居なかったから、此方に来れたのではないか?


 緑が風属性で、白は浄化や回復だろうか。俺は回復が苦手で浄化特化であると解っているから、回復はポーション頼りだ。回復も出来なくはないが魔力効率が悪い。ならば別の攻撃魔法に充てた方がよっぽど稼げる。ある程度探索者としてやっていけて、ポーションを獲得出来るからだが。


 そんなことが半年前に起こり、下層の中層の隠し階層からの更なる隠し部屋からの、色付壁転移部屋を見つけては、転移してみたりしているが、所持している高純度魔石の数なのか、対象転移先のダンジョンの所持者がすでにいるからなのか、転移出来ない部屋もあった。


 さらに驚いたのは、下層の中層の隠し階層から、見つけた先での転移が別の国だったこと。これは確実に不法入国になる。隣国であったから地上から帰ることもできなくはない距離である意味安心出来たけど、それ以上の問題が怖い。その件については考えないことにした。


 隣国とは同じ金銭でのやり取りが可能だったので、以前同様見目を変更し、商人に偽装して、魔石屋と露天商を回る。最近創作した魔道具を逆に売り魔石の使用は魔道具創作に必要な材料であるため、製作者との契約がある体で話をしたりした。


 せっかく隣国へ来たのでとどまろうか迷ったが、いったん帰宅し、戻れることを確認して通常ルーティーンをこなしていから、再度隣国へ。商人の肩書をどうしようかと思ったが、昔お忍びで遊び用に肩書を作ったギルドカードを使用することに。作ったのは友人だったから、きっと裏取引でもあったのだろう。


 せっかくなので隣国では別のドロップアイテムを仕入れたことにして売り払ったり、大型ダンジョンの隠し階層で出現分布やドロップ状況の情報収集をしたりと日々楽しみつつ、稼ぐことに集中した。


 



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