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52話

 ふかふかのベッドで目がさめる。昨夜は女子高生四人組の両親に感謝を述べられ、えらく歓待されてしまった。異変が始まってからは、もしもの事に備えて控えていたお酒もまぁまぁと勧められ、久しぶりに頂いた。きっと高級なお酒だったのだろう。美味しかった。酔いは残っていない。身支度を整えて出発の準備をした。


「もう行ってしまうのですか? 」


「はい、お邪魔しました。モンスターの件、何か分かれば電話かメールでお願いします」


「分かりました。お気をつけて」


 現在、屋敷の庭で慎太郎さんと女子高生四人組、田中さん夫婦に見送られている。昨日のうちにモンスター図鑑や、ジャングルの手書きマップもコピーして渡している。慎太郎さんとは携帯の番号とアドレスの交換をして、情報提供のお願いをした。

 少し離れた場所では、ゼロとシュナイダーが女子高生四人組のテイムモンスターとお別れをしている。昨日遊んで仲良くなったみたいだ。


「ゼロ、シュナイダーそろそろ行こうか」


 ゼロに乗り促がすと、シュナイダーがぴょんと飛んで股の間に収まる。見送りの人たちに手を振り別れを告げる。飛び立ったゼロがどこに行くんだと聞いてくる。


「そうだなぁ、南に行く前に久しぶりに両親の所に顔を出しとくよ。北西に向かって」


 しばらく飛ぶと、日本一高い山が見えてきた。良い景色だなと呑気に眺めていると、山頂に大きな何かが居るのが見えた。生命感知には未登録のモンスターの反応が二つある。こちらが近づくとモンスターも気がついたようで、大きな翼を広げて山頂から飛び立ち襲いかかってきた。


「鷹か。ん? 背中になんか乗ってるな」


 こちらへ飛んでくる鷹型のモンスターの背中に、黒っぽいモンスターが弓を構えて乗っている。鷹型のモンスターがこちらとすれ違う瞬間、黒いモンスターが矢を放ってきた。

 楽々と躱したゼロだったが、矢は物理法則を無視した動きでこちらを追尾してくる。次々と矢を放つ黒いモンスター。数十本は放たれた矢が全てこちらへ向かって飛んでくる。厄介なことにどうやら追尾のスキルを持っているらしい。


 鷹型のモンスターも黙っていてくれるわけもなく、辺りに竜巻を発生させ、こちらの飛行を妨害してくる。さらには羽根を飛ばして攻撃してきた。恐らく中級風魔法が使えるのだろう。襲い掛かる羽根や矢を魔法で撃ち落としていくが、捌き切れなかったものが何本かゼロに当たり岩石鎧にダメージを与える。

 どうやらあちらの攻撃力より、こちらの防御力のほうが上回っているようだ。竜巻にだけ注意して、多少の被弾は無視して攻勢に出ることにした。


「シュナイダー、挟み打ちだ」


 作戦を伝えるとシュナイダーはロケットフィッシュ一号に跨り、飛び出していく。

 こちらの後方を飛び追いかけてくる鷹目掛けて魔法を放ち、注意を引きつける。岩石鎧に任せてあえて攻撃をくらいスピードを落とし、弱っているように見せかけた。チャンスだと思ったのか敵の攻撃が激しくなり、完全に注意がこちらへ向く。

 その隙を突いてシュナイダーが背後から鷹の背中に飛び乗った。慌てた鷹に反応して黒いモンスターが振り返り矢を放つが、時すでに遅し。全力で放たれたシュナイダーの放電に鷹ごとやられ、落下しながら消えていく。

 ドロップを回収し、ロケットフィッシュに乗って戻ってきたシュナイダーと合流する。良い仕事だった。


「ナイスシュナイダー! ゼロも演技上手だったよ」


 中々良いチームワークだった。無事勝利できた喜びを分かち合い、モンスター図鑑を確認する。


 54番 ストームホーク アイテム1 スクロール(中級風魔法)アイテム2 風斬りの短剣


 55番 茄子の与一 アイテム1 スクロール(追尾)アイテム2 与一の弓


 風斬りの短剣は魔力を込めて振ると、不可視の斬撃を飛ばすことができ、また直接敵を切りつけた場合も追撃のカマイタチが発生し、さらにダメージを与えられるそうだ。

 与一の弓は無限に矢が出てくる矢筒とセットで、大きな和弓のような見た目をしていた。


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