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28話

 せっかく家族と再会できるというのに、避難所の入り口まで見送ってくれた山中さんと別れ、ゼロに乗り飛び立つ。そういえばモンスター図鑑を確認していなかった。


 29番 クレセントベア アイテム1 熊肉 アイテム2 スクロール(冷気耐性)


 冷気耐性は、寒さや氷に強くなるようだ。熊肉は、食べたことがない。


 日が沈み始めた頃には、本州北端の県に辿り着いた。今日はどこかで一泊して、明日から探索する。適当なホテルで一夜過ごした。


 翌朝、準備を整えるとゼロに乗って索敵を開始した。どうやらこの辺りにはミノタウルスやクレセントベアはいないようだ。ゴブリンやオーク、ストレイドッグが主でたまにオーガが混ざる。農園地帯の上空を飛んでいる時に、待望の新モンスターを見つけた。


(木が歩いてる……)


 枝に真っ赤なリンゴを実らせた木が、そこら中を歩いていた。空から攻撃すると簡単に倒せる。一応反撃にリンゴを飛ばして攻撃してくるのだが空を飛び回るゼロには当たらなかった。


 30番 アップルトレント アイテム1 リンゴ アイテム2 魔力の結晶(小)


<条件を満たしたのでモンスター図鑑の新しい機能が解放されます>


「お、久しぶりの新機能か」


 まだ狩りを始めたばかりだが、新機能を早く確認したかったので昨夜滞在したホテルに戻ることにした。


 ホテルに戻り、モンスター図鑑を確認する。特に新しい項目は見つからなかった。追憶の広間に何か増えているのかもしれない、と行ってみることにする。光が収まり、追憶の広間に出るとそこには、ゲームをしているねこさんと、もう一人見知らぬ女性が新たに増えたスペースに立っていた。


「こんにちは、ねこさん。新しい機能が増えたと聞いて来たんですが、そちらの方は……」


「こんにちはですにゃ。人間さん。ソイツはですにゃぁ」


 ゲームを中断して、説明しようとするねこさん。食い気味に見知らぬ女性が自己紹介してくる。


「初めまして。人間さん。新しく追加された交換所の看板娘の、いぬと申します。わん」


「初めまして、いぬさん。自分は佐藤と言います。それで、交換所の説明をお願いしてもいいですか? 」


 いぬさんは身長がねこさんと同じくらいで、黒髪のボブカット。首には赤いチョーカーをしており、フリフリのメイド喫茶の店員のような格好をしている。眠そうなジト目と、抑揚に乏しい声で説明を始めた。


「交換所では、人間さんが手に入れたアイテムと、ここにある良いアイテムが決められたレートで交換できます。わん」


 そう言うとリストを差し出してくる。リストにはまだ手に入れたことのないアイテムもあり、上級の魔法スクロールなんかも存在していた。しかし交換レートがめちゃくちゃ高い。中級魔法スクロールでさえ、同じ属性の初級スクロール100に魔力の結晶(小)100だ。

 上級はその中級スクロールが100に魔力の結晶(大)100と書いてある。火炎か水の中級は、魔力の結晶(小)を少し稼げば交換できそうだ。交換所のリストには、結晶シリーズが載っていなかった。魔力の結晶(大)を落とす敵を見つけるのが早いか、上級魔法スクロールを落とす敵を見つけるのが早いか、と悩んでいると声を掛けられる。


「何か交換されますか? わん」


「少しアイテムが足りないので、稼いでからまた来ます。ねこさん、闘技場とダンジョンの方は何か追加がありますか?」


「第二試合と第二階層が追加されましたにゃ。第二階層はまだ第一階のボスを倒してないので利用できませんにゃ」


「分かりました。ありがとうございます。今日はこれで帰りますね」


「またですにゃ」


「またのお越しをお待ちしております。わん」


 二人に見送られ、ホテルに戻る。まずはもうすぐ交換できそうな火炎と水の中級魔法スクロールを目指すことにした。他の属性はスクロールが足りないので、後回しにする。まだ日も高いし、アップルトレントもリポップしているかもしれない。もう一度狩りに出かけよう。


 日が沈むまでモンスターを狩り、ホテルに戻ってきた。夕食や入浴を済ませてから、今日の成果を確認する。魔力の結晶(小)が40個、下級風魔法スクロールが60個集まった。いくつかのアップルトレントの湧きポイントを巡回して狩って回ったが、ドーピングアイテムは結構落ちにくいようだ。風魔法スクロールは、湧き待ちや移動中に絡んできたハーピーを狩って手に入れた。こちらも100に届きそうだ。


(中級魔法スクロールを三種類取るまでは稼ぐか)


 明日からはしばらくリンゴ狩りだ。




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