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女子会です。

 


 今後の展開が分からなくなった私はついに、所謂お助けキャラを頼ることにした。

 高等部からの入学生で今まで会うこともなかったがいい機会だ。

 あと、魔王も出てきたことだしついでに登場人物をコンプリートしておこうという思惑もある。



「……というわけで、ルチアへの好感度が一番高い人を教えて」


「うん、俺が知るわけないよね」



 隣のクラスから引っ張ってきた彼、ダグラス・ハワードフォード。

 キャラの好感度や近々起こるイベントなどを教えてくれる、「未来が見える」が口癖のスピリチュアルなお助けキャラだ。



「な、なんで……?」


「そんな信じられないみたいな顔されてもこっちこそなんでなんだけど」


「未来が見えるんじゃないの!?」


「どこで聞いたのそれ」


「えっ、えーと、風の噂で……」


「そんなの信じてわざわざ来るなんてご苦労様。もう帰っていいかな」



 おかしい、ゲームでは呼ばなくても勝手に出てきてぽんぽん教えてくれてたのに……。

 やっぱりヒロインじゃなきゃだめなのかしら。



「この正統派美少女好きめ!!」


「うわー、こんな理不尽な難癖初めて受けたなー」


「なんかわかることないの? ルチアの好きな人とか」


「君が知らないのに俺が分かるはずなくない?」



 魔王がいるなら未来予知もいけるだろと思って聞いてみたけど、そう上手くはいかないみたいだ。

 ゲームっていってもセーブもロードもないからなぁ。お助けキャラの機能もその辺括りなのかもしれない。



「しょうがない、今日のところは諦めるわ……」


「ずっと諦めてて欲しいんだけど……そうそう、彼女のことは知らないけど、最近街で怪しい連中がこそこそ活動してるって話だよ。公爵家の令嬢には縁のない話かもしれないけど、気を付けてね」


「え、なんか起こるの?」


「うん」


「……随分はっきり肯定するのね」


 また私の知らないイベントの発生だ。

 予知ができなかったとしても、ダグラスに言われると本当に起こる気がする。



「俺には未来が見えるから、ね」



 本気なのかふざけてるのか、ダグラスは胡散臭いほど爽やかな笑顔で自分の教室へ帰って行った。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




「ルチア! 女子会をしましょう!」


「女子会……ですか?」


「そう、可愛いカフェとかに女の子だけで集まってお話しするの」


 女子会といえば恋バナ! 恋バナといえば女子会だ!!

