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虐待 虐め


 この歌が貴方に届く時 君は僕を救う あなたは私を救う

アパートの部屋から

少年の泣き叫ぶ声が、響く。


「くるしい…息がぁぁ!!」


母「泣き止めぇぇぇぇ!

  うるさい!!…黙れえぇぇぇぇ」


「ギャアァぁぁ…」


毎日、少年は、顔を殴られた後、

お風呂に沈められる。


少年「誰か助けてぇぇぇ」


苦しみに耐えながら、少年は助けを求め、泣き叫ぶ。


母「何が助けてだ、誰も助けに来るわけないだろ!」


『あははは…ハハハ』


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


母は、毎日仕事から帰ると、

少年の部屋へと向かう。

 

この一連の出来事から始まるのだった。


母「いつもいつも、その顔を見るだけで

   イライラするわ」


少年「ごめんなさい…ごめんなさい…」


そう言いながら、髪の毛を引っ張り、

母は少年の顔を殴ることから始まる。


母「すっきりするわ」


(痛い…痛い…よ…)

 少年は、毎日殴られることで顔は腫れ、そして至る所を蹴られることで、体中にはアザができていた。


母は仕事のストレスを少年を虐待することで発散していたのだった。


殴られ、体中を蹴られ、痛みで泣いてしまう少年、その泣き叫ぶ声を風呂に沈めることで黙らせようとする、少年を風呂の水に沈めるうちに母は少年が苦しむ姿を見て快楽を得ていた。


母「アハァハァハッハッハッハッハッ、 何回やっても、楽しいわぁ〜」


「ウァァァぁぁぁォォォ、ゴボっ、ガボ」


少年は、必死に泣き止もうとするが、声を止めようと必死に我慢するが、痛み、感情が入り混じり抑えることができなかった。


少年は、死ぬ一歩手前まで、風呂の水に沈められ、意識を失い、何度か、病院のベッドで目を覚ますことが多々あった。


医師「お母さん、何度も何度も お風呂で溺れるのは、おかしいですよ? それに体中にアザもありますし…」


母「うちの子はどんくさいんです〜

   本当に、困ってしまいます〜」


そういうと、医師は、返す言葉を無くす。



そして、母は、少年を、病院から家へと、

連れ帰ると、

母は、少年に、吐き捨てるように言うのだった。


母「あんたは私のものなんだよ、

  どうしようが、私の勝手なんだよ!!

  死んだら裏山にでも埋めてやるわ」


少年の顔を見て、高笑いする母。


『アッハッハッハッハッハッ』


少年は、

毎日続くことを、母の愛情だと思うしかなかった。

少年には、逃げる場所もなく、

逃げる術も、なかったのだから。


だが、母は、仕事での、

ストレス発散をするために、

少年への暴力は、終わることはなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


少年が、なぜここまで母からの

虐待に耐えることができたのは、

母が寝静まった後、

少年が寝る前に、どこからか聞こえてくる

女性の優しい歌声のおかげだった。


その歌は、少年の心の支えになっていた。

少年は、歌を聴きながら寝ることが、

自身にとって唯一の楽しみだった。


(いつもありがとう、君のおかげで頑張れるよ

 おやすみなさい)


そして、少年は優しい歌声に涙を流し、

眠りについていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しかし、少年が小学校に入ると、

少年に追い打ちをかけるように、

いじめが始まったのだ。


少年が小学校に通い始めてから、

一カ月程たったころのことだった。


母からは服など与えられず、

いつも同じボロボロの服を着ていた。


同級生とその親からは「汚い、コジキ」と言われ、そのうわさは、

すぐに学校中に広まっていた。


少年「おはよう」


少年はあいさつをするが、無視され

ひそひそと同級生達が集まり話す。


同級生A「ママが、あの子はコジキで汚いから

    近寄ったらダメって言ってたよ」


同級生B「うちのママも言ってた」


同級生A「だったら、あの子が学校に

    来られないようにするしかないね」


同級生C「賛成、どうする?」


同級生A「そんなの決まってるじゃん」


同級生による、

学校でのいじめが始まるのだった、

ボロボロの服を着ているだけで。


初めは、死ね、コジキ、ゴミ

と書かれることからだった。


少年は、雑巾で、字を消すが、次の日には、

また、新たに書かれる言葉に、

諦め、少年の、机から字は、消えることがなかった。


そして、次には、

かばんに虫を入れられることだった、家に帰り、

かばんから教科書を出すと、虫が、かばんから出てくる。


次第にいじめは、悪化するのだった。


ある日

少年が、家に帰ろうと、靴を履くと。


『うっ!』


(痛い……)


