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私の勝利です。

 


 信じられない、と言った顔をしているミリオン夫人にくっと口角を上げて挑戦的な笑みを向けた。

 我ながら様になっていることだろう。



「は……そっ、そんなわけ…!」


「公爵家の娘である私の言葉を疑うのかしら? それとも今すぐ証拠を見せて差し上げましょうか?」


「いえ、そういうつもりじゃ……っけれど、アレンは養子とはいえミリオン家の子です。大事な息子を手放すなんてとても出来ませんわ」



 そうね、そう言うと思ったわ。

 私に勝てるのはそこだけだものね。


 そう言っておけば子供が親元から引き離されることはないと思っているのか、随分と余裕そうだ。

 けれど私はこの女がその権利を振りかざすことがなにより許せない。

 あなたにはそんな資格がないことを思い出させてあげましょう。



「まぁ、あまり私を舐めないで頂けますこと? あなた方がアレンに何をしてきたか、私が知らないとでも思って? どの口が大事な息子なんて言うのかしら。あなた達にアレンは相応しくないわ、わきまえなさい」



 私の言葉に周囲がざわつく。

 元々あまり評判のいい家ではなかっただけあっていろんな憶測が飛び交っていたようだ。

 ミリオン夫人はやっと己の置かれている状況に焦りだしたらしい。



「くっ……! アレン! あなたは私達のものでしょう!? 誰が引き取ってあげたのか忘れたの!?」



 アレンをもの扱いした挙句この後に及んでまだこれだけ恩着せがましいことを言えるとは。

 これ以上相手にする価値もない。引導を渡してやろう。

 そう思って口を開くと、私の手を強く握りしめアレンが前に出た。



「……っ僕は、ロザリアと、いたい」


「アレン……」


「っこの! 恩知らずが!!」



 そのアレンの言葉にミリオン夫人が顔を歪ませ手を挙げた。

 叩かれる! 咄嗟にアレンを庇うように抱き締めてぎゅっと目をつむる。

 パシンッと乾いた音が聞こえた……が、いつまでたっても私にその衝撃がやってくることはなかった。



「…ってぇ」


「!! オズ!」



 そっと目を開けると、そこにはオズが立っていた。

 どうやら私達のことを庇って代わりに叩かれてしまったようだ。

 赤くなった頰に爪が当たったのかうっすらと傷が出来ている。



「やれやれ、すぐに手を挙げるような人間のもとに貴重な人材を置いておくことは出来ませんね」


「王子……! ちがっ、これは……!」


「この件は陛下にきちんと話をしておきますのでご覚悟を」



 一部始終を陛下にチクってくれと頼んでいたテオが出てきてくれた。

 テオにはアレンの腕のことも本人の了承を得て話してあるのでそちらへの報告は任せるつもりだ。


 ミリオン夫人は何か言い訳をしようとしていたが、これだけ証人がいればそんなもの無意味だろう。

 にっこりと美しく笑ったテオに黙らされてしまった。

 ……あれ、結構怒ってる顔だな。ご愁傷様。



「ミリオン夫人、エルメライト公爵家を敵に回したということもお忘れなく」



 おお、いつもあらあらうふふと和やかなお母様が極寒のブリザードを纏っている。

 元々の顔立ちが冷たい印象を受ける分効果は倍増だ。

 トドメを刺されたミリオン夫人はその場にへたり込んでしまった。

 そうして、2回目のお茶会は幕を閉じたのだった。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




「私のせいで怪我させちゃってごめんね……」


「あ? 気にすんな、お前のせいじゃねーだろ。それにこれは名誉の負傷ってやつだ!」



 何かあったら俺が守る! と近くでスタンバイしてくれていたオズは見事に役割を果たしてくれた。

 そのせいで怪我をしてしまったというのにご機嫌にニカッと笑っている。



「オズ……守ってくれるのは嬉しいけど、そのせいでオズが傷付くのは嫌だよ」



 持っていたハンカチを取り出してそっとオズの頰に添える。

 オズはゲームでも自分の身を顧みず行動することが多かったから心配だ。

 私が今からしっかりしなければ。



「……次は、気を付ける」


「うん、ありがとう!」



「…………で、ロザリア。急を要すると思ったからさっきは黙って協力したけれど君が4属性使えるなんて話、初めて聞いたんだけど」


 うわぁ……テオが怖い……やっぱ流してはくれなかったか……。



「いやぁ……バレたら、めんどくさいことになるかなぁって思って……あはは……」


「ロザリア? 私も詳しく聞きたいわ、話してくれるわよね?」


「は、はいぃ!!!!」



 ひえぇ、お母様も怒ってる!

 ブリザードを纏ったお母様と黒いオーラを纏ったテオに囲まれて家で1人で魔法の練習をしていたこと、練習次第では誰でも4属性使える可能性があることを洗いざらい吐かされました。

 途中でお母様が卒倒したので逃げられるかな?と思ったら代打のテオにこってり絞られた。



「……ロザリア……大丈夫?」


「ふふ……平気よ、アレン……あなたを連れて帰るためだもの……このくらい……なんてことないわ……」


「………ありがと」



 お説教にぐったりしていけれど、はにかむように笑うアレンを見てやっぱり頑張って良かったと思うのでした。

 まだこのあとお父様のお説教が残ってるけどね……。


ブックマーク、評価などありがとうございます。

頑張れます。


昨日のうちに終わらせたかったのですが全然間に合いませんでした!!申し訳ありません!!!

ひとまずこれで決着となります。

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