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162話

「佐藤君、私には君が天から遣わされた御使に見えるよ。本当にありがとう」


「うわ。マ、マキシム大統領落ち着いてください」


 あの後負傷者の治療のため回復魔法をかけてまわった。中級回復魔法の効果は高く、ほとんどの負傷者が全回復し驚かれた。

 ただ部位の欠損までは治すことが出来ず、傷と体力の回復までにとどまった。

 怪我人も居なくなったところで次は物資の提供をした。食料に暖房器具、生活用品、必要そうな物を全て出していく。

 ロシアの街でもちょくちょく回収をしていたし、ここの生存者の数も百人少しなので以外と余裕がある。


 負傷者の治療をし、物資の保管場所にと案内された部屋に無限収納から次々と物資取り出し満たしていく。とりあえずこんなものですかね、と先ほどから軍人さんと一緒に大統領官邸を案内してくれているマキシム大統領を振り返ると、力の限り抱きしめられた。


(うお、凄い力だ。これはレベルがある程度高くないと潰されそうだな)


「はぁはぁ……。すまない、取り乱してしまったよ。いや、連続して想像以上のことが起こってね。なんなんだい君は、救世主か何かかね? お告げとか聞いた?」


「いえ、普通の元サラリーマンですけど……特にお告げとかは聞いてないです」


 興奮して若干キャラが変わっているマキシム大統領にそうかえす。


「しかし、なぜこんなに良くしてくれる?」


「日本には情けは人の為ならずということわざがありまして、アレクセイさんたちを助けたいのは本心なんですが、自分にも目的があるんです」


「ほう、目的か。無償の善意より、対価を要求されたほうがこちらの方としても頼りやすいが……佐藤君、君はこの滅びかけたロシアに何を望むんだね?」


「それは……」


 自分がモンスター図鑑を埋める旅をしていること。中にはレアポップだったり、条件ポップだったり期間限定にポップしてりと捜すのが困難なモンスターがいることを説明する。

 この特殊な条件がなくても広大なロシア、世界を一人で制覇するのは不可能に近いため、もし氷像にされた人たちを解放できれば協力してほしいことを伝えた。

 日本でも大変だったのだ。元々ロシアでも同じように各地の人たちを助けていき、日本と同じような協力を仰ぐつもりだったのに、アレクセイさんたち以外まったく人に出会わない。

 必死にロシア語を勉強して、おかしいなと思いながら旅した結果がまさかの誘拐サンタだ。でも氷像にされてしまった人たちは元に戻る可能性がある分まだマシなのかな?


 マキシム大統領からの返答はない。呆れられたか、そんなことに協力はできんと思われたか。まぁ簡単には決められないか。


「はっはっはっは。君は随分とぶっ飛んでるな! いや、失礼。悪い意味でなく、良い意味でだ。なぁ、諸君」


「えぇ、大統領。言われなくても化け物どもにはたっぷりお礼しなければなりませんからね」


「あんたのおかげでまだ戦える。珍獣を見つけたら教えたら良いんだろ? お安い御用さ」


「正直俺には理解できない趣味だが、日本人はHENTAIだっていうしな。あんたは仲間の命の恩人だ、協力するさ」


 おぉ、みんな協力的だ。しかし自分は変態ではない。あの軍人さんはきっと間違って言葉を覚えてるのだろう。

 他意はないが顔と名前を覚えておこう。後でしごき……ゲフン。特訓の時に日本語の教育が必要だからね。


「私はロシア軍の最高司令でもある。もし、氷像化されたロシア国民が解放された際には、ロシア軍総力をあげて君の趣味に協力しようじゃないか。国家消滅を救う英雄の報酬には安いかもしれないがね」


「いえ、何よりの報酬です」


「それじゃあ早速作戦会議でもひらくかね」


「あ、マキシム大統領。日本には腹が減っては戦はできぬということわざもありまして……」


「ほう。それは良いことわざだな」


 なんやかんやしてるうちに昼を過ぎて、時刻は夕方に差し掛かっている。食料も充分な量提供したし、まずは腹ごしらえからだ。

 調理場に行き保存の効かない食料とカセットコンロなんかを取りだしていく。調理できる人間が集められ、料理が始まった。

 自分も手伝おうとすると、大統領に君はこっちだと連れていかれる。既に賓客をもてなすようなテーブルがセッティングされ、大統領と向かいあうように座らせられる。

 大統領官邸には大統領の家族も避難していたようで紹介される。


「妻のアンジェラと娘のソフィア、ニナだ」


 娘さんたちは奥さんに似て美人だ。決して熊をも素手で絞め落とせそうなマキシム大統領に似なくて良かったなどとは思っていない。

 挨拶を済ませると、下の娘さんのニナちゃんがこちらをチラチラ見てくる。正確にはシュナイダーが気になっているようだ。


「ご飯が終わったら、シュナイダーと遊んでもらえるかな?」


「……うん!」


「私も!」


 どうやらお姉さんの方もシュナイダーと遊びたかったようだ。

 シュナイダーは慣れたもので、モテすぎて困るとおどけていた。いや、本当にモテモテなんだよな……。


 しばらく運ばれてくる料理を堪能し、大統領夫妻と歓談しながらシュナイダーと遊ぶ姉妹を眺め、その日は休むことになった。

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