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18話

 翌朝目が覚めると、身支度をし朝食を済ませ、調達班のメンバーたちと合流する。作戦としては、余っている下級魔法スクロールを覚えてもらい、自分が集めてきたモンスターをコンテナで囲み、魔法で倒す。実にシンプルで安全な作戦だ。ゴブリンロッドとスクロールを渡し、魔法のコツを教えていく。取り出したコンテナを的にして、魔法を撃ってもらい感覚を掴んでもらった。一応近接用の武器もいくつか渡しておく。剣術スキル持ちのカツ君は木刀を使っていたので、ゴブリンソードを渡しておいた。


 準備が整い、出発する。自分が先行して進み、ある程度行った所で5体のオークを見つけた。持っている斧を取り上げてコンテナで取り囲み、適当な足場を収納物で作る。1度に全員は上がれないので、何人かがコンテナに上がると、オーク目がけて魔法を放つ。何度か外したのもあるだろうが、レベルのせいか自分が使うよりも魔法が効いていないように見える。結局途中で魔力的なものが尽きたのか、魔法が撃てなくなり、オークをたおしきれなかった。その後2回交代して、ようやくオークを倒すことができた。ドロップは肉が1つだけだった。


 オークを閉じこめては狩っていく。一巡すると全員の魔力が尽きたので、今日は帰ることにした。犬はすばしっこくて攻撃を当てづらく、倒しても骨とドッグフードしか落とさないのであまり美味しくなかったため、自分が相手をした。


 避難所に戻り、会議室で今日の成果を話しあう。オーク狩りの成果は、何人かのレベルアップと肉が5個、斧が0だった。肉のドロップ率は約20%、自分が倒した時は必ず肉を落としていたので、ドロップ率アップの効果は少なくても5倍以上はあるだろう。


(ドロップ率アップの発動条件は、所持者がトドメをさすことかな。でもウサギの尻尾の効果もあるのかも、運が良くなるって書いていたし)



 次の日からもオーク狩りは続いた。魔力は一晩眠ると、みんな回復したらしく、元気に魔法を撃っている。昨日はオークを倒すのに交代が必要だったのだが、今日は交代なしで倒せていた。そんな日々が1週間ほど続くと、調達班はもうコンテナなしでオークを相手にできるようになっていた。肉ばかりだが配給の食事が増え、避難者も喜んでいた。そろそろ大丈夫そうなので避難所を出発することにした。


「なぁ、本当に行っちまうのか? 」


「うん、やることがあるからね」


「そっか、わかった。でもまた来いよ、絶対に」


 そう言うカツ君に頷いて返す。両親は諦めた様子で、くれぐれも無茶なことはするなと念をおしてきた。見送りには調達班の人たちも来てくれていた。


「それじゃあ皆さん、お元気で」


 見送る避難所の人たちに、手を振り別れて避難所を後にする。そろそろ暑くなる季節だし、北へ行こう。


 さて、どう行くかと悩む。高速道路はあの騎士がいる。いずれは倒すが、あんな強そうなのが移動中に何度も襲ってきたら面倒だ。かといって、下道はエンカウントが多く、時間がかかる。新しいモンスターと会える可能性があるのは良いが、最近オークと犬ばかりでマンネリ気味だ。せめて図鑑に、討伐数が記録されたら少しはやる気が出るのだが……


 悩んだ末に、高速道路に行くことにした。とりあえずあの騎士を倒してみて、リポップ間隔が早すぎたら下道で行こう。手持ちの装備で、どうやって倒すか考えながら歩き、高速道路まで着いた。歩いて入り、さぁ来いと待ち構える。


「車の仇討ちだ! かかってこい」


 5分待つ、まだ来ない。10分待ってもまだ来ない。30分待っても来ない。いい加減緊張も解けてしまい、道路に座り込んで休む。さすがにおかしい。


(これはあれか、条件付きポップか?)


 そういえば40分は車で走ったなと思い出す。移動距離か、スピードか、乗り物で移動していることか。はたまた複合しているのか。検証してみることにした。先ずは歩きだ。


 徒歩で1時間ほど移動する。結果的に騎士は現れなかったが、人間の女性の顔をした鳥モンスターが群れで現れた。空を飛び回り、羽を飛ばしてきたり、急降下して爪で引っ掻いては上空に戻ったりと、中々いやらしい。羽に当たらないように、こちらもなるべく動いて攻撃する。見ると、道路には羽が突き刺さっている。当たればただでは済まなそうだ。


(はあー、やっぱり飛んでるやつは手強いな)


 さらに鳥女の動きは素早く、杖持ちの投石でもかわされることがあった。急降下してきたところにカウンターをあわせたり、なんとか投石を当てて数を減らしていく。

 何度か羽を食らってしまったが、治癒で治しながら頑張りようやく全滅させることができた。ドロップを回収する。


 16番 ハーピー アイテム1風切羽 アイテム2 スクロール(下級風魔法)


 風魔法を覚える。魔法は、射出、防風、追風の3つ。射出は、物を飛ばす魔法だ。重量のある物は飛ばせないと書いてある。さっきの羽は射出で飛ばしていたようだ。防風は、矢、炎、霧の勢いを弱めたり、向きを変えられるらしい。追風は行動時に補正がかかる、と。中々使えそうな魔法が揃っていた。


(車で移動している時は、ハーピーが出てこなかった。徒歩で移動中に現れるのか? )


 魔法を試してみることにした。コンテナを取り出して、的にする。先ずは風切羽を射出すると、カンッという音を立ててコンテナに突き刺さった。結構威力がありそうだ。色々飛ばそうとした結果、手持ちの武器は全部飛ばせなかった。次は弓をコンテナに射って、コンテナ周りに防風を使う。矢は防風に当たると、ふわぁと上にそらされて落ちた。最後の追風が凄かった。移動はもちろん、武器を振る際のスピードも上がり、小力と合わせて使い棍棒でコンテナを殴ると、10mほど転がっていった。


「おぉ、めっちゃ威力が上がってる」


 これならば、あの全身鎧の騎士にもダメージが入りそうだ。思いがけず、戦力が強化され嬉しくなる。次は車で移動を試すことにした。時速60キロで30分ほど走るが、ハーピーも騎士も現れない。今度は時速100キロで走る。30分ほど時間が経ち、ルームミラーで後ろをチラチラ確認する。


(来た!)


 ミラーには馬に跨り、此方を追いかけるあの騎士がうつっていた。



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