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018_ダンジョン・犯人

ここ最近、益々読者が増えていて感激です!

感想・レビューお待ちしております。


「ま、待て!!」

「ん?」


振り向くと、人影が二つ。

一つは俺と同じ魔導学校の生徒。

そしてもう一つは。


「マスターのゴーレムを盗んだ犯人が出てきましたね」

「そのようだ」


そう、盗まれたゴーレムが立っていた。


「な、何なんだよ、お前?このゴーレムは強いんじゃないのか?なのに、お前はどういう事なんだよ」


どうやら犯人は全く話が通じなかった。


「どちらかご存知ありませんが、さっさとゴーレムを置いてお帰り下さい」

「なっ、ふざけるな!俺もがんばってここまで来たんだ!ここのボスなら倒せると思ったのに、何で倒しちゃうんだよ!!」

「よく分からないが、倒しちゃダメな理由でもあるのか?」


こっちは戦闘が終了したばかりだ、面倒は早く終わらせたいところなんだが。


「くそっ、全部お前が戻ってきたせいだ!2年前ならお前なんか大した事のない奴だったのに、戻ったおかげでロザミアはいなくなるし、みんなお前の話題ばかりだ!!」

「あー、つまり八つ当たりという事か?」

「そ、そんなんじゃねぇ!お前は昔みたくヘラヘラして、俺らの言うことを聞いて大人しくしてれば良かったんだ!」


そうか、こいつ…。

昔のいじめてた奴か。

ようはいじめてた奴が学校に戻り、話題の中心になったのがムカつくという事か。


「それでゴーレムを盗んだという事か。あげくに、自分じゃ行くことも出来ないダンジョンに入り込み、荒らしていたという事か」

「ち、違う!こいつは気付いたら俺をマスターって呼んでたんだ!それにこいつならダンジョンで戦えると思ったのに、いきなり群れで来るなんてずるいから上手く避けてただけだ!」

「これは手がつけられませんね。己のしでかした事を理解できない愚か者です」

「な、何だと!!お前らが悪いんじゃないか!」

「はぁ、えーっと名前を思い出せないが、お前は明らかな犯罪行為をしたのを気付いていないのか?盗難に、下手するとモンスターを誘導して他の冒険者を殺害しようとしていた」

「ちが、ふざけるな!!」

「マスター、どうやら彼は罪を認めないようです」

「そのようだ、残念だが出るとこに出させるしかないな」

「俺は無実だ!!お前らが悪い!!」

「いいか、俺らはボリス男爵の依頼でダンジョンの調査をしている。それを妨害したとなると、ただじゃすまないって分かるか?」

「なっ、男爵だと?嘘吐くな!お前らごときが話せる訳ないだろ!」


はぁ、と溜息をこぼす。

追い詰められてるせいか、元々の性格なのか明らかに事態を把握してない。


「俺らも鬼じゃない。ゴーレムを返して、罪を認めろ。さすがに犯罪奴隷に落ちないように弁解くらいしてやる」

「は、犯罪奴隷だと…?ふざけるなぁーーー!俺が何であんなに落ちなきゃならないんだ!」


そいつの叫び声と共にゴーレムが前進を開始する。


【ステータス】

名前:マリク

年齢:16歳

職業:魔導技師


Lv:11

HP:132/132

MP:102/102

力:58

体力:48

早さ:32

魔力:88

運:25


【装備】

ナイフ

レザーローブ

レザーブーツ


【スキル】

[魔導具生成スキル 3]



【ステータス】

名前:---

年齢:0歳

ランク:B


Lv:試作型ゴーレム

HP:914/914

MP:131/131

力:687

体力:547

早さ:254

魔力:188

運:12


【スキル】

[格闘スキル 7][頑強スキル][金剛力スキル]



[鑑定]で相手の情報をみる。

よくここまで生き延びたなと感心してしまうものだった。

しかし、あいつマリクって言うんだ。

アインの記憶からも出てこなかった。

嫌な事は忘れたいっていう、前のあいつらしい捉え方だ。


「くそ、ゴーレム!!あいつらは皆殺しだ!!」

「マスター、対処しましょうか?」

「いや、俺がやる。格の違いを見せてやる」


人の借り物スキルで生きてる俺が言えた義理じゃないが、それでも俺がやらなくちゃならない。


「安心しろよ、殺しはしない」

「くそ、ふざけるな、アインの癖に!!」


俺はアイテムボックスからガントレットを取り出し装備する。

ガントレット型ゴーレム

[格闘スキル 7][魔壁スキル]


