100話
この後は笹の湯に寄って帰るというワイバーン隊と別れ、自分も探索に出かけることにした。海岸沿いを飛んでいると、何か布のような物を岩場に叩きつけているオーガに似たモンスターを発見した。
「何してるのかな?」
少し観察していると、オーガはしゃがみ込んで虎柄の布をゴシゴシと擦り合わせ始めた。その姿はまるで手洗いで洗濯をしているように見える。
モンスターって洗濯する必要あるのか? しばらくするとどうやら洗濯を終えたようで、ギュッと布を絞り両手でパンパンと皺を伸ばす。
そして、身につけている虎柄の腰巻を脱いだかと思うと、それまで洗濯していた布を腰に身につけ脱いだ腰巻を再び洗濯し始めた。
「いや、流石に突っ込みどころが多すぎるんだけど……」
色々と言いたいことはあるが、せめて乾かしてから身につけてはどうだろうか。とりあえず倒そうと業火球を放つ。洗濯をしていたオーガは燃え上がり、ドロップを残して消えていった。
107番 洗濯オーガ アイテム1 天然粉洗剤 アイテム2 虎柄の腰巻
この腰巻はオーガが身につけていた物なのか、それとも洗濯中だった物なのか……多分自分が装備することは無いと思う。
ドロップを回収して移動しようとすると、すぐに何処からともなくオーガが歩いてきて、洗濯を始めた。その場に湧くんじゃないのか。
(しかし武器を持ってないけど、どうやって戦うんだろう……)
見たところ洗濯オーガが身につけているのは腰巻のみで、他に持っているものといえば洗濯している腰巻だけだ。
ちょっと気になるのでゼロに近づくようにお願いして、洗濯オーガに近寄っていく。するとこちらに気がついたようで、濡れた腰巻を振り回しながらこちらに向かって走ってきた。
オーガサイズの腰巻は中々大きく、さらに水を吸っていてそれがオーガの腕力で振り回される。黒龍剣で斬りはらおうとすると、濡れた腰巻が剣に絡みつき、取り上げられそうになる。
一旦収納に剣を戻して装備し直す。オーガは狼狽えることもなく、腰巻を振りかぶるとこちらめがけて叩きつけてきた。
飛びのいてかわすと、腰巻が岩場に打ち付けられ、パンっと海岸に小気味良い音が鳴り響く。石片が空中に舞った。
「うわ、結構威力あるな」
なんだか惚けたモンスターかと思ったが、結構強いのかもしれない。しかし好奇心も満たされたので、魔法で退場してもらった。オーガのドロップを回収し、今度こそ移動を再開した。
探索をしながら北上していく。先日の城型ダンジョンのこともあり、他にもダンジョンがないか探してみるが、中々見つからない。
あの城型ダンジョンは市街地にあり、人間の行動範囲内にあった。なおかつ、本来なら存在しない城があったので避難所の人たちもおかしいと気づけたのだ。
「もし洞窟とかがダンジョン化していたら、探すのは結構骨が折れそうだなぁ」
一応掲示板にダンジョンの目撃情報を求める書き込みをしておいたが、まぁすぐにとはいかないだろう。現状であてがあるのは鬼ヶ島くらいか。
「新しい仲間か……」
ゼロとシュナイダーが仲間が増えるのか? と問いかけてくる。あの扉を開けるのにお供が三人必要なのではないかと予想をたてているが、悩みどころなんだよなぁ。
テイムの契約枠は現在のレベルで残り二枠ある。しかし仲間にするなら、良く考えて仲間にしたいものだ。
ゼロは戦力としても強力で移動でも大活躍している。唯一狭いと出現できないという欠点があるくらいだが、それを補って余りある有能さだ。
シュナイダーはなり行きで仲間になったが、賢くその身体のサイズと速度を生かして、モンスターの大群が相手でも隙間を縦横無尽に駆け抜け、敵を翻弄する。そして何よりモンスターではなく動物なので、スクロールでスキルを覚えられるので器用な立ち回りが可能だった。
ゼロのようにモンスター固有の強力な固有の能力を取るか、拡張性を考えて動物を仲間にするか非常に悩ましい。この先の戦いについてこれる仲間か……
中々答えが出なく唸っていると、またシュナイダーが変な匂いがしてきたと訴えてきた。





