56話
再び後藤さんの所へ戻り、モンスターの情報提供の対価に物資を提供することにした。食料にスキルスクロール、武器や役に立ちそうな物を渡していく。
保存のきかない肉なんかは、早速調理班の所に運ばれ今夜の夕食や保存食に加工されるようだ。甘い物も全員には中々行き渡らないようで、リンゴやずんだ餅なんかの甘いものも喜ばれた。リンゴはいつぞやのアップルトレント狩りで大量にあったので、全員の口に入るだろう。
さらに驚かれたのが大量の武器とスキルスクロールで、偶に調達班がモンスターのドロップを回収してくるが、やはり武器とスクロールは滅多に手に入らないらしく、これも非常に喜ばれた。
「ワイバーンのテイムにはテイムスキルが必須ですからね」
「いや、大変助かります」
後藤さんや備品管理の人たちとそんなこんなしていると、日も暮れてきて調達班のメンバーが帰ってきた。調達班を含めての会議は夕食後に広い会議室でということになり、久しぶりに再会した木下さんと宮田さんを迎えに行き三人で夕食を取りに行く。ゼロやシュナイダーも一緒にというので、空いている場所まで移動する。
「では、佐藤さんとの再会を祝して乾杯」
木下さんが音頭をとり、グラスを合わせる。この後会議があるので中身はお茶だ。配給で貰った食事にオニギリやいなり寿司を追加で出した。お米は久しぶりらしく、二人共美味しそうに食べていた。
「いやー本当、佐藤さんが無事で良かったですよ。そに君も心配していたんですよ? 」
「どうもすみません。でも意外となんとかなりますよ、外で旅をしても」
「それは佐藤さんだけな気もしますけど……でもそのおかげで久しぶりにご飯も食べられましたし、ゼロくんやシュナイダーちゃんとも会えました」
早々にご飯を食べ終えたシュナイダーとそに君は、寝そべってなるべく場所を取らないようにしているゼロにじゃれついて遊んでいる。さっきはゼロの大きな身体を登ったり、そに君を頭に乗せたシュナイダーが頭の上に乗ってトーテムポールのようになったりして遊んでいたが、今はゼロの鼻息で飛ばされて転がるのが楽しいらしく、吹き飛ばされてはコロコロと転がっている。
顔の前にやってきては、何度も二匹にせがまれているゼロも付き合ってあげている。飽きて次の遊びにいくまで続くのだろう。
「しかしワイバーンですか、大きいモンスターですねぇ。こんなモンスターと戦うとは、さすがというかなんというか……命がいくらあっても足りない気がしますよ」
「でもテイムされていると大人しくてなんだか可愛いですね。そに君やシュナイダーちゃんとも仲良くしてますし、良い子です」
「頼りになりますよ、それに地元の避難所では死者もなく三十人近くがワイバーンをテイムできました。次からテイムするのにも空を飛べるワイバーンがいれば楽になりますからね」
その後も楽しそうに遊ぶゼロたちを眺めながら三人でこれまでのことを話した。次は西日本を旅して回るというと、二人は佐藤さんなら何か大丈夫な気がしますと言ってきた。
まったりとした夕食も終わり、時間になったのでゼロには謎空間に戻ってもらい、会議室に向かう。どうやら宮田さんも付いてくるようでシュナイダーを抱っこしている。気に入ってしまったようだ。
会議室に着き、全員が揃うまでしばらく待つ。最後の一人が揃うと後藤さんの主導で会議は進む。ツリーの攻略で電波の使用が可能になったこと、ワイバーンをテイムすることによって他のコミュニティと連携が取りやすくなること、そのための助力や物資の提供を自分から受けたこと、また対価は珍しいモンスターの情報提供だということを説明していく。
反応は好意的で、直ぐに計画を実行に移すことになりスムーズに話は進んでいった。
翌日から地元の避難所でやったようにワイバーンをテイムしていく。希望者の人数が多く時間は多少かかったが、これからのことを考えると必要経費だと思い頑張った。無事にワイバーンのテイムも終わり、出発の時がやってきた。
「ではそろそろ行きますね。モンスターの情報提供、よろしくお願いします」
「ええ、ここまでしていただいたのです。必ずご協力することをお約束します」
「佐藤さん、また来てくださいね」
「怪我に気をつけてください」
「はい、木下さんと宮田さんもお元気で。きっとまた来ます。後藤さんや調達班の皆さんもお元気で、情報は欲しいですが、決して無理はしないでくださいね」
避難所の人たちに見送られ、西に向かって飛び立った。
その日のうちにお隣の県に着き、山の中に新しいモンスターの反応を見つける。反応を見る限り群れで行動しているようだ。木が邪魔でゼロが着陸できないので、空中浮遊を使いシュナイダーと降りる。
モンスターの群れの移動する前方に先回りで降り、周囲の木を伐採して収納していきスペースを作る。そこへゼロも着陸し、モンスターを待ち構える。
モンスターの群れもこちらを捕捉したようで、スペースを取り囲むようにばらけていく。中々賢いようだ。
「さて、何が出るかな」





