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筋肉マッチョの女

「おい、あれは何だ?」


 魔族領と隣接するアルド辺境伯爵領の都市であるボレーには戦時中では重要拠点とされている。引退した王国騎士や王国騎士のエリートの左遷先であるところ、戦力的には王国にそこまで劣る訳ではない。


「何かくるぞ。」


 門の前に一見すると絶世の美女に見えなくもないが、血走った目をしていて男を抱えており、尋常ではなかった。


 門番であるマナタはこれまで何度も屈強な騎士や魔族の戦士、冒険者を見てきたが、ここまでの存在感を持つ戦士は見たことがなかった。


 彼女を見た瞬間、走馬灯まで見えたのだ。こわいこわい。


 警鐘を鳴らすべきか動揺していたところ、それは口を開いた。


「町の中に入れてください。」


 嘘はついていないようであった。こう見えても人を見る目はあるのだ。入れなければ危ないと本能が告げた。


「分かった、入れ。」


 通行証も身分証も確認せず、化け物を街中にいれた。後で罰せられるかもしれないがそんなの関係ない。


「ありがとう、おじさん。」


 彼女の笑顔を見た途端、蛇ににらまれた蛙のように、俺は金縛りにあい、しばらく動けなかった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「町に入れたわね。」


 道行く人々が恐る恐る私を見る。私が美人であるのは知っているが、あんまり人のことを見るものではない。


 まあ、転生後の私はメンタルも強くなったので小さいことは気にしない。それよりも、私はこの子の世話がある。名前をまだ聞いていないが、おいおい聞くとしよう。


 周囲から声が聞こえる。


「すげぇ筋肉。スタイルが良い女だと思って見てみれば、筋肉が凄いことになっている。」


「神がかりの肉体と言えるだろうな。正直言って、恐ろしい。」


 はて、そのようなゴリラ女がこの街にはいるのだろうか。まあ、私はこの街には戦いではなく物資の補給のために来ているので、興味はない。


 まずはその前にこの子の名前を聞かなくてはならない。


「あなたのお名前は?」


「田畑聖人です。殺さないでください。」


 大人の癖に随分と臆病な奴だ。彼氏に良いかもしれないと思ったが、やめてしまおうかと思った。


 今はどうでもいい。まずは服を買わなくてはならない。服屋に突入である。


「い、いらっしゃい。き、今日はセールで三割引ですよ。」

「悪くない。これで良いか。」


 私は自分の分と彼の服を速攻で購入した。あまり、買い物で時間をかけるタイプではないのだ。


 ちなみに金は持っていないので、後払いだ。汗をだらだらかいている店主も了承してくれた。


 この街の人は優しい。宿代もツケにしてもらえた。明日は町にある冒険者ギルドに登録するつもりだ。この世界ではゲームみたいに魔物を狩って素材を売って、金儲けができるのだ。


 とても楽しみだ。飲食代も含めて、明日には全額返すつもりだ。


「楽しみですね、田畑さん。」


「へ、はい、そうです。」


 楽しくなってきた


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