《閑話 アレンと魔道具》
今日はドライヤー販売に向けていくつか試作を作ったのでもらって帰ってきました!
久し振りの電化製品に気分が上がる。いや正確には電気が動力じゃないけども。
とにかく、楽しみだな〜と思いながらお風呂を上がったわけですが。
……見てる。見られてる。視線を感じる。
さっきからずっと、扉の隙間からアレンがじーっとこちらを覗いているのだ。
「あの、アレン……」
「……僕の仕事だったのに」
今までお願いしていた仕事をドライヤーにとられたことが不服のようだ。
けど私だって毎晩弟の手を煩わしているわけにはいかないのでわかってもらいたい。
「いや、だって、アレンに毎回頼むのも申し訳ないから……」
「別にいい」
「うーん……でも、いつまでもやってもらうわけにもいかないし……」
「永久に僕がやる」
「アレン……」
全く聞く耳を持ってくれない……。
なぜこんなに人間ドライヤーになることに情熱を燃やしているのか。
「……ロザリアのために頑張って覚えたのに」
うっっ!
……そんなこと言われたら反論できない、できるわけない。
しょんぼりしてしまったアレンをこれ以上突き放すなんて私には無理に決まっている。
そもそも初めにお願いしたのは私だしね……負けたわ……。
「……じゃあ、私はアレンに髪を乾かしてもらうから、アレンの髪は私がドライヤーを使って乾かす。ね、それならいい?」
「ロザリアが乾かしてくれるの?」
「ええそうよ、それなら公平でしょ?」
「うん!!」
嬉しそうに抱き付いてくるアレンが可愛くてもうこれでいいかと思った。
うん、やってもらうばかりじゃなければセーフセーフ!
お互い髪を乾かし合うなら仲良しな兄弟ね〜で済むはず!!
ん?
「……アレン、あなた少し背が伸びた?」
「ん、どうだろ。まぁ成長期だし……」
私よりも低かったはずのアレンの目線が大分近付いている。
これは抜かされる日も近いかな。
アレンはいずれあの色気のあるお兄さんになる予定だものね。
可愛いアレンが見れなくなるのは悲しいけど、私も弟離れしなくちゃだわ……。
「成長してるのね……」
「背が伸びた僕は嫌い……?」
感慨にふけっていると不安げなアレンが尋ねてきた。
小さい子好きだと思われてたのか。心外である。
私はアレンだから可愛がってるんだから!!!
「そんなわけないじゃない! 前にも言ったでしょ、嫌いになんてなるわけないわ! ずっと大好きよ!!」
「ずっと?」
「ええ」
「一生?」
「ええ、もちろん」
何があってもアレンは私の可愛い弟だもの。
いつかヒロインと恋に落ちたとしても全力で応援しよう。
「約束だからね、僕のロザリア」
アレンとこんな風に過ごせるのもあと数年かなぁなんて思いながら指切りをした。
……これ、新しい魔道具作るたびにこうなったりしないよね?
ブックマーク&評価ありがとうございます。
頑張ります。
今日はロザリアが世界の中心なアレンです。
アレンがいるときは大体ロザリアにひっついてます。
自分の見た目が可愛いことわかっててシュンとした顔とかするあざとい子に育ちました。
ラストユリウス、よろしくお願いします。