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39話

 その後、何匹か岩石槍や近接攻撃でカッパを倒してみたが、一向にアイテムをドロップしない。ムキムキでヌルヌルのカッパと組み合うのは躊躇われるが、図鑑のためだ。仕方ない。


 生命感知でカッパの反応がする方向へと向かう。川の中からカッパが三匹飛び出し、シコを踏み構えをとり、さぁこいと言わんばかりにこちらを睨みつけてくる。取り巻きのカッパが木の棒で地面に土俵のような線を引く。やる気満々だ。


(はぁ……やるか……)


 武器を収納して土俵入りし、構えをとる。行司役のカッパが合図を出すと同時にがっぷりと組み合う。カッパの肌はヌルヌルするうえにマワシもなく非常に組みづらい。しかもかなり力が強く、微動だにしない。まるで岩を相手にしているようだった。


(畜生! 魔法なら瞬殺なのに)


 しかしこちらもレベルアップと強化魔法のおかげで簡単には負けない。力は拮抗していて膠着状態だ。このままでは埒があかないので、呼び出して木の陰待機させていたリビングソードに取り巻きのカッパを攻撃させる。試合に熱中していたカッパは突然の奇襲に反応できず、首をはねられ消えていく。仲間がやられたことに気づいた行司役のカッパはリビングソードの方へ振り返るが、その時には既に行司役のカッパの腹にリビングソードが突き立っていた。仲間がやられたことで組み合っているカッパの注意がそれ、力が緩んだ。


(隙あり! )


 甲羅をガシッと掴み、渾身の力でカッパをひっくり返す。土俵に転がったカッパは、悲しそうな顔でこちらを見ながらドロップを残して消えていった。相手はモンスターなので遠慮をする必要はないが、我ながら卑怯な手を使ったのでドロップするかは賭けだったが、一応大丈夫な判定だったようだ。カッパの尻子玉はカッパを相撲で倒した証と説明に書いてある。剛体は身体が丈夫になるようだ。強化魔法があるとはいえ、防御力が上がるのは助かる。


 ゼロに乗って移動しようと、先ほど降りた拓けた場所に向かおうと来た道を戻る。すると丁度その辺りに未登録のモンスターの反応が現れた。注意して進むと、そこにはさっきまでは存在していなかった、茅葺き屋根の古民家が建っていた。反応はその家からしている。


「こいつもモンスターなのか…… 」


 ゼロを呼び出し、上空から火炎魔法と火球で攻撃する。謎の家型モンスターは、特に何かしてくるわけでもなく燃やされて消えていく。あまりの呆気なさに、何かあるのではと勘ぐってしまうがモンスター図鑑を見るときちんと登録されている。


 43番 迷い家 アイテム1 薪束 アイテム2 ミニログハウス


 アイテムの説明を見ると、ミニログハウスは普段は手のひらサイズで、地面に置くとその名の通り小さなログハウスが出現するようだ。中はモンスターに襲われず安心らしい。収納から取り出すと、鍵と手のひらサイズのログハウスが出てくる。地面に置くと説明にあった通り、徐々に大きくなる。鍵を開けて中に入ってみると、10畳ほどの窓のないリビングに小さな暖炉があるだけの、非常に簡単な作りだった。万が一の野営用にと回収していたコンテナハウスも、ゼロをテイムする時に駄目にしてしまっていたし丁度良い。日本だと少しゼロで飛べば、街に着くのであまり出番はないかもしれないが……本当に安全なのか検証するついでに、少し思いついたことがあるので試してみることにする。


 透明化をかけてからゼロに乗って山から移動し、ゴブリンが二匹ポップしているコンビニの駐車場に着陸する。ゴブリンはこちらに気づいていない。ミニログハウスを取り出して透明化を解くと、反応して襲いかかってくる。急いでミニログハウスの中に入り扉を閉め、少し待機する。生命感知で見ると、特に攻撃したりしてくる様子もなく、こちらから離れていく。再び透明化をかけ、扉を開けるが、ゴブリンは反応しない。


(これができれば楽になるんだけど……)


 身体はミニログハウスから出さずに、扉を開けたままゴブリンを攻撃しようとすると透明化が解ける。その瞬間、ゴブリンはこちらを認識したようで走り寄ってくる。駄目か、とそのまま魔法を撃って倒そうとするが発動しない。慌てて扉を閉めた。


「はぁ、駄目か。そもそも攻撃できないなら説明にそう書いといてほしいよ……」


 ミニログハウスの中から一方的に攻撃できれば楽チンだと試してみたが失敗に終わる。そう甘くはないようだ。

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