黒い娘と白の苦悩 始終譚 その1/10 序
さて、どこから話しをしましょうかねー?
おっと、自己紹介がまだですねー。私は白と申します。
金色がすこし混じったキュートな白い猫です。今はねー。
それについては、後で詳しく話してくれますよ。
……誰が話すって?
それは白のご主人ですよー。実は悪魔なんですー。
名前はくろさま。
彼女はちょっと変わっていて、節約することが凄く上手。
そして、サディスティックな性格で、見た目は若い女性の姿をしてますよー。
白はその使い魔。人じゃありませんよー。人外です。
くろさまは世間知らずで、妙な知識が豊富な悪魔。
だから、白のような常識的なモノがいないと、だめなのですよー。
苦労してますー。
自己紹介はこのぐらいにして、そろそろ次に移りたいと思いますね。
えへへ。待ちくたびれちゃいますよねー。
よく白は口から先に生まれたのね。なんて、くろさまから言われますー。
ソンナコトナイデスよねー。
おっと、話しがそれましたー。いけない、いけない。
えっと。悪魔は存在するために、ある物が絶対に必要なんです。
それはですねー。実は……
**
舞台はある住宅地に移る……
そこは、国道から離れた閑静な住宅街。時折、虫の声が響くだけの静寂の世界。
その街を彼女は歩く……
「今日もなかったわね……ふう、もう帰ろうかしら」
漆黒の衣装を纏う彼女は独り呟く。
今夜も日課の散策時間を無為に過ごす。
彼女は探し続ける。心からの願いを持つ人物を。
そして、その願いを叶えることで、対価を得る。
それは悪魔の根源。現世に存在するため必要な力だが、その願いを持つ人物には簡単に出逢えない。
こうして今日も、いつも通りの徒労に終わり。
諦めて去ろうとした……
その時だった。
彼女はついに、願い渇望し続けた目的の対象と出逢う。
そして起こる。
静寂を引き裂く魂からの叫び声が……
近隣の安眠を中断させる慟哭が響きわたる。だが、それはすぐに反響を残して消えた。
その叫びに反応した女性がひとり。
「いったい、なにかしら?」
叫び声に驚き。自宅ドアにかけた手が止まる。
辺りを見回すと、前の路地でなにか光るものを見た気がして、目を凝らしてじっと見つめた。
すると漆黒の中に赤い眼がふたつあるのに気がついた。紅い双眸と女性の視線が絡み合う……
それは、ほんの瞬きひとつの瞬間で消えさった。
その後、赤い輝きを探すも、薄暗い外灯が灯る道路のどこにも見つけられない。
やがて、家に入らない女性に対して、不審に感じた家族の声が届く。その声に答えて、振り返りつつも室内に入る。
ドアの閉まる音と共に、玄関ポーチの照明が消えた。
……そして、この物語は始まる。
一人の男性と女性の繋がり。それに関わるくろい悪魔。
そして、その使い魔が織り成す不思議で、ちょっと変わった幻想的であり、かつ現実的なお話しが。
立ち寄ってくださった皆々さまー。お時間が許します限り、お付き合いいただければ幸いですー。
これからが本当の幕開けだよー
黒い悪魔の娘と、白い使い魔の苦悩が……
おはようございます。始めちゃいました。新作です。
こちらは、中編となっており、最後まで書き切ってから投稿するのは、初めての挑戦になります。
ちょっと緊張してます。はい嘘です。ごめんなさい。
実はかなりワクワクしてます。予告をTwitterに入れてからだいぶ経過しましたが、なんとか形にすることができました。
お声がけ下さった方、お待たせしてすみません。
楽しんでいただければ。また日々の楽しみになっていただければと思います。
予定をお伝えしますね。
本日6/23 金曜8:00 第1話を投稿。
6/23 同日12:00第2話投稿。
翌日から毎日16:00に投稿を致します。
そして、7/1 土曜8:00に最終話を投稿致します。
1週間ほどお付き合い下さいねー。
軽く読める内容を心がけたつもりです。
全体で20000字以内。全10話で完結致します。
それでは、どこかの後書きで、またお会いしましょう。菅康