俺はゴーレムに接敵すると、腹もと目掛けて殴りまくる。

両拳には小さいながら魔力壁を展開して。

魔力壁は魔法などに対して絶大な効果を発揮するが、物理攻撃にも対処できる。

簡易的な魔力強化だ。


「そ、そんなのが効くか!!やれ、ゴーレム!!」


ゴーレムの大きな拳が迫るがステップし、かわす。

そして再度腹を殴る。


「くそう、ちょこまかと!!お前なんか一発で終わりなんだからな!」

「その通りだ。こいつの一撃は重いからな。けどな、忘れてないか?俺はこいつの製作者だぞ?」

「だから、何だ!?」

「つまり!!」


フルスイングでこいつのボディに穴を開ける。


「なっ、そんな!!」

「こいつの止め方を知ってるって事だ」


開いた穴から魔石を取り出す。

取り出せれた魔石はゴーレムのフレームと接続している魔力糸が絡み付いている。


「くそ、まだだ!!そいつを捕まえろ!」


ゴーレムは両手で俺を掴む。

気にもとめず、魔石に意識をやる。


「よし、これだ」


魔石に魔力を流す。

魔石内に刻まれた刻印を変化させる。


「"meth"」


ゴーレムの力が抜けていく。


「お、おい、どうしたんだよ!?動け、動けよゴーレム!!」

「こいつはもう動かない。もう終わりだ」

「ふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁ!!」


俺は構わず、マリクへとゆっくり歩き出す。


「く、来るなぁ!来るな来るなっ」

「僭越ながら、ゴーレムも無くしたのにこのダンジョンを徘徊するのは無理かと。それでも死にたければ止めませんので、どうぞお逃げ下さい」


マリクは屁っ放り腰になり、尻餅をついたまま動けなくなる。


「なぁ、お前は昔、俺をぶって笑ってたよな?楽しかったか?」

「ひぃっ」

「エメの事も、ぶってたな。おもしろかったのか?」

「…く、来るな」

「俺をいじめて楽しかったか?」

「来るな…、来ないで、来ないで下さい!」

「俺が泣いてる姿が見たかったのか?」

「お願いしますぅぅ、ごめんなさいごめんなさい!」


俺はマリクの正面に立つ。

拳の魔力壁はそのままにして、拳を構える。


「弱い者いじめって楽しいのかっっ!!?」


声を荒げ拳を振るう。


ドゴンッ


「あああああああああああっっっっ!!!!」


マリクのちょうど股の間に凹みが出来上がる。


ちょろちょろと変な音がしたかと思えば、こいつはどえやら失禁してしまったみたいだ。


「情けないですね。こんな汚物だと手を下すのも煩わしい」

「そうだな…」


俺はこいつに言った通り、殺さなかった。

今思えばあんだけいじめられてたんだ。

名前の一つくらい覚えて、復讐するって考えつくはずなのに。

きっと前の俺、記憶を封じられてたアインがそうさせないように無意識にしてたんだろう。

嫌な事は忘れよう。

そう、あいつの根底にはそれがあった。

元はと言えば、それも俺だ。

何となく否定したくなくて、手を下すという事は選択しなかった。


「マスター、どうします?」

「やれやれ、仕方ない」


マリクを魔法陣の近くに引っ張っていき。

羊皮紙に一筆したためる。


やり直したくば、その魔法陣に入れ

出口に繋がっている


そう、簡潔に書くと伸びてるこいつの横に置いておく。


「まぁ、ボスのリポップまで時間もあるだろうし、ここなら他のモンスターも入ってこないだろう」

「ですが、街である事ない事言うかもしれませんよ?」

「ククク、そうなったら今度こそこいつの最後だよ」

「マスター、楽しそう」


二度目はない。

そう心に決めて、俺らは次の階層へと向かった。

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