異世界へ
異世界へ
見たことのない建物、人、生き物。
少年は周りを見渡すと、近くに
人のような、トカゲのような男の会話を聞く。
(え!!?ど、どこだろう、ここ?)
少年は、トカゲのような男の
言葉が理解できていた。
店主「今日は、プリムフィッシュが
オススメですぜ!
脂がのって、たまらなく美味しいよ。」
トカゲの男「おう、ならプリムフィッシュ1匹いただこうか。」
少年(と、トカゲが喋ってる!?)
少年が立っているのはどうやら
お店が立ち並ぶ、
商店街の一つのようだった。
見たことのない風景、生き物に
不安になった少年は、
歌声の女性を探すことにした。
少年「ここは、どこなんだろう。
あの人は……お姉さんは…
一体どこに、いるんだろう……」
少年は歩き出す。
街を歩き回り、目当てのない
あの声の女性を探し回るのだった。
(景色、人、生き物?見た事のないものばかりだ、
ここは、僕が知っている、
世界じゃない……?)
そして、日が暮れ、
少年は歩き疲れ、建物の陰に
座り込む。
少年は、空腹で、おなかが鳴ってしまう。
『グゥぅぅぅぅぅぅぅぅ〜』
(おなかが空いた……あれはリンゴかな)
近くの通りにある果物屋の
果物が見える。
おなかが空いた少年は、
通りにある果物屋の果物に
手を伸ばしてしまうのだった。
その瞬間、店主が気付き、
少年の腕を捕まえる。
店主「おい、小僧、何をしているんだ?」
店主はそう言うと、
少年の身なりを見て、にっこりと笑う。
店主「おまえ、盗人だな?お金なんて
持っていないだろ?」
少年「ごめんなさい、
おなかが空いてしまって………」
店主「おなかが空いただぁぁ?
盗みは盗みだ。代金の代わりに
おまえを奴隷商人に売り飛ばしてやる!こっちに来い!」
少年「ごめんなさい、ごめんなさい」
店主「うるせー!!黙ってついて来い!!」
少年は店主に服を掴まれ、古びた小屋へと連れて行かれる。
そして、小屋の扉を開けると、そこには暗がりの中、椅子に座っていた豚の様な人がいた。
店主「おい、このガキが人の店の売り物を盗んだんだ。このガキいくらで買い取ってくれる?」
店主は少年を突き飛ばし、右手の人差し指と親指を擦りながら言った。
豚「ふっふっ、あなたも、悪いやつだねぇ。
こっちにとっては、儲けが出るから
ありがたいんだけどね〜」
豚のような男は、にっこりと笑い返す。
店主「そりゃあ憲兵に、渡すより
あんたに売った方が、得するからなぁへへ」
(違う世界でも結局、人は、物なんだ……)
『ブヒャヒャヒャ。』
豚「確かに間違いねーなぁ
じゃあ、金貨2枚でどうだい?」
店主「よし売ったぁ!」
店主は、少年を、豚のような男に渡し、
豚のような男は、店主に金貨を2枚渡し、
店主は、上機嫌で、
金貨を握りしめ、外へと出て行った。
店主「得した、得したぁ、今日は
美味い酒でも、飲んで帰るかぁ〜」