103話
早速外に出てオーガを狩ることにした。とは言っても、先ほどワニたちが倒したばかりなのでモンスターは枯れている。居ないものは仕方ないので、しばらく大鰐さんと世間話をして待つ。
「こっちがアリゲーターの有田君で、こっちはクロコダイルの黒子ちゃんです」
「二匹ともかなり大きいですね」
「なんだかモンスターを倒すたびに大きくなっちゃって……佐藤さんの言ってたレベルアップの効果なんですかね?」
「そうかもしれないです」
有田君も黒子ちゃんも他のワニたちも、メガクロコダイルほどではないがかなり大きい。最初からこのサイズだったかというとそうではなく、大鰐さんいわくモンスターを倒し始めてから急激に大きくなったという。
元が三〜四メートルくらいだったのが、倍くらいになったそうだ。元々これくらいの大きさまで成長することもあるようだが、ここまでの急成長の要因はレベルアップくらいしか思いつかない。
大鰐さんは動物好きで、その中でも特に爬虫類が好きなようだ。ゼロのことも最初は驚いて腰を抜かしたが、今ではカッコいいと褒めている。褒められたゼロから照れている感情が伝わってきた。
世間話で盛り上がっていると、例の黒い霧が現れてオーガがポップする。すかさず落とし穴で動きを封じて、地面から頭だけが出た状態にした。
何度目かの大鰐さんの攻撃でオーガは消えていき、無事にレベルが上がったようだ。覚えたスキルはテイムスキルだったようで、早速有田君とテイム契約をしている。
「凄い、有田君と会話ができます! 凄い凄い!」
有田は大鰐さんに飼育していた時のご飯のお礼と、逃がしてくれたことへのお礼をしているようだ。通訳はシュナイダーがしてくれた。
しかしここで問題が発生した。有田君に黒子ちゃんが焼きもちを焼き始めたのだ。慌てて大鰐さんのレベルをさらに上げ、二体目のテイムもできるようにし、大鰐さんは無事黒子ちゃんとも契約を結んだ。
「はぁー、動物と話せるって素敵です。あぁ、でもここにいるワニたち皆との契約は無理なんですね……アリスちゃん、クロエちゃん……」
「そこは有田君や黒子ちゃんに通訳してもらうしかないですね」
自分にはワニの顔の違いはわからないが、大鰐さんはきちんと見分けられるようで、ワニたちの名前を呼びながら触れ合っている。
ワニに囲まれた大鰐さんは幸せそうだが、はたから見ると今まさにワニたちに食べられるところのように見える。
そうして大鰐さんとワニたちの触れ合いを眺めていると、先ほど電話した鈴木さんから折り返し電話がかかってきた。
結論から言うと、ワイバーン隊数名と技術班数名をこちらに送ってくれることになった。
これで、ここも拠点の一つとして整備されていくだろう。温泉だけでなく、温泉の熱なんかも利用して色々と考えがあるようだ。
「佐藤さん、ありがとうございました。これであの子たちと別れずに済みます」
「はは、お力になれたようで良かったです」
数日後には鈴木さんたちもこちらにやって来るというので、後は食料と生活に必要そうな物、スクロールなんかを大鰐さんに渡しておこうかな。
翌日には先遣隊として鈴木さんとワイバーン隊がもう一人やってきたので、大鰐さんに紹介して自分は旅立つことにした。
「それじゃ自分はそろそろ行きます」
「佐藤さん、本当にありがとうございました!」
「今度佐藤さんが来た時には、温泉に入れるようにしておきますよ」
「おー、良いですね。楽しみにしておきます」
ワニたちにもお別れをして温泉街を飛び立つ。それからしばらく新しいモンスターを探しながら北上していくが、とうとう周辺の地図が完成するまで出会うことはなかった。
これで日本で行っていない場所の残りは、本土から離れた離島と、北方領土くらいか。後はダンジョンがどこかに残っている可能性は高い。
最初らへんはダンジョンがあるとは思わず、目に見える地上のモンスターばかりを倒していた。ここは一度情報を集めて次の行動を決めよう。





