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12話

 いきなりあんな蜂の大群に襲われるとは夢にも思わなかった。それまで全く見かけなかった蜂がポップする条件でも満たしたのだろう。


(恐らく、蜂たちの出現条件がヒーリングフラワーの一定数討伐とかだったんだろうなぁ)


 特殊な条件でポップするモンスターがいる可能性があることもわかったし、何とか討伐もできて良かった。さっきは慌てて逃げ場の無い公衆トイレに逃げ込んでしまったが、次からは無理をせず撤退も視野に入れていこう。命は一つしかないのだ。立ち回りを反省しながら公園の出口へと向かった。


 それは今日最初にウサギを倒した広場まで戻ってきた時のことだった。突然、後ろから突き飛ばされゴロゴロと芝生の上を転がる。疲労に、考えごとをしていたせいもあるだろう、警戒が疎かになっていた。まだ敵がいたのか、それともリポップしたキラーラビットか。鈍痛を感じる背中に治癒をかけ、後ろを振り返るとそこには金色のキラーラビットが居た。普通のキラーラビットは白色だった。


(何だ? 金色のキラーラビット? )


 大きさ的にはキラーラビット(白)よりふた回りくらい小さい。先程不意打ちを食らってしまったが、今は回復魔法を使える。痛みも耐えられないほどではなかった。頭部に食らわないようにだけ気をつけよう。


(自販機が全部駄目になったのが痛いな、囲いこんで動きを封じられない)


 手に女王の刺突剣を取り出し、先程の不意打ちのお返しにこちらから仕掛ける。なんちゃってフェンシングの構えから踏み込み、キラーラビット(金)めがけて剣を突き出す。


(避けられた!)


 カウンターに備えて、すぐに構え直す。右だ。振り向いた時にはキラーラビット(金)は、こちらの頭の高さまで跳躍し後ろ回し蹴りの構えをとっていた。咄嗟に両腕で頭を庇いガードする。ドンっと重い衝撃と痛みに、剣を手放してしまう。一旦距離をとり、剣の回収と両腕への治癒を行う。再び剣を敵に向かって構える。


(動きも見える、ガードも間に合った。落ち着いて対処すれば勝てる)


 次はカウンターを狙う。暫く睨み合いが続くと、キラーラビット(金)の方から仕掛けてきた。ジグザグに跳びはねながら、向かってくる。右か、左か、構えて待ち構える。そのままこちらをスルーして通り過ぎていく。


(後ろか!)


 振り返る。いない。嫌な予感に慌ててバックステップをする。少し前まで居た場所に、キラーラビット(金)が降ってきて芝生の混ざった土が弾け飛ぶ。着地後の隙に剣を突き出すが、バック宙で躱されてしまい再び睨み合う。日が沈み始めてきた。夜の闇の中でこいつを倒せる気がしない。やはりこちらから仕掛ける。突きにこだわらず、とにかく攻撃を当てる。踏み込み、剣を薙ぎ払う。


(掠った!)


 初めて当たった(掠った)ことに喜びが湧いてくる。浮かれた気持ちを抑えて、キラーラビット(金)に向き直る。カウンターはとんでこない。見ると戦闘時ピンと立っていた耳が垂れている。毒が入ったのか、動きが鈍くなっている。火球を放つが躱される。しかし何度か放つとついに直撃し、力尽きたキラーラビット(金)は霧になって消えていった。


 10番 ラッキーラビット アイテム1 ウサギの極上肉 アイテム2 ウサギの尻尾


<条件を満たしたため、モンスター図鑑の新たな機能が解放されました>


(新たな機能? 気になるけど、確認は後だな)


 辺りはもうだいぶ暗くなっている。ドロップを回収し、急いで今夜の宿を探すことにした。



 公園から少し歩いた所に漫画喫茶を見つけたので、今夜はそこで泊まることに決めた。24時間営業で異変当時も営業していたのだろう、中には片付けられずに放置されたジュースのコップや漫画が散らかっていた。人は1人もおらず、厨房には何も残っていなかった。クリアリングが済んだので、ファミリールームの一室に布団を出す。かなり疲れたので、早く横になってしまいたかったが、濡らしたタオルで身体を拭く。軽く食事を済ませ、布団に横になると、すぐに眠りに落ちた。




 翌朝目覚め、まずはステータスの確認をした。


 名前 佐藤 秀一

 種族 人間

 状態 健康

 レベル 23

 スキル 無限収納 ドロップ率アップ モンスター図鑑 初級火炎魔法 棍術 短剣術 初級回復魔法


(レベルが結構上がってるな、剣術とかはまだ覚えてないか……)


 次は気になる、ラッキーラビットのドロップを確認する。


 ウサギの極上肉 とてもとても美味しい


 ウサギの尻尾 幸運を呼ぶウサギの尻尾。装備しないと効果は無い。


「肉がなぁ、美味しいって書いてあるけど食べて平気なのか? 」


 肉はどうも踏ん切りが付かないので、取り敢えず収納し直し、ウサギの尻尾を出してみる。結構でかい、自分の握りこぶしくらいはある。色は金色で、もふもふして手触りは中々良い。


「これを、装備するのか……どうするんだろ」


 そう思っていると、手の中の尻尾が消えた。収納したわけでは無い。まさかと思い、腰に手をやると尾骶骨あたりがすごくもふもふしている。装備してしまったようだ。


「ないない、これはない」


 ウサギの尻尾を収納に戻す。収納から直接装備はできるのか気になり試してみる。するとどうやら可能らしく、先程収納に戻した尻尾が腰に現れる。人前だと恥ずかしいが、幸運を呼ぶというのも気になるしそれ以外のところでは装備しておこう。


 最後にモンスター図鑑の新たな機能を確認することにする。図鑑を開き、横にnewと書かれた自己主張している追憶の広間という項目に手を触れると、足元に魔法陣が現れ、眩しい光に包まれた。


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