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59話

「こんにちは、何やら新機能が追加されたとかでやってきました」


「いらっしゃいですにゃ〜」


「いらっしゃいませですわん」


 ねこさんいぬさんの二人に出迎えられ、追憶の広間を見渡す。新機能とやらはあのオープンと書かれた札のかかった扉の先だろうか。

 プレイしていたゲームを中断して受付にスタンバイするねこさんに問いかける。


「ねこさん。あの扉の先が新機能とやらですか? 何があるんですかね? 」


「食堂ですにゃ。中で食事をすると、にゃんと……」


 ねこさんが説明をしてくれようとした瞬間食堂の扉が開き、中から金髪ロングで背中に白い翼を生やした女性が出てくる。


「ちょっと待ったー! 駄目よねこ! ワタシの役目を取らないでよね、全くもう」


「あぅ、人間さんに聞かれてつい……ごめんですにゃチャボねぇ」


 ねこさんにチャボねぇと呼ばれた女性はいつの間にかの目の前にやってきて、こちらの手を握って見つめてくる。速すぎて反応できなかった。


(えっ? いつの間に……)


 その瞬間移動と見まごう速度に驚いていると、チャボさんが自己紹介をしてくる。


「はじめまして人間さん! ワタシはチャボって言います。妹たちがお世話になっています」


「あ、はい。佐藤と言います。こちらこそ、ねこさんいぬさんにはお世話になっております」


「なんかあの娘たちったらゲーム? 漫画? とかいう外の物をおねだりしたみたいで、申し訳ありません」


 握っていた手を離しペコリと頭を下げてくるチャボさん。


「自分の趣味を布教しただけなんです。あまりこちらに来ないのでねこさんたちが暇をするかと思って。なのであまり怒らないであげてください」


 実際追憶の広間にはたまにしか訪れない。さらにさらっとチャボさんから衝撃の事実が告げられた。三人は姉妹だったようだ。チャボは確か鶏の種類だったはずだ。鳥、猫、犬。種族が全く違うが良いのだろうか?


「ウフフ、お優しいんですね。尽くしがいがありますわ」


「いえ、事実ですから。それよりも新機能とやらを知りたいのですが、説明していただいていいですか? 」


「あら嫌だワタシったら。どうぞこちらへ、おもてなしいたしますわ」


 そういうとチャボさんはこちらの手を引いて食堂の中へと案内する。食堂の中に入る瞬間ねこさんたちをチラッと見ると、敬礼をして見送られた。


(えっ、何が起こるんだ? 食堂だしご飯が出てくるだけだよね? )


 食堂の中は四人がけのテーブル席が二つに、厨房に続くカウンターがある。カウンター席に案内され座ると、チャボさんが新機能の説明を始める。


「この追憶の食堂は、日夜モンスターとの戦いに明け暮れる方を応援するためにあります。お腹が空いて力が出ない……そんなことにならないように、元気になれる美味しいお食事を提供する所なのです! 」


「まぁ食堂ですからね。えーと、それだけですか? 」


「ふふー、よくぞ聞いてくれました! 元気になるだけじゃありませんよぉ、ここの料理はなんと戦闘にお役立ちな付加効果があるんです! どうぞメニューをご覧ください」


 チャボさんに渡されたメニューを見ていく。ふむふむ、各種ステータスアップや耐性アップ、料理の種類も豊富で色々とあるようだ。思ったより凄いかもしれない。一つ気になることがあるので聞いてみる。


「あの、かなり便利そうなことは分かりますし、メニューも豊富で美味しそうなんですが、支払いはどうすれば良いのでしょうか? 」


「それはモンスターのドロップアイテムをポイントに換算して精算いたします。珍しいアイテムほどポイントが高くなりますよ」


 なるほど、交換所のようにアイテムを使うわけか。と言っても最近食料やスクロール、武器も配っている。まだまだ在庫はあるが交換所でも使うかも知れないし、無くなったらまた稼げば良いだけではあるのだが……

 悩んだ末にダブっているカミナリウオメダルを渡してみる。中級雷魔法を取るときに何個か手に入れたのだ。カミナリウオなら簡単に狩れるボスなのでいくらでも手に入る。

 チャボさんはメダルを受け取ると、交換所で使用したのと同じような謎テクの板にメダルを置く。するとメダルは板に吸い込まれて消えていった。


「はい、大丈夫です。これなら大体のメニューが何度か食べられますよ。因みにオススメは新鮮な卵を使った料理です」


 言われてメニューを確認する。卵系の料理は全ステータス小アップに加え、体力持久力中アップという迷ったらこれ、というような内容だった。耐性が必要な時以外はこれで良いのでは? そんなチートメニューだった。問題は飽きないかどうかくらいか。丁度お腹も空いていたので注文することにする。


「あ、そうだ。犬でも食べられるメニューってありますか? 仲間に居るんです。良ければ一緒に食べたいのですが」


「大丈夫ですよ、お出しできます」


「じゃあそれと、この新鮮卵のオムライスセットをお願いします」


「かしこまりました! 少々お待ちくださいませ」


 嬉しそうな笑顔を浮かべ、チャボさんは厨房に消えていく。カウンターの高さに合わせ椅子にクッションを出した。シュナイダーがお行儀良く座る。出された水を飲みながら料理が出てくるのを待つことにした。


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