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11話

 肉は気になるが、一先ず置いておいて公園を探索するために同じ手順でウサギたちを倒していく。目に見える範囲は掃討したので、いよいよ公園に足を踏み入れる。異変前には人々の憩いの場だった公園も、いまは人っ子ひとりいなく、なんとも寂しいものだった。


 しばらく進むと、見たことのない花が生えている。鈴のような形をした白い大きな花が一輪と、大きな葉っぱが二枚。何よりおかしいのは、花弁が薄っすらと光っている。


(モンスターだよな、多分)


 近づいてみても動いたりする様子がなかったので、この機会に弓を使ってみることにした。ゴブリンボウを取り出し、木の矢をつがえ、撃ってみる。初めて撃った矢は、モンスターの横を飛んでいき見えなくなった。身体能力は上がっているはずなのに、センスがないのだろう。しかし、めげずに何度か撃っていると、何発目かの矢が花弁に命中し花型のモンスターは鈴の音を鳴らしながら消えていった。ドロップを回収し図鑑を確認する。


 7番 ヒーリングフラワー アイテム1 解毒薬 アイテム2 スクロール(初級回復魔法)


 アイテム2 が初級回復魔法だった。しかし、文字は灰色で残念ながらドロップはしなかったようだ。回復手段は是非とも欲しいので、ヒーリングフラワーを狩っていくことにした。動かない花に弓を射る、10体ほど倒し、ようやく落ちたスクロールを回収しさっそく使用したその時だった。空から物凄い羽音と共に、蜂の大群が襲いかかってきた。


(ヤバイ! なんかデカイのも1匹いるし)


 走って逃げ回る。こちらもかなりのスピードで走っているのだが、蜂たちの飛ぶスピードもかなりの速度だ。背後から迫る羽音のプレッシャーを感じながら、何かないかと視線を巡らせると、公衆トイレを見つけたので慌てて駆け込み鉄骨で入り口を塞ぐ。ギリギリで間に合った。鉄骨の隙間から見える蜂たちは、体長30cmほどもありガチガチと顎を鳴らして鉄骨に針を突き立てる音もする。あんなのに群がられたら一瞬で終わりだ。


 公衆トイレに逃げ込み、一難は去ったものの、蜂たちが諦める様子は見られない。個室に隠れてみたりしたが、羽音と鉄骨にガンガンと打ち付けられる針の音が止むことはない。


(怖いよ! ちょっと執念深すぎないか?! )


 しかし、できれば蜂たちを倒してドロップを回収したいし、このままではトイレに泊まることになる。しかも蜂たちの騒音付きで、気分的にも環境的にも快眠は望めないだろう。やれるだけやるかと、無限収納のリストを眺める。ある所で目が止まった。


(モンスターに効果があるか分からないが、ダメ元でやってみるか)


 ホームセンターの園芸コーナーから回収した農薬散布用の噴霧器に、漂白剤、農薬、洗剤、とにかく混ぜたら危険そうな物を混ぜていく。一応マスクをして作業したが、危険な香りがする。噴霧器をシュコシュコとして、鉄骨の隙間から撒いていく。薬品を嫌がって、蜂たちが鉄骨から離れた。そうして何度か薬品を撒いていると、鉄骨に針を突き立てる音がしなくなった。隙間から見ると蜂たちは地面に落ち、弱々しい動きで動いていた。倒せるまではいかなかったが、飛んでいなければこちらのものだと自動販売機を落として潰していく。


 8番 ジャイアントワスプ アイテム1 蜂蜜 アイテム2 蜜蝋


 目に見える範囲のドロップを回収する。デカイのはどうしているかと隙間から窺うと、離れた所を飛んでこちらの様子を見ていた。子分たちのやられるところを見て薬品を警戒したのだろう。あの高さでは自動販売機で囲んで閉じ込めることもできない。試しに何度か火球を放ってみるが、躱されてしまう。


「くそぉ、ウサギといい蜂といい、回避率高いな」


 手持ちの遠距離攻撃は当たらなそうなので、なんとか動きを止める必要がある。しかし、飛んでいる相手を囲む手段も無い。


(ここは打って出て、カウンターを決めるしかないか)


 覚悟を決め、鉄骨を収納しトイレから足を踏み出した瞬間、物凄いスピードで突っ込んできた。突き出される針、それに合わせて目の前に自動販売機を出す。ドンっという音と共に、自動販売機を貫通してきた針の先っちょが見える。


 すかさず自動販売機を5台使い取り囲むが、連続で針を刺し暴れる蜂、地面に固定しているわけでもないのでグラグラとして今にも倒れそうだ。


(間にあってくれ!)


 自動販売機の上空に、収納に入っている鉄骨を全て出す。離れて見守る十数秒が長く感じた。轟音を立てて、自販機ごと蜂が叩き潰される。中に入ったままの飲み物が吹き出した。


(なんとか倒せた……)


 今まで武器を取り上げたゴブリンを、レベルと腕力に物を言わせて倒してきたせいか、自分を傷付ける可能性がある相手にかなり緊張した。レベルも上がり、身体能力も上がったが動きはしょせん素人だ。服装も普段着で、あのデカイ針で何度も刺されていたら、毒がどうこう以前に穴だらけになり死んでしまうだろう。雑魚狩りで慢心していたのかもしれない。今後の課題が色々と見えてきた戦いだった。


 くよくよしてても仕方ない。気を取り直して、鉄骨とドロップを回収し図鑑で確認をする。


 9番 クイーンワスプ アイテム1 クイーンワスプメダル アイテム2 女王蜂の刺突剣



 クイーンワスプメダル クイーンワスプを倒した証


 女王の刺突剣 この剣で貫かれた相手は毒に侵される



 メダルを取り出してみると、直径10cmほどで素材はプラチナっぽいが、見る角度によって虹色に輝いてとても綺麗だ。表にはクイーンワスプを正面から見た姿が、裏面には後ろ姿が彫られていた。


「これ良いな、集め甲斐があるぞ」


 次は剣を取り出す。アームガードの付いたレイピアで刀身は真っ黒で、柄は黄色と黒が螺旋に絡み合っている。鞘は無いようだ。


「強そうだけど、剣なんてまともに振ったことないし、使いこなすには特訓が必要だな」


 今日は疲れた。出てきたばかりの避難所に戻るのは何か気まずいので、適当な宿を探すとしよう。


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― 新着の感想 ―
弓にセンスはいらんで少し練習したら誰でも扱えるお手軽武器だから 世界中で普及したんやで 矢を番える、弦を引く、風を読む、角度を取る、的に放つ これだけの事やゴルフより簡単
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