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16話

 街に入るなり、豚っぽい顔のやつと痩せた犬の群れに襲われた。しかし飛ばない相手はあまり脅威ではない、一まとめにしてコンテナで囲み。上から魔法と、ついでに弓も使い倒していく。


(うーん、らくちん)


 14番 オーク アイテム1 豚バラ肉 アイテム2 オークアクス


 15番 ストレイドッグ アイテム1 骨 アイテム2 ドッグフード


 最後に家族からきたメッセージに書いてあった避難所を目指して歩く。地元なので道は分かるが、やけにモンスターが多く、既にオークと犬を合わせて100は狩っている。中々進まない。放置車両には鍵が刺さったままの車もあるので、車で行けないこともないが、こう遭遇が多いと面倒だ。あとで乗るかもしれないし、とりあえずは道にある邪魔な物を収納しながら進むことにした。




 日が沈む前に、避難所になっている母校にたどり着く。もう辺りは薄暗くなってきている。校門にいる門番に声を掛ける。


「すみません。こちらに家族が避難していると聞いてきたんですが、中に入れていただけますか?」


「ん? おい! ヒデじゃないか! お前ここまでどうやって来たんだよ。とにかく、危ないし中に入れ」


「おー、カツ君久しぶり。無事だったんだね。良かった」


「おう、久しぶり! まぁ入れよ」


 幼馴染の大原勝志が門を開け、招き入れてくれる。校庭を見渡すと、この避難所は見回りっぽい人たち以外に外に人が居ない。あまり避難できなかったのだろうか。仲の良かった知り合いも何人かは、と顔を曇らせていると、カツ君が肩を叩きながら言う。


「安心しろよ、おじさんもおばさんも無事だぜ。うちの親父とお袋も生きてる」


「そうか、ありがとう安心したよ。ここには何人くらい避難できたの?」


「300人ちょっとらしいぞ。ただ他にも避難所があるから、もうちょい生存者はいるはずだ」


「そっか、食料は大丈夫?」


「この騒動もすぐにはおさまりそうにないってことで、最近野菜とかを育て始めたけど、かなりカツカツだな。調達班がたまにはぐれの豚野郎を倒して肉が出て持って帰るが、とても全員には行き渡らないな」


 やはり、どこも食料を調達するのに苦労しているらしい。ここらは敵の数も多かったし、戦える人間も少ないのだろう。


「しかし、よくここまで来られたな。バケモンはどうしたんだ? つーか荷物はその剣だけか?」


「いやー、かなりヤバかったよ。高速道路で死に掛けたし、オークとストレイドッグは大丈夫だったんだけどね。荷物はスキルでしまってる」


「死に掛けたって、お前。無茶すんなよな。スキルって、どんなだよ。ちなみに俺は剣術だった」


「無限収納って言うんだけど、生き物以外ならなんでも収納できるやつ。めちゃくちゃ便利だよ」


「何だよそれ、ずるくねーか?」


「はは、ラッキーでした」


「ラッキーってなぁ……まぁおじさんたちに顔見せてこいよ、1年1組にいるはずだ。また後で話そうぜ」


「わかった、ありがとう」


 教室に着くと、何人か人がおり、それぞれ割り振られたであろう仕事をしている。隅の方で縫い物をしている母親を見つけ、近づきながら声をかける。


「母さん」


 ばっと顔上げた母親は、こちらに走り寄り抱きしめてくる。おう、中々力強い。ぽんぽんと背中をたたきかえす。


「秀一! あんた良く無事で!」


 おいおいと泣きながら、怪我はしてないか、ご飯はちゃんと食べてるか聞かれ、危ないことするんじゃないと怒られた。まわりにいた奥様たちも、佐藤さん、良かったわねぇなどと言い、もらい泣きしている。


「ごめんってば母さん。父さんはどこにいるの?」


「ぐすっ、お父さんなら校内の見回りね。たまに揉め事がおこるから。夕食の時には会えるわよ」


 涙をハンカチで拭いながら、答える母親に炊事場はどこか聞く。どうやら中庭で煮炊きしているようなので、向かうことにした。


  中庭ではテントを張り、給食センターの大鍋で調理が行われていた。カツ君のお母さんを見つけ、声を掛ける。


「おばさん、お久しぶりです」


「あら? ヒデちゃん! 無事だったのね! お父さんお母さんにはもう会ったの? 」


「母さんには、さっき会ってきました。父さんは夕食のときにでも」


「まぁ、良かったわ。2人共とても心配していたのよ

 。それで、どうしたの? 夕食はもう少しかかるわよ」


「ちょっと差し入れに」


 大き目の鍋何個かにわけて、今日大量に手に入れた豚バラ肉を取り出しいれていく。ひと塊が結構デカイ。2kgはあるだろうか。1人200gとして、まぁ30個ほど出せばいいか。


「ヒデちゃん、何も無い所から……」


「スキルってやつですよ。良かったら使ってください」


「あら、凄いのねぇスキルって。ありがたく使わせてもらうわ」


 そういうと、カツ君のお母さんは食材を切っている人たちの所へ肉を持っていき、処理をお願いしていた。


「そういえば、職員室には行ったの? 避難の登録をしておかないとダメよ? 」


(そういえば報告してなかったな。んー、登録は特にするつもりはないけど)


「分かりました、これから行ってみます」


 夕食前に済ませてしまおう。カツ君のお母さんに御礼を言い、職員室に向かうことにした。


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