 お助けキャラがいまいち役に立たなかったのでもう直接聞いて確かめよう作戦である。



「今日テオは他国のお偉いさんと食事会だっつーから俺も行く」


「僕も行きたかったんだけど……残念。オズ、あとで何話したか教えて」


「女の子だけって言ってるでしょ。何当たり前のように来ようとしてるのよ。オズは参加不可!」


「……僕は?」


「アレンもダメ」


「なら行かせないけど」


 私に抱き付いていたアレンは拘束を強めた。

 物理的に行かせない気か。


「誰も連れてかないっつーなら俺も行かせらんねえ。家でやれよ」


「え〜……じゃあ離れたとこから2人で見てて……」


「……何が楽しくて野朗同士顔突き合わせて茶飲まなきゃなんねーんだよ」


「積もる話のひとつでもしてなさいよ」



 渋い顔をしていたがオズもアレンも同行をやめる気はないようだ。

 街の真ん中のカフェにそんな危険があるとも思えないが、ありがたく警護してもらおう。



「あとは……出来ればもう1人くらい女の子が欲しいわね……」


「もう1人ですか……私は友人がいないのでちょっと……」


「……私も」


 悲しくなってきた。

 一気にテンションがお通夜だ。



「ご機嫌ようロザリア様。あら、いたのね平民」


「「あ」」


 ちょうどいいところに恰好の獲物……いやハルオーネが来てくれた。

 ルチアの方に視線を向けるとこくりと頷く。

 アイコンタクトもばっちりである。



「なっ、なんですの!?」


「まぁまぁまぁ、悪いようにはしないから」


「よかったですね、ロザリア様とお茶ができますよ」



 逃げられる前にルチアと両サイドをがっちり固めた。

 困惑するハルオーネをそのままズルズル引きずっていく。


「お前ら、拉致だろそれ……」





 ハルオーネを馬車に連れ込みドナドナしてやってきたのはカントリー調の可愛い街カフェ。


 少し離れた席ではオズとアレンがこちらをチラチラと気にしながらお茶している。

 長身の男2人が可愛いカフェで挙動不審にお茶飲んでるってシュールだわ。

 下手すると不審者として扱われそうだがそこは顔の良さがカバーしているようだ。



「それでは、第1回女子会を始めます!」


「はい! ロザリア様!」


「はぁ……」


「議題は恋愛についてです。まずはハルオーネさん、どうぞ」


 前世含めリア充とは程遠い生活をしていたので手始めにハルオーネへ投げてみた。

 一般貴族の恋愛観について存分に語ってほしい。


「わっ私ですか!? 恋愛と言われましても……婚約者は親が決めた方ですし……いい方ではありますけど……」


「好きではないの?」


「普通ですわ。けれど中流貴族の結婚なんてどこもこんなものですわよ」


「大人な意見だ……じゃあ好みのタイプは?」


「家柄の良い人ですわね」


 ハルオーネは紅茶に口を付けながらきっぱりと言い切った。

 流石、元ロザリアの取り巻きだわ……。


「思いの外シビアだった……では次、ルチアさん」


「私は婚約者すらいないので特に話せることが……」



 うーん、やっぱりナシか。

 とりあえず1人ずつ好感度を確認していこう。



「じゃあアレンのことどう思う?」


「え? アレン様ですか? そうですね……ロザリア様のことが大好きな弟君でしょうか」


「……ならテオは?」


「この国の王太子様ですね。まさか私なんかが口を利けるとは思ってもいませんでした」


「……オズ」


「たまにロザリア様の武勇伝を聞かせて頂いてます! 特に空を飛ぼうとした時のお話が好きで……!」


「……ちょっと待ってて、一発喰らわせてくるから」


 あれ程余計な話はするなと言ったのにまだ懲りてなかったのかあいつは……。





「お待たせ。ルチアは速やかに今の話を忘れるように」


「は、はい!」


「……それで、大穴でユリウスはどう?」


「えっと、生徒会長様ですよね? 殆ど話したことがないのでなんとも……」


 もうすぐ1学期が終わる今、順調にいけば気になる人くらいには昇格していてもおかしくない攻略対象たちが揃って知人レベル。

 ここはもう単刀直入に聞いてみるか。



「……ルチアって好きな人いる?」


「へっ……!? すっ、好きな人ですか!? そ、そんな好きっていうか、その、憧れてる方はおりますけど……!」


「いるのね!? 誰!? 私の知ってる人!?」


「言えません!! ロザリア様にだけは絶対無理です!!!」


「えぇ……そんなぁ……」


「……あの、私がもっと自分に自信を持てるようになって、その人の隣に並ぶのに相応しい人間になれたら……その時は聞いてくださいますか?」


「……わかった。楽しみにしてるわね」


「はい!」


「私は何を見せられてるのかしら……」



 なんだ良かった。

 攻略対象が相手じゃないのは予想外だったが、別の人間でストーリーが進行しているらしい。

 これで魔王と対峙することになっても白の聖女として覚醒することができる。

 両思いになれるかが問題だが、ルチアがその気ならきっと大丈夫だ。

 色々とシナリオからは外れているが、それは私が役割を放棄したことによる変化の内だろう。


 知りたいことが知れて満足したのでぬるくなった紅茶を頂いた。


「私達のことより、ロザリア様のお話が聞きたいですわ。テオドア様達のことはどう思ってるんですの?」


「どうって……」


「あっそれは私も聞きたいです!」


「ちょ、ちょっと待って! 別に何もないわ!!」


「あれだけ一緒にいて何もないなんてありえませんわ! ねえ?」


「そうです!」


 身を乗り出して詰め寄ってくる2人。

 なんか凄い仲良くなってない!?


「いや……テオとは婚約者になる約束はしてるけど……それ以外はほんとに何もないからね?」



「……ちょっと平民、どうなってらっしゃるの?」


「一緒にい過ぎて逆に……という感じでしょうか」


「意外とヘタレですのね」



 聞こえてる聞こえてる。

 君たちひそひそ話はもう少し小さな声でしたまえよ。


「ちなみに私はテオドア様推しですのよ。ロザリア様なら皆が憧れる王妃になりますもの!」


「私は優しくて博学で自立していて心が綺麗で物腰が柔らかく紳士的で人望に厚く何よりもロザリア様のことを1番に考えられる方でなければ認められません」


「そんな殿方どこにもいませんわ……理想が高過ぎるわよ平民」


「中途半端な男にロザリア様は任せられませんから」



 ルチアとハルオーネは私そっちのけで会話に花を咲かせ始めた。

 話に入る隙がない。というか、この話題にどう入っていけば……。


 結局、居た堪れなくなった私はオズとアレンの元に席を移したのだった。

ブックマーク&評価ありがとうございます。

嬉しいです。


これで主要な登場人物は全員揃いました!!多分!!!

明日もよろしくお願いします。

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