73話
進化の宝玉の説明をみると、どうやらなんでもかんでも進化するわけではなく、使用できる対象はあくまでも進化のできるモンスターに限られるようだ。
ゼロはどうなんだろうか。収納から進化の宝玉を取り出してみる。どうやって使うんだろうか。
「ゼロ。試してみるか?」
ゼロは、強くなれるならと答えてくる。あの鯉から龍への進化を見る限りでは、少なくとも弱くなるということはないだろう。
「じゃあいくぞ。シュナイダー、ちょっと時間を稼いで」
こちらを攻撃するのに集中していた龍へとシュナイダーが再びとりつき、放電をおみまいする。やはり効果は抜群なようで、龍はたまらずもがいている。
進化の宝玉をゼロの背中にあてると、システムメッセージが使用しますか? と問いかけてくる。肯定すると、進化の宝玉がゼロへと吸い込まれていき進化が始まった。
「すっごい光ってる。ゼロ、大丈夫なのか?」
というか一旦降りたほうが良かっただろうか。光ってるけど痛かったりしないのかな。しかし、そんな心配をよそにゼロはなんか気持ちが良いぞとかえしてきた。
(気持ちいいのか……)
光が収まり、進化したゼロの身体は元の茶色から黒曜石のような艶のある黒色に変わっていた。翼も大きくなっている。背中に乗っていると全体がわからないな……
「ゼロ、ちょっと降りる。姿を見せてくれ」
空中浮遊で宙に浮き、空を舞うゼロを眺める。その身体には進化前にはなかった前足? 腕? が生えており、尻尾には凶悪そうな棘が何本も伸びていた。頭にも巨大な角が二本生えている。黒いドラゴンだ。
新生ゼロは新たな身体の性能を確かめるように空を飛び、口から黒い光線のようなブレスを、地上で悶えている龍めがけて吐きだした。龍の尻尾側が三分の一ほどちぎれ飛び爆発し、周りの木々や地面も弾け、飛び散る。
凄い威力だ。こちらへ飛んでくる飛翔物を収納でしまって防いでいると、シュナイダーが近づいてくる。どうやら避難してきたようだ。
なんだか凄いことになっちゃったねゼロ。と話しかけてくる。
「確かに。大きさも倍くらいになったしなぁ」
おまけになんだか凄い強い。頼もしいぞゼロ。もはや、あいつ一人で良いんじゃないか状態になったこちらは、ゼロが龍を蹂躙するのを眺めているだけだった。
龍の吐く高圧の水ブレスは、ゼロの身体に傷ひとつつけられず、巻きつこうとしたところをゼロの爪で身体を引き裂かれ、霧となって消えていく。
中々一方的な戦いだった。こちらに近づいてくるゼロからは、スッキリしたという感情が伝わってくる。
「お疲れ様ゼロ。さらに男前になったね」
ゼロの鼻先を撫でてやると、目を細めて喜んでいる。シュナイダーもおつかれーと、ゼロの鼻先をペロペロと舐めまわしてねぎらっているようだ。
おっと、忘れないうちにドロップを回収しておこう。
81番 赤龍 アイテム1 スクロール(飛翔)アイテム2 進化の宝玉
シュナイダーがお先にどうぞと言うので、遠慮なく先に飛翔スキルを習得させてもらう。試してみると、空中浮遊とは使い勝手がまた違った感じで慣れるのに時間がかかる。消費する魔力もかなり多いようで、戦闘でも魔力を使うことを考慮すると長時間飛ぶのはキツそうだった。
しかし自分で飛ぶことができれば、戦闘の幅も広がる。今度サンドマン狩りでもして魔力の結晶(中)でも稼ぐか。
その後休憩を挟み、赤龍を狩ってスクロールと進化の宝玉を確保しておいた。
「とりあえずこんなもんで良いかな」
ゼロとシュナイダーにそんなに集めてどうするんだと聞かれる。
「今後の仲間の分と、あとちょっと試したいことがあるんだ」





