37話
40番 スカイマンタ アイテム1 エイヒレ アイテム2 スクロール(中級水魔法)
ドロップを回収して、高原に戻ると早速マンタに乗っているようだ。ハーピーやフロストイーグルとマンタの上で戦っている。丁度戦闘が終わったようだ。
「戻りました。あれ、五条さんフロストイーグルをテイムしたんですか? 」
「あ、佐藤さんお帰りなさい。あやめがテイムしたのを見て、私も契約したくなっちゃって。名前はイカロスです」
ニコニコした笑顔で格好いいでしょ、と言ってくる五条さんに、その名前は縁起が悪いのではと言えなかった。本人? 本鳥も気に入っているようで嬉しそうに鳴いている。どうやらマンタと仲良く話している九重さんが羨ましくなったようで、宮藤さんも佐伯さんも可愛いモンスターをテイムすると息巻いている。さりげなくワイバーンをオススメしたが、微妙な顔をされる。第一印象が悪かったのか、かなり怖がっていたしな。ゼロが凹んでいたので頭を撫でて慰める。飛べるし強いし結構可愛いところもあるのだが、女性には不人気なようだ。
その後は女子高生四人組が、レベル上げを兼ねてモンスターをテイムしに行くというので、こちらはソロでレベル上げをすることにした。田中さんご夫婦も付いていくというし、ここら辺のモンスターならもう自分がついていなくても大丈夫だろう。日が沈む前にコテージに帰るということで別れた。
レベル上げを終えて、コテージ前でまだ若干拗ねているゼロのご機嫌をとる。
「まぁそんなにいじけるなよ。お前は頼りになるし、顔だって凛々しくて良いじゃないか」
本当か? と尋ねてくるゼロにお前は頼れる相棒だと伝えると、次第に機嫌が直ってくる。意外と繊細だな。ゼロの新しい一面を目の当たりにしていると、皆が帰ってきた。宮藤さんはラッキーラビット、佐伯さんがナースシープを連れている。
「お帰りなさい。無事テイムできたんですね」
「はい。この子はピーターです」
「この子はメリー」
ラッキーラビットがピーターで、ナースシープはメリーと名付けたようだ。人間たちで話していると、ゼロに寄ってきてモンスター同士挨拶をしている。日も暮れてきたので、テイムしているモンスターを戻しコテージに入ることにした。夕食を済ませて、今後の予定を話し合う。
「自分はこの後、リベンジしたいモンスターを倒してから太平洋側を回って首都に向かうつもりです。その後は南ですね」
レベルも上がったし、中級魔法も覚えて火力も上がった。あの巨大魚もなんとかなると思う。コテージ組も強くなって移動手段のマンタもいるし、自分が付いていなくても大丈夫だろう。助太刀を提案されたが、趣味の図鑑埋めの戦いだ。不要な戦闘に付き合わなくても良いと一度は断ったが、ここまで助けてくれた恩返しがしたいと皆が言うので、巨大魚戦だけ手伝ってもらうことにした。
「それじゃ、夕食もとったし風呂入って寝ますか」
自分がここに来るまでは、薪の節約のため濡らしたタオルで身体を拭くことしかできなかったらしく。温熱付与で風呂を沸かすと、食料を提供した時より喜ばれた。確かに三カ月近く風呂に入れないなんて、異変前じゃなかっただろうし女性ならなおさら辛かっただろう。男でもキツいと思う。その後は順番に入浴を済ませ、明日からに備え早めに寝ることにした。
「準備は良いですか? 」
荷物をまとめて、マンタに乗った皆が頷き返してくる。良さそうなのでゼロに引き離さないように飛ぶようお願いして空に飛び立つ。見えづらくなるので透明化は無しだ。速度の問題と道中絡んでくるモンスターを倒していったこともあり、途中の街で二泊ほどして巨大魚のいる港町までたどり着いた。相変わらず海は嵐で荒れている。以前泊まらせてもらった民宿に入り、コテージメンバーの荷物を置き、巨大魚戦の作戦を説明する。
「これから戦うモンスターなんですが、30メートルくらいはある大きな魚です。基本海中に潜っていて、飛び出してこちらを飲み込もうとしたりしてきます。中途半端な遠距離攻撃は、放電攻撃で相殺されます」
「えーと、それって倒せるんですか? 手出しできないような……」
「前回戦ったときわかったんですが、放電攻撃は連続してできないようなんです。その時は中級魔法を覚えていなかったので、火力が足りないと思って引いたんですが、今回は皆さんが居るので、魔法で放電攻撃を誘ってもらい、その後の隙に中級魔法を撃ち込んでいけばダメージが入ると思います」
一人でやる場合、ゼロに火球を吐いてもらい隙を突いて業火球とリビングソードの特攻で削るつもりだったが、手数が増えたので予想よりは楽に戦えると思う。作戦の周知も済み、無理はせずに危なそうだったら一旦逃げるということで話はまとまった。





