25話
「茶色だしブラウンで良いか」
そう言うと、それはやめてほしいとの感情がワイバーンから伝わってくる。わかりやすくて良いと思ったのだが嫌らしい。
「じゃあクルゥはどうだ? 」
ふるふると首を横に振っている。これも嫌らしい。その後もいくつか名前の候補を挙げていくが、お気に召さないらしい。
「頑固な奴だなぁ。なんなら良いんだよ。もう思いつかないぞ? 可愛い系かカッコいい系か、どっちが良いんだ? 」
カッコいいのが良いと言ってくる。もうそれほどボキャブラリーはない。
「ゼロはどうだ? この国の有名な飛行機の名前なんだが」
それが良いとのことで、ワイバーンの名前はゼロに決まった。ようやく名前も決まったので、ゼロに乗ってみることにした。乗せてほしいと伝えると、屈んで背中に登りやすくしてくれるが、それでも高さ2メートルくらいだ。ゼロの大きさは立っている状態で体高3メートル、体長10メートル、翼長にいたっては15メートルくらいある。鱗の突起に足をかけ、どうにか背中までたどり着き跨がる。背中の鱗が結構ゴツゴツして痛いが、掴まる所には困らない。まずはその辺をゆっくりと飛んでもらう。ゼロは軽く助走をつけると、羽ばたき、空へと舞い上がった。
「おおー! 凄いぞゼロ! 」
ゼロから得意げな感情が伝わってくる。眼下には山や森、遠くの街も見える。風が強いので自分に防風をかける。ゼロがいつもより調子が良いと言っている。騎乗スキルのお陰かもしれない。試しにゼロに小力と追風をかけてみると、ものすごい勢いで飛び始めた。振り落とされないように必死でしがみつく。スピードにも慣れてきたところで、ハーピーが現れた。魔法とゼロの火球で倒していく。
空中戦の練習に何度かハーピーと戦っていると、再びワイバーンが現れる。ゼロはテイムしたのでドロップが回収できていない。戦うことにした。ゼロは火球、自分は投石の魔法で牽制する。アクロバティックに攻撃をかわし、火球で応戦してくるワイバーンだが、こちらのゼロには強化が掛かっており当たる気配は無い。何度目かで翼に火球と投石がヒットし、動きが止まり隙ができる。手にしていた錫杖を、ナイトランスと交換して突撃する。右翼を大きく抉られたワイバーンは、地面へと墜落していき霧となって消えていく。
ドロップを回収し、モンスターの居ない所へと着陸し図鑑とアイテムを確認する。
27番 ワイバーン アイテム1 飛龍の火炎袋 アイテム2 飛龍のマント
飛龍の火炎袋 使用すると辺りに可燃性の液体を撒き散らす。
飛龍のマント 高い火炎耐性と、打撃耐性を持つ。
初めてモンスターから防具をゲットした。マントなら鎧とかと違って素人でも使いやすそうだ。火炎袋は強敵に使ってみよう。その後、ミノタウルスに火炎袋を当て、ゼロが火球を放つと一撃で倒せてしまった。これは良い物だと、火炎袋を取るために10匹ほどワイバーンを狩り、暗くなる前に昨日のホテルへ戻ることにした。
透明化を掛けて飛ぶと、モンスターに絡まれずにホテルまでたどり着くことができた。そこでゼロをどうするか迷う。ホテルに入れる大きさではない。そう考えると、ゼロが大丈夫だという。ゼロの身体が光って消えると、こちらの身体に飛び込んでくる。身体の中から、ゼロが用事があれば呼べと言ってきた。
(便利なもんだ)
今日はもう休むだけなので、また明日頼むと伝える。問題も解決し、昨日泊まった部屋へ行く。楽な格好に着替えると一息ついた。昨日の反省を踏まえ、風呂の前に晩御飯にすることにした。霜降り肉に塩胡椒をして焼いて食べる。美味しい。湯煎して温めたパックごはんとステーキは一瞬でなくなり、おかわりもしてしまった。その後は風呂に入り歯を磨いてから眠りについた。
翌朝ホテルを出て、ゼロを呼び出す。魔法陣が現れ、ゼロが出現し乗りやすいように屈んでくれる。ゼロに跨り、強化魔法と透明化をかけるとまだ見ぬモンスターを探して飛び立った。
空からの索敵は快適で、今のところ透明化をかけていればモンスターに絡まれることもない。付近を探索したが、新しいモンスターは発見できなかったので、さらに北へ向かうことにした。
しばらく北へ行くと、既存のモンスターの中に見たことの無いモンスターが混ざり始めた。赤い肌をしていて、角が二本生えている鬼のようなモンスターだ。身長は2メートルくらいだろうか、手には大きな包丁を持っている。
上空からゼロの火球と、魔法で攻撃する。空からの一方的な攻撃に、為す術もなくやられていく鬼たち。何体か倒してドロップを回収していく。
28番 オーガ アイテム1 オニギリ(具材ランダム)アイテム2 鬼斬り包丁
その後、空から見えた港町に向かってみることにした。新しい水棲モンスターに遭遇できるかもしれない。





