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本能寺の変

挿絵(By みてみん)


 時は、天正十年六月一日。ここは京都の本能寺。

 五月十七日に備中の羽柴秀吉より、毛利輝元が間もなく出陣する旨が知らされ出陣となった。

 信長公に仕える三十四名の近衛兵を引き連れてのことであった。

 私は、その一名として信長公とともに本能寺にいた。


 翌朝方、急襲を受けることとなった。

 いきなり本能寺に火矢が撃ち込まれてくるのだ。


 私は、急ぎ信長公の元へひた走る。

『主君をお助けせねば』

 只ただ必死であった。


 信長公の近くへたどり着くと、信長公は勇ましくも弓をもって対抗していた。

 その横には、森成利(蘭丸)殿がいた。


 信長公が、成利殿に問いかける。

「敵は誰か、わかるか?」


 成利殿の返事は、

「旗の紋は……桔梗。色は水色です」

 ここで言葉に詰まる。


『え? 水色の桔梗ならば、まさか! 彼が謀反を!?』

 私も閃いた。


「光秀!!」

 信長公は激しい気性丸出しで怒りに満ちていた。

 信長公も、しばらく自ら矢で反撃していた。


「私めが盾になりまする。信長公、成利殿とお逃げくださいませ!」

 そうお伝えし、私は前方に移動し矢で反撃を開始した。


「お主は?」


清州辰時(きよすたつとき)と申します。公の家臣でございます」

 そう公に答えた。


「うむ。忠義である」

 公は、そうお答えになった。


『どうみても多勢に無勢。これは負ける……』

 その間にも、火矢は本能寺にどんどん命中し、燃えていく。


「では、任せたぞ」

 信長公は、そういうと本能寺の中へと入っていった。

 成利殿も一緒にだ。


 私は先ほどまで信長公がいた外廊下に移動し、そこで矢を打ち続けた。

『信長公……中に入られたままだ。逃げることはなさらずご自害されるおつもりか』

 直観でわかった。


「それではわたくしめは、公に従います」

 私は死を決意した。


 矢で反撃するも敵が多すぎる……

 そうしているうちに背後の本能寺は炎に包まれていく。

 ちらりと背後を見たあと前に向き直ると、火矢が右わき腹に直撃した。

「うぉぉ」

『痛いというより熱い!』

 思わず声が出る。


「まだまだ、このまま死ねるか!」

 命の続く限りとと、できるだけの矢を打ち込んだ。

 必死に反撃していると本能寺が崩れだし私は生を全うした。


 死の間際、脳裏には婚約者である巫女の姿が浮かんだ。

『お静。お主を嫁に迎え幸せにする約束を守れなんだ……すまぬ』

 心の中で、婚姻の約束をした女性に別れを告げた。

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