少年の足に刺さった画鋲から血が滴り落ちる。


ポタッ、ポタッ……。


『クスクス』


同級生A「うっだって、あははは。」


同級生C「ウフフ、ねえ、次はどうする?」


同級生B「次は、椅子に画鋲を置いておこうよ。」


同級生A「良いねぇ〜もっともっと色んな所に置いてみよっかぁ」


その様子を見ていた同級生 Dが好奇心から声を掛けた。


同級生D「面白そうだな、俺もまぜてくれ。」


同級生A「良いよ〜でもしっかり手伝ってよね」


そうして、至る所に画鋲が置かれることになった。痛がる少年の姿に、同級生たちは楽しそうに笑っていた。


学校は少年が虐めを受けていることを知りながらも、関わろうとはしなかった。


校長は担任の教師を呼び出し、虐めのことを心配するだけで何もしなかった。


担任の教師も面倒だと、見て見ぬふりをした。



ある日の授業中の出来事だった、

授業で必要なものを買ってもらえず、

怒られることが度々あったため、教師は、

怒鳴り声をあげる。


「お前は、またかぁぁぁぁぁぁ!!!」


「ごめんなさい…買ってもらえなくて…」


少年が、いくら説明しても、聞いてもらえずに、

少年は、教師に、首を持ち上げられる。


教師「おまえはいつもいつも、

     どうして忘れ物をするんだぁぁ」


教師は、そう言うと、少年を殴る、

少年は、地面に転がり落ち、罵倒される。


教師「おまえは、服も汚いし、風呂にも

    どうせ入ってないんだろ」


少年「ごめんなさい」


少年が、教師に殴られ、罵倒される姿を

同級生たちは、笑っていた。


同級生「本当に汚いし、学校に来んなってかんじ」


『アハハハハ、マジウケるんだけど』



ーーーーーーーーーーーー

 ある日の帰宅途中、少年はダンボールに入れられた子犬を見つける。


少年「どうしたんだい?ひとりぼっちかい?」


「ワン!!」


「よしよし」


「学校で持ってきたパンだけど、食べるかい?」


少年は子犬を撫でながら、学校のパンをちぎって渡す。


子犬は喜びながら、美味しそうに食べる。


「ワン!!ワン!!」


「良かった、喜んでもらえて。でも、ここじゃ寒いだろうね…」


ダンボールを抱えると、アパートの風が当たらない場所へと運ぶ。


寂しそうに犬が少年に寄り添う。


「ごめんよ…家に帰って家事をやらないといけないから、また後でね」


「ワン!!」


そうして少年は家に帰り、洗濯や掃除をすませ、夜ご飯に与えられたパンの耳3つを持って子犬のところへ向かう。


「ハイ!半分こしよう!」


少年はパンの耳を一つ頬張り、もう一つを半分にちぎって子犬に食べさせる。


「美味しいね!」


「ワン!!」


「君にもう少しご飯をあげられたらいいのに、ごめんね」


そして、子犬と出会い、日々を過ごしていた。


しかしある日、少年が子犬と遊んでいるのを同級生に見られてしまった。



教室で話が広まり、同級生の1人があることを提案した。


同級生「おい、あの汚いやつに触られた犬は、処分しないとだめだろ」


同級生「確かに、菌がついたら処分だ」


同級生「処分しに行こうぜ」


少年はいつも通りに、犬にパンを与えて家に帰った。


「ごめんね、急いで終わらせたら、また来るね!」


少年は家に帰ってからすぐに家事を済ませ、パンの耳を持って子犬のところへと走った。


しかし、そこには数人の同級生がいた。


「処分だ!」


「キャン」


子犬は蹴られ、弱っていた。


少年はすぐさま子犬を抱きしめて守ろうとした。


「やめて!お願いだ!」


「うわっ、病原菌が来たよ!」

 


「気持ち悪いな、死ねよ」


そう言った後、同級生たちは少年を蹴り、唾を吐きかける。


「ああ、俺の靴が汚れちまった、早く帰って洗わねーと」


「確かに菌がうつっちゃう」


同級生たちは、帰路につきました。


少年「ごめん僕と関わったせいで…」


少年は、涙を流しながら子犬を抱きしめた。


子犬は弱々しくなり、次第に息をしなくなっていた。


「どうして、どうして……」


(僕のせいだ、僕がこの子に関わったせいだ)

 


少年は、裏山に行くと穴を掘り、子犬を埋めるのだった。「ごめんよ、本当にごめんよ。僕のせいで君を…」


少年は、涙を流しながら、その場で泣き、体中が泥だらけになった。


その日から同級生たちは少年へ暴力を振るったため、さらにひどくなることになった。学校では虐め、家では虐待され、そのため少年は学校に行くのをためらうようになったが、一度学校を無断で休み、裏山で過ごした時があった。教師が母親に連絡をし、母親は激怒し、少年の背中にたばこを幾つも押し当てる日があってから、少年は、学校に行きたくなくても行かねばならなかった。



ある日の夜、母親が男を連れ込むと、少年を蹴り飛ばし外へと追い出した。


母親「邪魔だよ、朝まで帰ってくるんじゃないよ」


少年「はい」


少年は、行く場所などなく、アパートの屋上へと向かい、星空を眺めながら屋上の端に座り込む。


「奇麗な星……吸い込まれそう…」


少年が星空を眺めていると、ふと下を見てみると、だんだんと歌声が聞こえてくる。


少年は、歌声に涙を流した。

もう、少年の心は限界に来ていた。


(もう生きている意味がわからない、

どうして僕は生きているんだろう……苦しい、苦しい)



少年「ここから飛べば、僕は……

   自由になれるのかな……」



少年は、段差に足を乗せ、

飛び込もうと、足を出そうとした時だった。



女性の声が、聞こえた。


女性「待って!!お願いだから!」


少年は、周りを見渡したが、

誰もいなかった。だが、背後からは、

女性の泣きじゃくる声が、聞こえた。



女性「今まで助けられなくてごめんなさい。

   間に合って本当に良かった...

   あなたが大好きだった子守唄しか...

   聞かせられなくて...ごめん..さい...」


女性の声が途切れ途切れになっていく。


少年「お姉さん、お姉さんは誰なの?」


少年は、周りを見渡しながら女性に問いかける。


女性「ごめんなさい、時間がない...の...

   こっちの世界で待って...。

   いろいろなつらい事があ...

   愛してる、ユウ...。」


女性の声が聞こえなくなると同時に、

少年は何かに吸い込まれるような感覚を覚え、目を閉じると、

気が付いた時には、


周りには見たことのない景色が広がっていたのだった。



 

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