69話
海岸沿いを西へと飛ぶ。目の前には海沿いに大きな砂丘が広がっていた。
新しいモンスターの反応があるので、高度を落として近づいてみる。サメのような背びれが砂をかき分け泳ぎまわり、人型の砂がノロノロと歩き回っていた。
大天狗の錫杖を装備して、中級風魔法の竜巻で攻撃してみる。すると普段より倍くらいの大きさの竜巻が発生し、砂丘のモンスターたちを宙に舞い上げていく。
砂丘の砂も一緒に巻き上げ、モンスターは荒れ狂う竜巻と砂にその身を削られ消えていく。
74番 サンドシャーク アイテム1 砂鮫のフカヒレ アイテム2 スクロール(下級土魔法)
やっぱりサメだった。しかし、同時に竜巻で巻き込んだはずの砂人間が図鑑に登録されていない。竜巻がおさまり近づいて確認してみると、赤い玉があちこちに落ちている。
「なんだあれ? サメのドロップとは違うよな」
収納で回収ができない。すると赤い玉が砂に沈み、その場所から砂人間が生えてきた。どうやらあの赤い玉は砂人間の心臓部的なもので、あれが残っているかぎり復活するみたいだ。
次々と復活していく砂人間たちに再度竜巻を使い、砂を吹き飛ばすと、むき出しにされた赤い玉をシュナイダーやゼロと手分けして潰す。
75番 サンドマン アイテム1 魔力の結晶(中)アイテム2 冷たい心臓
アイテム2がドロップされなかった。名前をみるにあの赤い玉を凍らせるのだろうか。砂丘に降りて、まだ残っている赤い玉を手にとり下級氷魔法の冷却を使ってみる。すると赤い玉の色が鮮やかな青に変わり収納できるようになった。
これはモンスター図鑑でアイテム名のヒントがなかったら時間がかかっただろう。今回はわかりやすくて助かった。
残りの玉も急いで冷却して回収すると、次のモンスターを求めて砂丘を後にした。
他には目新しいモンスターもおらず、絡んでくるモンスターを倒して南へと進む。道中で見つけた避難所でいつもの情報提供の交渉と、ついでに一泊していく。
そこからさらに南へ進むと、再び海が見えてくる。そして、世界で一番うどんを愛する人たちが住むところへやってきた。
そこの避難所にたどり着き、まとめ役をしている人たちといつもの情報提供の交渉をしていると、真剣な顔でお願いがあると相談される。
「モンスターの情報提供へは否はありません。こうして物資や食料、アイテムも頂きましたしかならずご協力させていただきます。それとは別に、こちらからもお願いしたいことがあります」
「なんでしょうか? 自分にできることであれば、よほどのことではない限りご協力しますが……」
あまりにも真剣な様子に、どんな難題がくるのかと身構える。手に余るような内容だったらお断りしよう。
「この頂いたモンスター図鑑のコピーを見ると、様々な料理、食材を落とすモンスターがいるようです。そこで佐藤さんには、うどんの材料を落とすモンスターを発見したらこちらに教えていただきたいのです」
「はぁ、そんなことでよければ大丈夫です。見つけたらかならずご連絡します。もちろん、そんなモンスターが必ずいるという保証もないので、あくまでも見つけたらということになりますが」
そう返事をすると、会議室に集まっていた人たちが喜びの表情を浮かべている。なんでも、近隣の小麦粉や出汁の素材なんかは消費しきってしまい、長らくうどんを食べていないそうだ。
それならばと、収納に入っていた小麦粉と昆布、鰹節なんかの食材を提供する。
「佐藤さん、すみません。煮干しはありますか?」
どうやら煮干しの出汁が重要らしく、あれば欲しいと言われる。収納にあったので取り出す。材料が揃うとさっそくうどんを打つことになり、うどんパーティーが開催された。
ここの避難所は二百人ほどなので、ちょいちょい集めていた分で足りるかと思う。なんだかお祭りのようになってしまった。
うどんの材料を提供してからは猛烈に感謝され、色々な人に握手を求められた。この喜びようをみると、なんとかうどん素材を落とすモンスターには存在していてもらいたい……
振舞われたうどんはとても美味しかった。この日はその避難所で休み、次の日から再び探索に出ることにした。
香◯県の皆さま申し訳ありません。





