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81話

 目的地に近づくにつれシュナイダーが変な匂いがする、と謎空間に引っ込んでしまう。日本でも有名な火山にやってきていた。

 火山特有のモンスターがいないかやってきたが、予想は当たったようで肉眼でも新たなモンスターが確認できる。山の岩肌をワゴン車くらいの大きさの赤いオオトカゲのようなモンスターがのしのしと動き回っている。

 火山に降り立つと一斉にこちらに襲いかかってきた。ロックゴーレムもスパスパと斬れる黒龍剣は、オオトカゲも豆腐のように斬り裂いていく。近づくのはまずいと思ったのか、オオトカゲは遠距離から火炎魔法で攻撃することにしたようだ。サイズ的におそらく中級火炎魔法の業火球だろう。

 魔法が放たれた瞬間、群がるオオトカゲを蹴散らしていたゼロが咆哮をあげると、業火球が相殺され消える。魔法を消されてか、咆哮の凄まじさに驚いてか狼狽えるオオトカゲに走り寄り黒龍剣で斬り捨てていった。

 どうやらゼロのほうも片付いたようで、終わったぞと報告してくる。しまった、進化の宝玉を試すのを忘れていた。


「お疲れゼロ。ドロップを回収したら次は進化の宝玉試そうか」


 90番 ファイアドレイク アイテム1 中級火炎魔法 アイテム2 ファイアドレイクの鱗


 ファイアドレイクを一体だけ残して倒し、今度は忘れずに進化の宝玉を試す。しかし効果はないようだ。残念だが仕方ない。そのまま山頂に向かいながらファイアドレイクを狩っていくと、山頂付近にロックゴーレムに似たモンスターが一体だけ湧いていた。

 これまで火山では見かけなかったモンスターだ。しかし妙だ、近づいても襲いかかってくる気配がない。では先制はもらおうとゴーレムの足に黒龍剣で斬りかかるが異様に硬く、傷はつくものの切断までには至らなかった。攻撃に反応してゴーレムがカウンターのパンチを振り下ろしてくる。五メートル以上ある巨体から振るわれた拳が火山の大地を揺るがす。

 バックステップでかわし、ゴーレムの足元の地面を収納して体勢を崩す。大きな音を立てて倒れたゴーレムをゼロが前足で踏みつけ、頭部に威力をおさえたブレスをお見舞いする。


(器用なことするなぁ。確かに全力だとこっちも巻き込まれるし、山も大変なことになりそうだけど)


 ゼロのブレスにしては控えめな爆発音が聞こえ、ゴーレムの頭部は破壊される。しかしまだ消えない。そればかりか失われた頭部が徐々に回復してきている。タフな奴だ。


「ゼロ、そいつを上空に運んで放り投げてくれる? 全力でやったほうが良さそうだ」


 頷くとゼロがゴーレムを両手で持ち上げ、空高く運んでいく。かろうじてゼロの姿が見えるくらいまでいくと、こんなもんで良いかと聞いてくる。


「準備オッケー! 放したらゼロも戻ってね」


 手の中ではフルチャージの黒龍剣に魔力が渦巻いている。ぽいっと放られたゴーレムが落下してくる。ゼロも謎空間経由で地上に戻り、ブレスをスタンバイしている。


「お、良いね。合体技っぽくて……じゃあせーの、で」


 二本の黒い光線が地上からゴーレムに放たれる。自由落下するゴーレムはなすすべなく力の奔流に飲み込まれ、盛大な爆発とともに消えていった。落ちてくるドロップアイテムを回収し、図鑑を確認する。


 91番 ガーディアンゴーレム アイテム1 マナメタルインゴット アイテム2 守護者の大盾


 マナメタルインゴットは素材系か。これは交換所用かな。守護者の大楯は人間サイズでも全身をほとんどカバーできるほど大きい。形状はタワーシールドというやつに近いだろうか。

 力が上がっているおかげで片手でも扱うことができる。右手に剣、左手に盾を持つとゲームに出てくる騎士や戦士になった気分だ。盾装備時の動きに慣れるため、またファイアドレイク狩りでもするかと山頂を後にしようとすると、突然山が震え始めた。


「なんだ? 噴火か?」


 しかし火山から吹き出したのは溶岩ではなく、モンスター出現時に出る黒い霧だった。なんだ、モンスターか。霧から現れたのはゼロと同じくらいの大きさの真紅のドラゴンだった。頭から尻尾の先にかけて炎が馬のたてがみのように燃え盛っている。背中に翼は生えていないが、出現した瞬間周囲の温度が上がり汗ばんでくる。

 夏には会いたくない感じのモンスターだ。ドラゴンはこちらを睨みつけると、凄まじい炎を吹き出してくる。タワーシールドを地面に突き立て咄嗟に身を隠す。


(あつっ、長くは耐えられないぞ)


 次の瞬間、炎が止まる。剥がされかけた岩石鎧をかけなおし盾から顔を出して覗くと、ゼロがドラゴンに組みついていた。ゼロとドラゴンはもつれ合いながら火口へと転がり落ちていった。

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