表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/166

93話

 全力で飛ぶゼロは群がる雑魚モンスターを振り切り、あっという間に朝出た山小屋を通り過ぎて目的地に到着した。

 眼下にはヨーロッパ風の街並を再現したテーマパークが見える。異変当時は観光客で賑わっていたのだろう観光名所は、当時の混乱の面影が残っておりバッグや倒れた椅子、割れたガラスやモンスターの犠牲者血の跡が散見できた。

 そんなテーマパークを、今ではモンスターが我が物顔で歩いている。ゴブリンにオークのような比較的弱いモンスターに、レッドキャップなんかの強めのモンスター、まだ倒していない妖精のようなモンスターもいる。


 さっそく初見の妖精を狩ることにし、着陸地点にいるモンスターを遠距離攻撃で掃除して地上に降り、妖精たちを見かけた場所までシュナイダーと移動する。ゼロは大きいので一旦謎空間でお留守番だ。

 テーマパークに侵入すると、妖精たちは小さな人間に虫のような羽を生やしており、街中を飛び回ったり座って休んでいたりする。サイズは人間の手のひらほどで的が非常に小さい。手始めに花壇に腰掛けている妖精へ、追尾をかけたハーピーの風切り羽根を強化投射で撃ち出してみると、あっけなく一撃で消えていった。


 こちらの存在に気づいた妖精や、レッドキャップたちが一斉に襲いかかってきた。いきなりの乱戦だ。妖精たちは追尾してくる光弾を放ち、斧で斬りかかってくるレッドキャップを援護している。

 レッドキャップを斬り捨て、妖精たちにはこちらも追尾をかけた火球の連発で対処する。追尾してくる光弾をかわしきれず受けてしまうが、妖精たちの光弾はこちらの岩石鎧を貫けないようで、軽く衝撃を感じただけだった。


「シュナイダー、光弾は怖くないぞ。妖精は後回しだ」


 レベル的にこちらの方が上なのだろう。妖精の攻撃は怖くないことがわかったので、他のモンスターを集中して倒し、片付いた後で妖精を一掃した。


「ふぅ、お疲れシュナイダー。ドロップ回収したら移動しようか。……あれ?」


 辺りに散らばるドロップ品を回収していて気がつく。レッドキャップのドロップばかりだ。あれだけいた妖精のドロップが一つも無い。

 そんなにドロップ率が低いのだろうか? それとも条件ドロップか何かと思い、モンスター図鑑を確認すると妖精が登録されていなかった。


「え、どういうことだ? 生命感知に反応してたし、モンスターだよな」


 考え込んでいるとシュナイダーが歩み寄ってきて、どうしたのと尋ねてくる。事情を話すとシュナイダーも首をひねって悩み始めた。

 何か特殊な倒し方があるのか? 答えの出ないまましばらく考えていると、再び妖精とレッドキャップが湧きはじめる。リポップまでの間隔が短いな。

 先ほどと同じようにレッドキャップを倒して、妖精たちは色々な攻撃手段で倒してみるも、またもや図鑑には登録されなかった。


「うーん、わからん。モヤモヤする」


 まるで化かされているようだ。だとしたら周りにその原因のモンスターがいると思うのだが、生命感知に反応はない……


「生命感知……そうか、なんとなくわかったぞ」


 おそらく、生命感知自体が欺かれていたのだ。幻覚か隠蔽か隠密か、そういう類のスキルを扱うモンスターがいてもなんらおかしくない。そうなると問題は目視で発見するしかないわけだが、それなら良い考えがある。ゼロとシュナイダーがどうするんだと尋ねてくる。


「こうするのさ」


 辺りに視線を巡らせ、周辺の物を手当たり次第に収納していく。数秒後には収納できない物を残して、辺りは更地になった。

 さて、収納されなかったのはそこにある花壇か。近づいていき植えられている花を調べていく。これは普通の花、これも普通の花。

 お、この花は一輪しか咲いていないな。そう思い手を伸ばすと、花の周りに大量の妖精が湧いてきた。


「見つけた!」


 素早く右手に持っていた黒龍剣で妖精ごと花を斬り裂く。すると花と妖精が消えていき、後にはドロップが残った。図鑑を取り出して確認する。


 100番 幻想花 アイテム1 幻想花の花粉 アイテム2 スクロール(隠密)


<モンスター図鑑の新たな機能が追加されました>


 どうやらこの幻想花の花粉が妖精を見た原因のようだ。生命感知に反応しなかったのは隠密のせいかな。タネが分かればそれほど怖くないモンスターだったが、より強力な幻や搦め手を使うモンスターがいたら怖いな。耐性スキルがあれば欲しいところだ。

 湧いてくるレッドキャップを処理しつつ、幻想花も湧き待ちして狩りドロップを集めておく。追加されたモンスター図鑑の機能も気になるが、大変なのはこれからだ。


「これって、ここで良いのかな?」


 もう一個隣じゃない? とシュナイダーが指摘してくる。たしかにスペースがちょっと合わない。シュナイダーの言う通り隣に建物を出す。じゃあこっちはこれか。

 上空から全体を見てくれているゼロが、あと少しだと伝えてくれる。何をしているかと言うと、後先考えず収納してしまった物を元に戻している最中だった。

 もちろん一日で終わるはずもなく、悩みながら作業を開始して今日で三日目になる。それもそろそろ終わりが見えてきた。


「はぁー、ようやく終わった」


 作業の邪魔をしてくるモンスターと、配置に悩んだせいで非常に捗らなかった。ところどころ配置を間違っている可能性もある。

 勢いであんなことをしてしまったが、今後は気をつけよう。これで心置きなくモンスター図鑑の新たな機能が確認できる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー ツギクルブックスの作品紹介ページに飛びます画像をクリックするとツギクルブックスの作品紹介ページに飛びます!
― 新着の感想 ―
[一言] <モンスター図鑑の新たな機能が追加されました> →<モンスター図鑑に新たな機能が追加されました>
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