私は強くなった
「オークパンチ」
以前はこの一撃で私は死んだが、こんな遅い攻撃で死んだことに驚きを隠せない。一発、攻撃を受けてみるか。
ベキバキッ
オークの拳がお釈迦になった
「は、えええ?」
一瞬、綿が私の腹に当たったのかと思った。相当舐められているのかな?お前は敵じゃないという煽りだろうか。
まあ、以前の私は手も足も出なかったので、当然か。
今の私は挑戦者だ。まずは相手を本気にさせてやる。
私は軽く殴り返した。私に風穴を開けた攻撃をイメージして、拳を突き出す。
ほんの挨拶代わりだ。
「ぐえええ」
拳が腹を突き破った。豆腐のように柔らかい腹だった。
腹は贅肉で覆われていたが、鍛えていなかったのだろうな。それに魔力の量が明らかに足りていない。オークの身体能力が以前よりも衰えたのだろうか。
「あ、あ」
「ほい、さくらスタンプ」
今度は頭を踏みつけると、プリンのような柔らかさで簡単に潰れた。余りにも不可思議である。どうなっているんだ?
エリートの私は素早く結論を考え出す。そして、分かった。
「どうやら、これは人事が変わったようね。」
当然だ。あんなに強かったオークがこんな寂れたところにいるのがおかしかったのだ。彼は出世して、違うところに行ったのだろう。優秀な人材は良いポストに就くのは当然だ。
私は日本人が欧米人の区別がつかないように、うっかりとオーク違いをしてしまったのだ。てへ
「わたしもまだまだね。」
振り返ると、男が腰を抜かしていた。
「バ、バケモノ」
どうやら、彼は突然のオークに怯えてしまっているようだ。無理もない。慰めてあげようと思ったが、そういえば彼の名前を知らない。
「そういえば、あなたの名前は?」
彼を安心させるためにニコッと笑った。
「こ、殺さないで、ごめんなさい。ひぃぃ」
余りにも縮こまって固まっているものだから、庇護欲が沸いてきた。男の人が可愛いと思える日が来るとは思わなかった。少しだけ顔が緩んでしまった。
じょばばば
彼が漏らしてしまったようだ。本当に怖かったのだろう。エリートの私ならともかく、いきなり血の池の中に呼び出されたら、このくらいはあり得るだろう。
「よしよし」
ブチブチブチ
「あぎゃぁぁぁぁ」
私が頭を撫でると髪の毛が一気に抜けてしまった。ふさふさした髪が一瞬でツルッハゲになってしまった。抜け毛が酷い。これはそもそもカツラだったのかな?悪いことをした。
「ひぃーごめんなさい。殺さないで」
余りにも必死な彼にドキッとしてしまった。これは恋だろうか?私は男の人が可愛く見えてきた。
「大丈夫。私があなたを守るから。」
怯えた彼の首もとを掴み、私は10メートル上にある鉄格子を破壊し、そのまま奥へと進んだ。
10メートルもジャンプできたのだ。私は強くなった。