表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/166

20話

 60キロ程度で車を走らせていた時は、ハーピーも騎士も出現しなかったので、警戒しながらも高速道路を車で走る。しばらく行くと米所として有名な県に着き、高速インターを降りる。暗くなる前に今夜の宿を探すことにした。


 車から降り、街を散策していると違和感を覚える。全然モンスターに遭遇しないのである。確かに今までも、モンスターの少ないエリアはあったが、ここまで遭遇しないのは初めてのことであった。街に降りてから釣具屋、コンビニ、本屋、スーパーなどで物資を集めてまわったが、その道中一度も見かけていない。変だなと、思った瞬間であった。後ろに気配を感じ、咄嗟に飛びのき振り返る。そこには、ギョロリとした大きな目の爬虫類が鋭い爪を振り抜いた姿勢で立っていた。


(こいつ、いつの間に! )


 手に持っていた女王の刺突剣を突き出す。それをかわした爬虫類は、スゥーと背景に溶け込むようにして消えていった。


(透明な敵とは、厄介極まりない。どれだけ数がいる? 既に囲まれているか? )


 爬虫類は、攻撃時は透明化が解けるのだろう。攻撃してくる直前には姿が見えていた。そして再び姿を消した。視界内に現れればなんとか反応できる。問題は死角だ。ここは、リビングソードを召喚して背後を任せる。


「背後や死角の警戒を頼む」


 呼び出したリビングソードに指示を出すと、ふよふよと背中側に移動した。武器を構え警戒する。背後からギャッという鳴き声が聞こえ振り向くと、リビングソードに斬り捨てられた爬虫類が消えていくところだった。


(おぉ! リビングソード有能)


 すると、こちらにリビングソードが剣先を向けて突っ込んでくる。はっと、振り返ると爬虫類が飛びかかってきていた。空中でリビングソードに串刺しにされた爬虫類が消えていく。ついついリビングソードの活躍に気を取られて油断してしまった。とりあえず2体倒して、図鑑登録はできたのでドロップを回収し、近くの建物に避難することにした。


 避難した建物は、有名コーヒーチェーン店だった。中の探索を済ませてから一息つく。どうやら人はいないようだった。リビングソードは出したままで、図鑑とドロップの確認をする。


 19番 アサシンリザード アイテム1 拘束の爪 アイテム2 スクロール(透明化)


 拘束の爪は一度使ったらなくなる消耗品だが、麻痺毒があり、命中した相手を一定時間麻痺させることができると書いてある。透明化のスクロールは使用時に魔力を消費するが、攻撃したり、相手に接触したりしない限りは透明化していられるようだ。


「厄介な相手だけあって、良い物を落とすなぁ。透明化がモンスターにどれだけ通用するかだけど、探索も戦闘も楽になりそうだ。できれば爪がもっと欲しいけど……」


 リビングソードの活躍で被弾しなかったものの、もし攻撃を受けていれば、麻痺してやられてしまっていたかもしれない。爪は欲しいが、麻痺対策ができてから追憶のダンジョンで稼ぐことにする。ついでにステータスも確認しておく。


「えーと、レベルが29。前回確認した時から増えたスキルが、下級魔法の水、土、風。武器系が剣術、槍術、斧術。その他に騎乗と鋭刃、リビングソード召喚、透明化か」


 しかし、結構スキルが増えてきてスキル欄が見づらい。ツリー化して見やすくならないものか、と考えていると、ステータスのスキル欄がレアスキル、武器スキル、魔法、パッシブスキル、その他スキルという項目にまとめられた。ゾッと鳥肌が立つ。


(今の考えが一瞬で反映された?! )


 しかし、元からあった機能の可能性もある。世界がこんな状況になっている今、これくらいで驚いても仕方ないかと考える。それにスキル欄が見やすくなった。便利になったのなら良いことだ。


 その後食事をしたり、濡らしたタオルで体を拭いたりしていると、リビングソードが消えていく。どうやら魔力を消費しきったようだ。


「だいたい2時間くらいか」


 今日は騎士やハーピーとの戦闘でも魔力を消費したので、万全の状態ならもう少し召喚していられるだろう。常時出しっ放しにはできないが、今日の活躍を見るとリビングソードは優秀なようだし、これからもお世話になるだろう。


 そろそろ休むことにする。広い店内では落ち着かないので、事務所で寝ることにした。布団を敷き、念のため入り口に自販機を出してバリケードにする。戦闘と長距離の運転で疲れていたのか、すぐに瞼が重くなっていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー ツギクルブックスの作品紹介ページに飛びます画像をクリックするとツギクルブックスの作品紹介ページに飛びます!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