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86話

 近海では新しい水棲系モンスターに出会えなかった。遭遇するのはおもにサハギン系で、たまに海上にスカイマンタやロケットフィッシュが湧いたりする。


「もっと沖に出たら違うのかねぇ」


 海を本格的に探索するならもう少し準備がしたいな。もしかしたら深海にも行かなきゃいけない可能性もあるし、水中での呼吸は魔法があるから良いとして、今のレベルで水圧に耐えられるのかな?

 いっそ海を全部収納……いやいやダメだ。生態系が壊滅してしまうし、もしかしたら水がないとモンスターがポップしないかもしれない。離島巡りのほうも収獲がなかったし、夜もシャドウスネークが湧くくらいだったもんな。

 今日は城でも観光して移動するか。そう思いミニログハウスを出ると砂浜で巨大な亀がゴブリンにいじめられていた。


(うーん、これは罠かな?)


 まずあの巨大な亀がゴブリンにいじめられるとも思えない。何かあるとは思うが、どうすれば良いのか……しかもたまに亀がチラチラとこちらを見てくるんだよな。

 その時、シュナイダーが亀を助けてあげないの? と言ってくる。亀を助けるといっても、アイツもモンスターだしって、生命感知が反応してない?

 あの亀モンスターじゃないのか。それにこのシチュエーション、浦島太郎みたいだ。

 あの亀を助けたら竜宮城に行けたりとかするのか? とにかくゴブリンを片付けてみるか。サクっとゴブリンを倒すと、亀がペコペコ頭を下げてくる。なんとも人間くさい仕草をする海亀だ。

 海亀は海に向き直ると、こちらを見て体を揺すっている。


「乗れってことか?」


 そう聞いてみると、海亀が首を縦にふる。いったいコイツはなんなのだろう。

 正直何が起こるかわからないが、ここで行かないという選択肢はないな。ゼロはサイズ的に無理なので謎空間に戻り、シュナイダーと一緒に水中呼吸や各種強化魔法をかけて海亀の背に乗った。

 海亀は沖を目指して泳ぎ始め、ある程度の深さまで行くとどこかを目指して潜り始めた。水中に潜ると、海亀の甲羅の上は透明なバリアーのようなもので覆われて、水が侵入してこない。かわりに中から外に出ることもできないようだった。不思議なことに生命感知も効果がない。

 目視で未登録のモンスターがいないか、見える範囲で探す。うーん、あのサメはモンスターか普通のサメかわからんな。くそー、景色が見事で気が散る。シュナイダーは景色に見入っているようで、モンスターを探してくれない。

 しかし、そんな見事な景色も深く潜るにつれてだんだんと見えなくなり、視界は深海の闇に覆われていく。潜りはじめてから結構時間が経つが、はたしてこれは無事に帰れるのだろうか? ホイホイついてきてしまったが、若干後悔している。シュナイダーとゼロは大丈夫でしょと楽観的だ。まぁいざとなったら荒技もあるからな。


(闇耐性でうっすら先が見えるけど、深海の雰囲気って怖いな……ちゃんとタイやヒラメが宴会の準備をして待っていてくれるのか?)


 そんなことを考えていると、真っ暗な深海に光り輝く城が姿を現した。和風な感じのつくりの城を、光り輝くサンゴや海藻が装飾している。辺りには色とりどりの魚が泳ぎまわり、人魚のようなものまで泳いでいる。あれモンスターかな?

 やがて亀は門までたどり着き、扉が開くのを待つ。手の生えたタツノオトシゴが、門を押しひらくと亀は先へと進んでいき、洞窟のような所へ入ると浮上していった。さっきのは絶対モンスターだな。槍持ってたし。

 水面に出ると、甲羅のバリアーがなくなり亀がスロープに上がり体をフリフリする。どうやら着いたから降りろと言っているようだ。

 甲羅から降りると亀は来た道を戻っていく。帰りは送ってくれないのか?

 ここはエントランスなのか、それなりに広い空間に今来た洞窟への穴と、目の前に大きな扉が一つあるだけだ。その時、アイテム取得以外で久しぶりにシステムメッセージさんが喋った。


<隠しダンジョン、竜宮城に到着しました>


 ふむ。これは時期尚早だったのでは? え、隠しダンジョンて何……隠されてないダンジョンは? 一応ツリーまわりのジャングルとかがそうなるのかな? 目の前の扉を収納しようとしてみるが、効果がない。

 いやーこれはヤバイか? 今のレベルで通用するのかな。モンスターと一当てしてから撤退するかどうか判断するか?

 軽くテンパっていると扉にモンスターの反応が近づいてきて、軋んだ音を立てて扉が開かれていく。

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