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エピローグ 王太子殿下の想い人は?

 聞き取りが終わり、女官長を見送った書記官二人は、自分たちもそれまで滞在していた文官用の応接室を出て、自分たちの仕事場である書記官用の執務室へと足を向ける。


「これさぁ……、陛下や宰相閣下の元へ提出出来るように、まとめ直さないと駄目なんだろ?俺、出来る気しないんだが……」

「女官長話長いよな……王太子殿下の賛美も多いし、俺らに向けての説教も多いし……なんかそこら辺も削除すんな、書き込めって言われたよな」

「いやぁ、それ無理でしょ。考えるだけで頭痛いんだけど……」


 二人は、はぁっと同時にため息をついた。

 これから仕事場に戻って、報告書として読みやすいようにまとめなくてはいけない。

 どれ程時間が掛かるだろうと落ち込みながら歩いていると、庭園を散歩する護衛騎士を連れた王太子殿下の姿が見えた。

 その横には王女殿下とその護衛である女騎士の姿が見える。

 兄妹の微笑ましい散歩風景に思わず心を和ませて見ていると、少々立ち位置がおかしいことに気がついた。


「なぁ、王女殿下の護衛騎士ってさ……シーリア・ペシェント伯爵令嬢、だっけ」

「……あー、そうだな。第二騎士団長のご令嬢で、……今十七歳だっけ?」

「殿下よりはひとつ年上、と。でも許容範囲だよな」

「あー……そうね、そうだねぇ」


 家格は伯爵家、宮廷内で父親の地位が高く、領地運営も問題なくて財産家、王太子殿下よりも年が上と言ってもたったひとつ。

 成人した十五歳の頃から、王女殿下の護衛騎士として王宮に勤め、本人の王族からの評価も高い。昨年隣国へと嫁がれたエリザベス公爵令嬢も、姉のように慕っていた女騎士。

 当然、騎士団からの評判も高く、王女宮に勤める侍女たちが発足したと言うファンクラブまであるとかないとか。王妃付きの侍女すらそのファンクラブに入っていると言う噂があったことも思い出した。

 そんなシーリア嬢の性格は、気さくで朗らか、勤勉で凛々しく、勤務中は騎士服を身にまとい、王女殿下の後ろで静かに従っている。

 かと思えば、ご令嬢として参加する舞踏会では、華やかなドレスで上品にダンスを踊っていて、そのギャップで、更に多くのファンを勝ち取ったとか。


 お茶会には、王女殿下は頻繁に参加していた。シーリア嬢も、その都度護衛騎士として参加していたはずだ。

 だから王太子殿下の周りに侍ることもなければ会話することも殆ど無かっただろうけれど、それでもお茶会に参加していたことには変わりがない。

 婚約者候補を集めたお茶会、なるほどな、と二人は思った。


 ひとつ年上というのを気にしているのか、それとも王女殿下の護衛騎士と言う立場を気にしているのか、現状シーリア嬢はYesと言うのをためらっているらしい。

 しかし、推測するにシーリア嬢は王太子殿下のことを好ましいと思っているはずだ。

 昨年までは同程度の身長だった王太子殿下とシーリア嬢は、この一年で王太子殿下があっさり追い越した。成長期真っ只中の王太子殿下とは、今後はっきりと身長差がついてくるだろう。

 後ひと押しすればきっと了承してくれるはず。


 “王太子殿下頑張れ”と心の中で応援しながら、書記官二人は書記官用の執務室へ足を運んだのであった。


以上で完結となります。

ここまでお付き合いくださった猛者の方、ありがとうございました!


恋愛ジャンルに該当する話を書くんだぜ!と奮闘した内容です。

ただ、なぜか女官長が脳内に降臨なさいまして、このような結果になりました。


なんで降臨なさったのか、これがわからない。


「わたくしの記録を書きなさい!」


みたいな感じで一行目が脳内で点滅したのが悪い。

ご降臨される前は、普通に書く予定だったんです。本当に。


くどすぎて読んでくださる方がいらっしゃるのか謎なんですが、皆様の暇つぶしにでもなっていれば幸いです。


また、どこかでご縁がございましたら。

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