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83話

 悩んだ末にとりあえず東に向かってから、北上して戻ることにした。海で新モンスターに遭遇しなかったこともあり、一時間ほどで島が見えてきた。


「海が綺麗だねぇ」


 ゼロの背に乗って見下ろす景色は、一面コバルトブルーの海。そこに島々がポツポツと浮かんでいる。もう季節は秋も半ばで刺すような暑さはないが、見た目がいかにも南国といった感じだ。珊瑚礁とか凄い。ゼロやシュナイダーも景色に喜んでいる。

 索敵をしながら本島に向かう。すると海岸に未登録のモンスターの反応を見つけた。近づくと肉眼でもはっきりとその姿が確認できるようになる。体長五メートル以上はあるだろう甚平を着たジンベエザメが、ヒレのような手に巨大な銛を担いで砂浜を二足歩行していた。尻尾を含めたら五メートル以上あるかもしれない。その周りには小さな二足歩行のサメが五体付き従っていた。

 しかしこのジンベエザメ、見た目が凄くゆるキャラっぽい。動きものっしのっしといった感じで歩いているし、手に持った銛以外は凶悪そうには見えない。そんなことを考えていると取り巻きのコザメがこちらを見つけたようで、ヒレに持った銛でこちらを指してジンベエザメに報告している。

 どうやら見つかってしまったようだ。

 報告を受けたジンベエザメはこちらに狙いを定めると、ヒレに持った銛を投擲してくる。先ほど試したがこの銛は収納できなかったのでゼロに対処を任せる。するとゼロは飛んできた銛を器用にキャッチすると、それをジンベエザメに投げ返してやった。軽く投げたように見えたが、次の瞬間にはジンベエザメが真っ二つになり消えていく。

 慌てる取り巻きのコザメたちを遠距離攻撃で片付け、ドロップを回収した。


 93番 親分じんべえ アイテム1 スクロール(統率) アイテム2 常夏甚平


 94番 子分ザメ アイテム1 スクロール(下級水魔法) アイテム2 小判


 統率のスクロールと下級水魔法のスクロールしかドロップしなかった。まずは統率の効果を確かめる。これは自分に従っている者の能力を上昇させるスキルのようだ。さっそく覚えて二人にどんな感じか聞いてみると、ゼロとシュナイダーがちょっとパワーアップした気がすると答えてくる。ついでにリビングソードも召喚してみるが、そもそも簡単な命令は聞くがこちらに意思を伝えることができない。そっとリビングソードの召喚を解いた。

 残りは常夏甚平と小判か。湧き待ちをするか悩んだが、結局他の場所を探索してからまた狩ることにした。市街地上空を探索しながら飛び、避難所でいつもの情報提供を求める交渉と物資の提供をする。

 最近特に喜ばれるのは下級氷魔法、中級火炎魔法、中級雷魔法のスクロールだ。戦闘で役立つのはもちろんだが、下級氷魔法は物を冷やしたり氷を作れるし、中級火炎魔法の温熱付与はガスや薪なんかを使わずに水を直接お湯にできるので、一定数は調理班にまわされたりするようだ。

 中級雷魔法は充電を使い携帯を一瞬でフル充電できるので、連絡先を交換した人優先で渡している。さすがに避難民全員分は渡せないので、スクロールの分配なんかは各避難所に判断を任せていた。しかし大体のところで外に出て戦う調達班が優先されている。まぁこれは当然だと思う。

 ここら辺の空にはワイバーンが湧かないので、テイムを手伝うことはなかったがテイムのスクロールは一応渡しておいた。

 避難所での用事が済み砂浜まで戻り、再び湧いていた親分じんべえたちをドロップが集まるまで狩る。手に入れた常夏甚平は身につけた者の周りを、常夏空間にする効果があるというのでさっそく着てみた。凄く暑い。薄着なのに体感三十度をこえている。これは、どう使えば良いのか……しいて言えばこれより暑い場所だと逆に涼しく感じるだろうし、まぁ寒い場所でも使えるのか……しかし防御力はいまいちだろう。

 小判は交換所や食堂で使えるようなので、夕飯のついでにチャボさんに見せてみる。


「これだとこの間の素材のほうがポイント高いですねぇ。まだポイントは残ってますし、交換所用にとっておくのをオススメします」


「ありがとうございます。そうしますね。えーと、今日は何にしようかなぁ」


「オムライスやキッシュなんかがオススメですよ。茶碗蒸しやトマトと卵の中華炒めなんかもできます」


「チャボさんいつも卵料理しかすすめないじゃないですか。今日は魚焼き定食をお願いします」


「うー、卵には自信があるんです。魚焼き定食ですね、わかりました……」


 心なしかテンションの下がったチャボさんが厨房に消えていき、料理をする音が聞こえ始めた。

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