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137話

 水上歩行で海面に降り立ち、両肩に溺れる白熊を一匹づつ担ぎ救助する。一旦ゼロの背に戻って、濡れている白熊の海水を収納を使い乾かしてやる。

 救助から乾かしてやるまでの間、終始白熊は大人しくしていた。岩石鎧もあるし、多少齧られても大丈夫かなと思っていたが、お利口さんだったな。

 このまま白熊たちを乗せていてはイッカク型モンスターと戦いにくいので、ゼロにどこか適当な場所へ運んでもらおう。こちらの考えをシュナイダーに通訳してもらう。

 しばらく黙ってシュナイダーの言葉を聞いていた白熊たちは、ガウガウと答えを返すように吠える。シュナイダーの通訳によると、助けてもらったうえに運んでもらえることにお礼を言っているようだ。


(結構賢いな。もしかしてモンスターを倒したことがあるのかも)


 異変が起きてから今まで生き延びてきた白熊だ。モンスターを倒したことがあっても不思議ではない。餞別にいくつか便利そうなスクロールを渡し、説明はシュナイダーに任せる。


「ゼロはどこか安全そうな場所に白熊たちを降ろしたら戻ってきてね。シュナイダーもついていってあげて。お松さんは危ないんでちょっと収納に避難しててくださいね」


「わかりました!」


 お松さんを収納に避難させ、ゼロを見送るり巨大イッカク型モンスターを釣り上げるのにチャレンジする。

 広範囲に凍りついた海に降り立ち、どうするか考える。まだ奴はこの氷の下にいる。先ほどは氷の下から白熊たちを感知して攻撃したように見えたし、氷の上で待っていれば仕掛けてくるだろうか?

 生命感知で動きを見ると、白熊を救助した場所の周辺を泳いでいる。獲物がいないことに気づいたのか、遠ざかっていく。

 ちょっと待ってほしい。こちらはそっちに用事があるのだ。氷上を馳け、イッカク型モンスターを慌てて追いかける。

 すると方向転換してこちらへ向かって泳いできた。どうやら気づいてくれたようだ。氷上を歩く振動を感知しているのかもしれない。


 こちらの真下まで来たところで飛翔で飛び上がり、奴が飛び出してくるのを待つ。潜って助走をつけているのか中々出てこない。

 まだかなと上空から氷の上に投石を放ち、音を立てて催促する。何度か投石を撃っていると、氷を突き破り巨大なドリル状の角が現れた。

 再び潜られる前に角を掴みにいく。流石に巨大過ぎて腕が回らないが、力技でなんとか海中から引きずりだして氷の上にイッカク型モンスターをほうり投げた。

 何度か回転して体勢を整え、こちらを向いたイッカク型モンスターは、角を含めるとゼロに匹敵する程の大きさだった。


(角じゃなくて牙だったのか。ご飯が食べにくそうだ。モンスターはご飯食べないけど……)


 牙は二、三十メートルはあるだろうか。体色は灰色に黒い斑点模様があり、胸ビレが大きく陸上でも身体を支えて身体を持ち上げている。

 しかしその巨体通り俊敏には動けないようだ。こちらへのそのそと這ってくるが、非常に遅い。

 高速で後ろへ回り込み尾びれを掴んで放雷をお見舞いする。しかし思ったよりも効果が薄く、振り上げられた尾びれに弾き飛ばされてしまった。

 雷は効果抜群ではないらしい。体勢を立て直し今度は黒龍剣で尾びれを斬りつける。動かされたせいで狙いがズレたがかなり深く傷を負わせることができた。


 追撃に背中へ取り付き剣を突き立てる。痛みに暴れて振り落とされそうになりながら剣に放雷を流す。ビクンっと身体を震わせモンスターの動きが止まる。

 チャンスを逃すまいと、黒龍剣に魔力を込め始めるがモンスターの感電からの復帰が早い。再び暴れ始め氷を牙で叩きはじめた。海に潜る気のようだ。


(揺れて集中しにくいな。間に合うか?)


 モンスターの身体が傾き動く。氷に穴を開けられたようで海面が近づいてくる。

 このままでは海に潜らせてしまう。しかし次の瞬間、モンスターの動きがぴたりと止まったかと後半に向かって引っ張られ、ブンっと氷上に放り投げられた。


「ゼロ!」


 モンスターに剣を突き刺して一緒に放り投げられながら、ドヤ顔のゼロと目が合った。良いタイミングで戻ってくれた。

 サムズアップで返し、魔力を込め終えた黒龍剣の力を解放した。

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