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149話

 追憶の広間へ戻ると女性陣が集まって何やら盛り上がっている。丁度良い。これから毒だらけの危険な場所へ行くし、お松さんにはこのままここで待っていてもらおう。ソファーに座るみんなへ歩み寄って声をかける。


「ただいまです。お松さん、目的の物は手に入れたのでちょっと外へ出てきますね。危険なのでここで待っててください」


「お兄さんおかえりなさい。って、物凄く顔色が悪いですよ!? 大丈夫なんですか?」


「人間さん早く毒を治すんですにゃ!」


 忘れてた。下級回復魔法の解毒で毒を治してついでに病毒耐性スキルも覚えておく。

 そうだ、ねこさんに八階層のボス部屋のことも聞いておかないと。ねこさんに八階層であったことと、九階層が氷の洞窟になっていることを伝える。


「という感じだったんですけど、追憶のダンジョンってどういう仕組みになってるんですか?」


「すみませんにゃ。私も詳しい仕組みはわからないんですにゃ。ただ一つ言えるのは、追憶のダンジョンは人間さんの経験を元に作られていくということですにゃ」


「はぁ、なるほど。けどなんとなく分かりました」


 言われてみればそうだよな。ダンジョンに追加されていくモンスターは自分が倒してきた順番にそっているし、ボス部屋に配置されるモンスターも倒した順番通りになっている。

 ダンジョン内の構造のイメージは一階層から八階層まで石造りのダンジョンだったのは、ダンジョンと聞いて思いうかべたのが昔のダンジョンRPGだったからなのかもしれない。

 氷の洞窟になったのは最近ロシアで雪と氷ばかり見ていたせいだろうか? ある程度自分の意識がダンジョンに影響するのであれば、ダンジョン内の造りをコントロールできたりするのかな。

 でもどのタイミングでダンジョンの作成が反映されているのかわからないし、難しいかな……。


「お兄さん、出かける前にお昼ご飯を食べていったらどうですか? 良い時間だし、腹が減ってはなんとやらですよ?」


「そうですね、丁度良いしそうします」


 そういうことでチャボさんの食堂でご飯を食べていくことになった。扉を開け食堂に入ると、いつものカウンター席に座る。両隣にシュナイダーとお松さん用に高さを調整した椅子があり、二人もそこに座る。


「いらっしゃいませ〜。今日は何になさいますか?」


 先ほどまでソファーで一緒に雑談していたチャボさんが、エプロンを身につけ注文を尋ねてくる。


「むむむ、悩みます。オムライスかナポリタンか……」


「自分は味噌ラーメンで」


 シュナイダーはサイコロステーキ。お松さんは悩んだ末にオムライスとナポリタン両方頼んでいた。しばらくして出てきた料理を堪能する。相変わらずチャボさんの料理は美味しい。


「ふぅ、ご馳走さまでした。やっぱりチャボさんのお料理は最高です」


「うふふ、ありがとう。お松ちゃん」


 もう慣れたが相変わらずお松さんはよく食べる。しっかりと普通サイズのオムライスとナポリタンを平らげてしまった。

 あの小さな人形の体で質量がどうとかは、もはや突っ込んではいけないのだろう。それ以上に不思議なことが世の中には溢れているのだ。

 食後のコーヒーを楽しんだ後広間へ戻ると、ロバさんがこれまでまとめてくれた資料を渡してくれる。ロシアに関してもある程度調べてくれたようだ。


「ありがとうございます。ロバさん。助かります」


「いえ、これが仕事ですので」


 おお、なんだろう。ロバさんがかっこいいぞ。できるキャリアウーマンって感じだ。

 追憶の広間の住人の中では一番年下に見えるが、とてもしっかりとしている。


「あー! やめるにゃ、今邪魔されたら私の大連鎖が!」


「相手の手を潰すのも戦略わん」


 仕方ないんだ。ねこさんといぬさんは自分が来ないと仕事がないから……ずっと遊んでいるわけじゃないんだ。


「あの二人は八割くらい遊んでますよ?」


「残りの二割は……?」


「チャボ姉さんに怒られてます」


 おお……なんてことだ。いや、でもこれは娯楽を布教した自分にも責任があるか。


「ロバさんは一緒に遊ばないんですか?」


「たまに遊びますけど、アタシは本の方が好きです」


 こちらも非常に助かっているが、見た目が女子中学生くらいのロバさんが既にワーカーホリックになってしまっている。これも大体自分のせいだ。

 外の世界との繋がりが自分たちしかいないせいか、彼女たちへ与える影響が大きいな。

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