オレの未来 (ショートショート55)
生活が苦しい。
コンビニでバイトをしているが、家賃と食費だけで給料の大半が吹っ飛ぶ。最近はケイタイの料金を未納にして、通話を止められることもしばしばだった。
今日、なけなしの金で未納分を支払う。
その分は食うものを我慢する。
こうして少ない食費を削ってまでケイタイを使えるようにしたのは、未来のオレのことが心配だったからだ。ちなみにオレの超時空ケイタイは、現在を中心軸として過去や未来にまでつながっている。
さっそく着信音が鳴った。
出ると、過去のオレからだった。
「なんだ?」
返事がついすげなくなる。
過去のオレは会社勤めをしており、収入も生活も安定していた。こちらはなんの心配もないのだ。
「なんだとは、なんだ。オマエのことが心配でかけたんじゃないか」
「いや、すまん」
「まあいい。それよりケイタイ、いつだってつながらないぞ。電話料ぐらい、ちゃんと払えよ」
過去のオレは説教するように言って、ケイタイの通話を切った。
オレは未来のオレにケイタイをかけた。
ツ、ツツツツ……。
ややあって、抑揚のない女性の声がする。
「この電話は、お客様の都合により、現在、使用されておりません」
ヤツとは、もう半年ほどつながらない。ずっと電話料金を未納にしているのだ。
どうやら……。
オレの未来は最悪のようである。