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158話

コンプ厨1巻発売中です! 電子書籍版もよろしくお願いします!

 氷像にされてしまった人たちを元に戻すため、手がかりを求めて西へ飛ぶ。

 三日程行くと険しい山々が目の前に現れた。マップで確認すると、どうやらこれがウラル山脈らしい。雪で覆われた広大な山脈は絶景の一言に尽きる。

 いつもならこんな景色に大喜びのお松さんは、現在追憶の広間にいる。氷像になってしまった子供たちを目の当たりにしてからずっと思い詰めた様子だったので、あまり考え過ぎないようにとねこさんたちと遊べるよう連れていったのだ。

 シュナイダーもお松さんも、果ては引きずられてゼロまで元気がない。

 自分もあの像が凍らされた人間だと気がついた時は結構な衝撃をうけたが、亡くなって消えてしまうよりかはまだ希望があると思うのでみんなほどの落ち込みはない。

 もちろんできるだけ早く凍らされた人たちを元に戻したいとは思うが。


 しばらく山の景色を楽しみながら飛んでいると、生命感知に未登録のモンスターの反応があった。

 肉眼で確認すると保護色になっていて分かりにくいが、白いフサフサした毛の塊が動いている。

 複数ある反応めがけて追尾をかけた業火球を放ち倒し、ドロップを回収していく。


 128番 ビッグフット アイテム1 白銀の剛毛 アイテムに2 ビッグフット


「おお、雪男だ」


 あの有名なUMAがこんなところに……これはネ◯シーやモスマンなんかもいたりするかも? 上空からの奇襲で倒したので姿がよく見えなかったし、早速図鑑で確認しようとすると、ゼロがあれは良いのか? と話しかけてきた。


「あれ?」


 山肌を見ろというので顔をあげてみると、雪崩が起きていた。スルーしていたキラーラビットやアイスフォックスなんかの登録済みのモンスターたちが雪崩に飲み込まれていく。

 今の状況でこの山に人がいるとは思えないが、万が一ということもある。

 雪崩を収納して止め、ついでに巻き込まれて倒されたモンスターたちのドロップも回収する。


(うわ……一山まるごとはげちゃった)


 雪崩を止めるためザックリと雪を収納した結果、先ほどまで綺麗に雪化粧していた山一つがまるごとはげ山になってしまった。まぁ雪はまた降るだろうし別に良いか。

 これで図鑑が確認できると思いきや、今度はフロストドラゴン三匹に絡まれる。

 透明化がとけているのを忘れていた。ひさびさに新しいモンスターを登録できたので浮かれていたのか気が抜けていた。

 結局フロストドラゴンとの激しい戦いの余波で雪崩が起き、収納しまくった結果周囲の山ほとんどがはげ山になった。


「はぁー、今度こそ大丈夫」


 すっかり雪がなくなった山の山頂付近にミニログハウスを出して、休憩がてら図鑑を確認する。

 ビッグフットは体長二メートル五十センチくらいで全身が長い白い毛で覆われており、名前の通り足が大きかった。

 ドロップアイテムの白銀の毛皮はかなりの大きさで、五枚ほどでミニログハウスの床を覆ってしまった。

 ただ絨毯がわりにするには少し毛がゴワゴワし過ぎらる。耐寒性と防水性が高いようなので、むしろマントなんかに加工したほうが良さそうだ。

 武器は結構ドロップするので困ったことはないが、防具類のドロップは少ない。

 いぬさんの交換所で交換できるものは種類が決まっているし、今のところ自分しか利用できない。

 日本の各避難所では、モンスター素材を使った独自の武器や防具を作ろうという目標もできていた。

 今度日本へ帰った時にはRPGのような武器防具屋ができていたりするかもしれない。

 次のアイテム、ビッグフットは足装備のようで名前の通りビッグフットの足の形をしている。

 これを装備していると氷の上でも滑らず、雪にも足が沈まなくなり、まるで雪面を跳ねるトビウオのようになれるそうだ。雪国で戦うにはおあつらえ向きの装備だが……


「でも見た目は最悪になるな」


 胴は真紅龍の鎧、足にビッグフットじゃかなりダサい。できれば真紅龍の鎧によせた統一感のあるかっこいい装備でまとめたい。

 まぁ基本ゼロに乗って飛んでいるし、最悪足場の悪い場所では空歩や飛翔スキルもある。ビッグフットは一旦しまっておこう。


 軽く休憩した後、まだ日が沈むまで時間があるので先へ進むことにした。

 やがて山脈を越え大分西へと進み夜になる。まだモスクワまでは結構な距離がある。今夜はここまでにしようとキャンプ地を決め、ミニログハウスを設置した時だった。

 一瞬生命感知にサンタの反応が写る。北東から南西へ向かい、ものすごい速度で移動していた。

 相変わらず飛ばしている。キャンプはやめだ。ミニログハウスを収納して透明化をかけ、サンタを追いかけることにした。


 ゼロの頑張りもあって、何とかサンタに追いつくことに成功する。このサンタも何処かで人を攫ってきたのだろう。

 倒したい気持ちはあるが、今はサンタが何処へ向かっているのか確認する必要がある。

 今日の仕事は終わったのか、それともここいらの人たちはもう攫われてしまっているのか、サンタは寄り道をすることなく南西を目指して飛んでいる。

 夜通しサンタのあとを追いかけ、日が昇り始めたころ眼前に現れた光景に息を呑む。


 そこには巨大な氷の壁で囲まれたロシアの首都モスクワがあった。

 さらに街の至る所から伸びた曲がりくねった氷柱の上に氷でできた城が築かれている。

 速度を落としたサンタが城へと降りていく。どうやらサンタの目的地はあの城だったようだ。

 いかにもボスがいそうだが、それはむしろ望む所だ。図鑑も増えるし人々を氷像化から助かるヒントもあるだろうしで一石二鳥。

 しかしまずは街がどんな状況にあるのか探ることにする。アレクセイさんの話にも出ていた氷でできたゴーレムの姿も見受けられるが、後回しにして静かに氷壁に覆われた街に降り立った。

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