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142話

「自分は佐藤と言います。モンスターを倒す旅をしています」


「俺はアレクセイ。佐藤っていうと、あんた日本人か」


「はい。珍しいモンスターを探しに日本からやってきました」


「日本からきた……? あの化け物たちを探しに? 何の冗談だ。あんたは日本のエージェントか何かか?」


「いえ、元サラリーマンです」


「そうか、まぁ深くは詮索しないでおく。あんたには助けられたようだしな」


 アレクセイさんは何か勘違いしている気配がするけど、まぁいいか。それより何か食べ物でも出してあげるか。


「食事はできそうですか?」


「俺は大丈夫だ。それより子供たちが起きたら何か食べさせてやってほしい」


 アレクセイさんは自分よりも子供たちに何か食べさせてほしいと遠慮している。子供たちを保護している人がまともそうな人で良かった。


「遠慮しなくても大丈夫ですよ。食料は沢山あるので」


「気持ちはありがたいが……」


 ミニログハウスの中をみまわして言葉濁すアレクセイさん。そうか、物資はほとんど収納にしまってるから何もないように見えるのか。

 ロシアの人の口に合うかわからないが、レトルトのシチューでも温めて出すか。収納からガスコンロを取り出して鍋でパウチを温め始める。


「それは、あんたのスキルか?」


「そうですよ。見えない場所に物資は沢山あるので遠慮しないでください」


 シチューが温まり、お皿に移してお盆にスプーンと一緒に乗せアレクセイさんに渡す。

 お盆を受け取ったアレクセイさんは礼を言うとあっと言う間に食べ終えてしまう。よほどお腹が空いていたらしい。

 その後シチューを二杯おかわりしたアレクセイさんはひと心地ついたのか、ポツポツと自分たちの事情を語り始めた。


「あの化け物どもが現れてからすぐに軍が出動した。民間人を保護しながら避難させ、最初は何とかなっていたがいくらでも湧いてくる化け物たちに次第に押され始めてな……」


 兵器の弾や燃料にも限りがある。無傷で勝ち続けられる訳でもなく、ドラゴンや強力なモンスターたちに戦闘機やヘリ、戦車も落とされ次第に戦力も下がってきて状況は悪くなる一方だったようだ。

 そして食料の問題もあり、次第に人間同士でも争うようになったようだ。アレクセイさんが所属していた部隊はこの半島方面に派遣されて活動していたようだが、首都との連絡も途切れ補給もままらなくなり残った子供たちを連れてここまで逃げてきたようだ。


「部隊の仲間も子供たちを逃がすために……」


 話によると内陸に向かうほどモンスターは強力になるようだ。それにロシア政府も機能していない可能性があるな。これは日本も同じか。

 偉い人たちは生き残っているようだけど、国として機能するかというとまだ難しいだろう。


「ここは安全ですから、しばらくゆっくり休んでください」


「すまない、助かる」


「ふぁ〜、おはようございます」


「あ、お松さんおはようございます」


「佐藤、他に誰かいるのか? そういえば仲間が三人いると言っていたか……」


「あれ、起きられたんですか?」


 子供たちの枕元で休んでいたお松さんがこちらにやってきて自分の肩に登ってくる。


「佐藤、それは……」


「仲間の一人のお松さんです。幽霊なんですけど今は人形に乗り移っています」


「お松です。よろしくお願いします」


 覚えたてのロシア語で挨拶をしながらペコリと頭を下げるお松さん。きちんと通じているようで、未知の存在に動じながらもアレクセイさんが挨拶をかえしている。


「他にもポメラニアンのシュナイダーと、ブラックドラゴンのゼロが仲間にいますよ。後で紹介しますね」


「お隣に白熊さんたちも暮らしてますよ」


「あ、そうですね。白熊たちも紹介しなくちゃ」


「幽霊に犬にドラゴンに白熊……訳がわからん」

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