統合しなさい
短いです。
精神的に辛い方・病んでいる方は閲覧をオススメしません。
内容は理解不明、及び最高に気分を害する場合がございますのでご了承ください。
学校への道。
重い足取りで歩いていく。
肩にかかった鞄が酷く重い。
無理やり胃へ流し込んだ食事の圧迫感にうめいた。
「はぁ……疲れた……」
少女はそう零す。
と、背後からポンと背中を叩かれる。
くるりと振り向くと明るい笑顔の友人。
「おはよ!××!」
「…うん、おはよ」
元気よく挨拶をする友人に上手く応えられない。
それでも、頑張って微笑んでみる。
「ん?なんか調子悪い?元気なくない?」
バレた。たった1度挨拶を交わしただけなのに。
昔から少女は感情が顔に出やすかった。
こんなにこの特質を恨んだことはない。
「あ…いや……ちょっと眠いだけ!」
「そう?昨日何時に寝たの〜?」
「……11時かな」
嘘だ。本当は全く眠れなかった。
「睡眠不足じゃないなら、疲れてるんじゃない?」
「かもね〜…課題に追われてたし……」
課題。昨日もちゃんとできなかった。
今朝、慌てて適当に解いた問題集。
多分全問不正解。
「あはは、課題ギリギリまでサボるからそうなるんだよ〜」
「だよねぇ〜。わかってるけど、なんかサボっちゃう!」
うるさいな。お前に何がわかるんだ。
やりたいけどやれないし。
ペンを持つと手が震えて止まらない。
椅子に座ると、すごく疲れる。
無気力で何にもしたくないの。分からないでしょ。
分かるわけないだろ!!!!!!!
「……×…、……×?……××!」
ハッとして瞬きすると、目の前のモヤが晴れる。
目の前には怪訝そうに眉をひそめる友人。
「××、大丈夫?」
「…………」
少女は本心なんて言えない。
弱虫で無気力でめんどくさがり。
それが少女の本当の姿だから。
本当の少女を知ったら、絶対に嫌われる。
そう。
明るくて、能天気で。
何を言っても笑い飛ばす。
少女はこの姿で満足なのだ。
「……やばぁ、ぼーっとしてた!眠すぎる〜…授業中寝るわ〜!」
「あはは!まーた先生に怒られるよ〜」
「別にいーもん。先生なんて怖くないし!」
「ちゃんと授業は聞いときなよ〜テストの時大変だよ」
知ってるし。毎回大変だよ。
お前のお説教なんかいらない。
どうせ人にお説教して、自分は真面目アピールしたいだけでしょ。
優等生ぶっちゃって。たいして勉強もできないくせに。
少女は無気力で怠惰なうえに他人も見下す。
なんて性格が悪いのだろう。
少女だって勉強ができないバカのくせに。
「………で、……なん……よ!……さ…、」
「……うん」
友人の話がまた分からなくなってきた。
どうでもいいと思ってしまう友人の話。
同級生の不祥事。先生の悪口。最近起きた事件。
どれもしょうもない。
少女は頭が悪くて友人の話を理解できないのである。
こんなバカと話すくらいなら、鶏と会話する方がマシだ。
友人の貴重な朝の時間が無駄に消耗されて申し訳ない。
「………ねぇ、××」
「ん、なぁに?」
突然、友人が歩をとめた。
何か気に触ることでも言ってしまったのだろうか。
弱虫な少女は焦りを感じる。
お願いだから嫌わないで。
本音がバレた?
違う。全部本心じゃない。
少女は弱虫で無気力で怠惰で愚かでどうしようもなくて。
そんな少女を可哀想と思ってくれる誰かがいないと。
あぁ、違う。そんなの少女ではない。
何を言いたいんだ。
分からない。
お願いだから嫌わないで。
「今日の3限目って、古典に変わったんだっけ?」
「……………ぁ…、そ、そうだよ!」
「………うーん…××に聞いても怪しいからなぁ。後でミチルにも聞いてみるか」
「なんでよ!私のことも信用してよね!」
良かった。
こいつはバカだからバレるわけないよね。
少女はまたバカな笑い方でその場を乗り切った。
相変わらずの気持ち悪い思考の持ち主である。
終
脳内の考えや感情をまとめる機能が十分に働かなくなる状態。
きっと彼等は気づけず、少女が自ら終わるのを見届けることになるでしょう。