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26話

 港町にたどり着き、モンスターを倒してまわっていると、急に雲行きが怪しくなってきた。黒雲からはポツポツと雨が降り始め、風が吹き、ゴロゴロと雷まで鳴り始めた。嵐をやり過ごそうと、屋内に避難しようとした時であった。沖合いに何か大きなものが泳いでいるのを見つけた。ゼロに近くまで行くよう、お願いする。荒れた海と、水中にいることから正確な大きさは分からないが30メートルは超えているように思う。日本海にシロナガスクジラはいないはずので、こいつはモンスターだろう。


 ゼロの火球と投石で攻撃してみるが、当たらない。水中へと潜ってしまった。雷が激しさを増した気がする。突然、巨大な水飛沫を上げて水中からモンスターが飛び出し、こちらを飲み込もうとしてくる。間一髪のところで回避できた。


(で、デカすぎる)


 巨大な魚の目と目が合う。こちらを睨んだように見えた。巨大魚は、飛び出してきた時よりも大きな水柱を立てて海へと戻っていく。水中に居ては手が出せない。巨大魚の周りの海水を無限収納へ回収する。水の守りが無くなった巨大魚へゼロの火球と投石で攻撃する。すると巨大魚の身体が光る。周りを雷が迸り、こちらが放った攻撃は相殺されてしまった。空白を埋めるように海水が流れ込み、巨大魚は見えなくなってしまう。


「うぇ、雷か……あれじゃあ迂闊に突っ込めないぞ」


 手持ちのスキルや収納物では、現状倒すのが難しそうだ。一旦退避することにする。港町まで戻ると、民宿にお邪魔して雨で濡れた身体をタオルで拭いていく。すっかり身体が冷えてしまった。風呂に入ろうと、浴槽に湯を張る。身体を洗い湯に浸かると、なんとも気持ちが良かった。


(まず水中にいるってのが厄介だよな。それと雷)


 先程の巨大魚戦について考える。敵は海の中で、近づくと雷を放ち防御してくる。倒すには、海中から引きずり出し、あの雷の防御を貫かなければならない。海を全部収納するのは、無限収納という文字を信じるのであれば、おそらくできるのであろう。しかしさすがに躊躇われる。そんなことをすれば生態系にとてつもないダメージを与えてしまう。


(飛び出してきたところにランス持ってゼロと騎乗突撃するか? )


 死んでしまう。止めてくれとの言葉がゼロからかえってきた。


「さすがにダメか。今回は諦めて、対策ができてから来るか」


 雷対策か、海中にいるのをどうにかする手段が手に入ったらまた来よう。風呂を上がり、夕食を済ませる。まだ寝るには早い時間だったが、もうお風呂に入ってしまったので外に出る気にはならない。ふと、ゼロと意思疎通ができるのであればモンスターのことが何か分かるかもしれない、と聞いてみることにした。


「なぁ、ゼロ。テイムの契約前のことは何か覚えているか? 」


 気がついたら空を飛んでいた。こちらを見つけると倒さなければという気持ちが湧いてきた。とゼロは言う。あとは戦闘に負けて、テイムの契約をし現在に至る。


「ふーむ、わかってたことだけどやっぱりモンスターは人間を攻撃するために生まれてきたんだな」


 他の生き物はどうなんだ、攻撃したくならなかったのかと聞くと、人間だけだと言う。確かに、野生動物は人間に比べて見かけることが多い。しかしモンスターは謎な存在だ。こちらを食べるためとかでは無く、本当にただ殺すだけ。しかも殺された人間は光になって消えるときた。倒してもリポップするので、際限がない。このままでは人類は滅亡してしまうか、極少数が比較的安全な地域で細々と生きていくことになるだろう。


「それが目的なのかな……」


 なんにせよ、難しいことを考えても自分にできることなど高が知れている。そういうのは軍とかお偉いさん方に任せよう。一般人の自分が生き残れているのだし、どこかで反抗作戦とかを狙っているだろう。まだ少し早いが、布団に潜り込み眠ることにした。


 翌朝目が覚めると、外はまだ嵐のようだった。レインコートを羽織り、ゼロに乗って海を確認しにいくと、巨大魚はまだ悠然と海を泳いでいた。どうやら倒すまではここにポップしたままのようだ。焦って無謀に突っ込むこともない、万全の態勢を整えてから再戦しようと港町を後にした。


 ゼロに乗り、途中見かけるモンスターを空から倒して北に進む。空から火球と魔法で敵を倒していると、なんだかRPGからシューティングゲームになった気分だ。しばらくそうやって進んでいると、山の頂上で大きな熊型のモンスターを見つけた。よし倒そうと近づくと、何かと戦っているようだった。


「あれは……犬か? 」


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