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119話

 吹き飛ばされたゼロとシュナイダーが心配だが、二人が回復するまで目の前の鬼を引きつけなくてはいけない。

 黒龍剣を引き抜き追撃をしようとするが、どういう訳か食い込んだ鬼の腕から抜けない。一旦収納に戻してと考えた時には、既に鬼の拳が真紅龍の鎧を着た胴に突き刺さっていた。

 黒龍剣は収納できたが、再び壁に激突するほど吹き飛ばされる。馬鹿力過ぎるだろ……


「お前、なかなかタフだな。その鎧もかてぇし、楽しいぜ」


 漫画のバトルジャンキーのような台詞を吐きながら、ゆっくりとこちらに歩いてくる鬼にうんざりする。こっちは別に楽しくない。

 ダメージを回復させながら立ち上がり、黒龍剣で上段から斬りかかる。それを裏拳で弾いた鬼が、後ろ回し蹴りを放つ。

 しかし黒龍剣は囮だ。弾かれた瞬間に黒龍剣を収納へとしまい、鬼斬り包丁を取り出して構えて回し蹴りを受け止めようとする。


 鬼の馬鹿力が乗った回し蹴りが鬼斬り包丁にあたる直前、ピタリと回し蹴りが寸止めされ風圧でよろめく。


(風圧だけでこれか)


 敵の攻撃の勢いでカウンターを狙ったが、直前で止められてしまった。諦めずに鬼斬り包丁を振るうと、鬼は受けるのを嫌がりこちらから距離をとる。鬼の長い髪が数本宙を舞った。


(受けるのを嫌がった?)


 鬼斬り包丁を構え、鬼ににじり寄る。鬼には先ほどまでのイケイケ感はなく、こちらを警戒しながら様子を伺っているように一定の距離を保っている。

 なんだろう。黒龍剣は躊躇なく左腕で受けたのに、鬼斬り包丁は受けようとしない。斬れ味は黒龍剣の方が絶対に鋭いんだけど、まさか鬼斬り包丁の鬼への特効はそれを上回るのか?

 でもこれオーガが落とす武器だぞ? 確かに武器類はドロップしにくいらしいけど、自分はドロップ率アップのおかげで結構手に入る。

 毎回確実に落とすわけではないが、数を倒しているので各地の避難所や、収納にも結構な数が出回っている。そして何より、この鬼ヶ島ダンジョンにも鬼斬り包丁を落とすオーガが出現するのだ。


(ある意味、RPGのお約束感はあるか……)


 そのダンジョンのボス部屋の鍵が同じダンジョンの宝箱に隠されていたり、攻略に有利なアイテムが入っていたりと、なんでそんな所にしまってるの? というケースは多い。

 まぁ、それを突っ込んでしまうとゲームが進まないので、思っていても言わぬが花。決して、いや取れない場所に隠しておけよ。などと突っ込んではいけないのだ。


 これはいけるかもしれない。鬼の攻撃で即死はないし、どうやら特効武器もある。ゼロとシュナイダーもダメージを回復して立ち上がっているのが見える。


「どうしたんですか? 今度はこっちからいきますね」


「チッ」


 鬼斬り包丁を構え斬りかかる。やはり鬼は受けずに攻撃を回避してこちらへカウンターを仕掛けてくるが、おお振りな攻撃は減り常に回避を意識したような立ち回りになった。

 こちらへの警戒が増した分、シュナイダーの細かな攻撃を受ける数が増え、鬼は少しずつダメージを負っていく。

 しかし効きそうとわかっても、なかなか直撃させることができない。あの戦闘能力をかなりの割合で回避にさかれては、厄介このうえなかった。


 こちらの攻撃に集中し過ぎた結果、鬼がゼロの尻尾で薙ぎ払われ壁に激突し大きな隙ができる。

 チャンスだ。収納から大量の鬼斬り包丁を取り出して中級風魔法の強化投射で一斉に撃ち出す。迫り来る大量の鬼斬り包丁に一瞬目を見開いた鬼だったが、雄叫びのような声を上げると身に纏った青い炎が爆発的に膨れ上がり、部屋の中を覆い尽くす。

 咄嗟にゼロが自分とシュナイダーをかばうように立ち塞がり、炎から守ってくれる。時間にすれば数十秒のことだが、やけに長く感じた。

 炎が収まりシュナイダーにゼロの回復を頼む。流石の炎に強いゼロもダメージを受けたようだ。

 そんな大技を繰り出した鬼は、身に纏っていた炎がなくなり肩で息をしていた。大分追い詰められているようだ。


「はぁ……はぁ……てめ、どんだけ持ってんだよ……まぁ良い。これで厄介な包丁はそれだけだな」


 これだけ? 何か勘違いしているようだ。しかも肩で息をして大分消耗している。再びのチャンスに、再度収納から大量の鬼斬り包丁を取り出し、強化投射で鬼へと放つ。

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