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016_ダンジョン・発生

ダンジョン篇に入りました。

数話はダンジョンの話になる予定です。

感想・レビューお待ちしております。

あれから数日経ち、学校でもロザミアを見かけなかった俺は、ロザミアが寝泊まりしている寄宿舎へと向かった。

着いた先はボリス邸までは行かなくても、かなり大きな屋敷だった。

あれでも貴族の一人娘だもんな、当たり前だ。


ノックをすると使用人の一人が出てきた。

自分の素性を話、ロザミアが最近学校に来ていないが元気かを尋ねると予想外の答えが返ってきた。


ロザミアは、魔導学校を中退し、父親のいる王都へと帰ったそうだ。

俺は使用人の方に、別れを告げその場を後にする。


先日の一件が原因で実家へと帰ってしまったのか。

少し自分の中で歯切れが悪く、気持ち悪いなと思ってしまう。


結果、こうなってしまったが残された半年で帝国へ向かう準備をするしかない。

俺は気を取り直して、色々と再開させる。


工房では、ゴーレムの改造や自分の装備を新しい物に出来ないか試行錯誤する。

そしてたまにクエストを受けては素材や金を増やしていく。

そうこうしているうちにあっという間に月日が経っていった。




「おう、ちょうどいいところに来た」

「何かいつも俺がギルドへ来ると、ちょうどいいと言って用件押しつけてないか?」

「そんな事ないぞ。ちょっとついて来い」


断っても仕方ないし、こうして気に入られてるという事は悪い事じゃない。

観念してついていくと、着いた先はボリス邸だった。


「男爵に何か用だったのか?」

「まぁ行けば分かる」


うまくはぐらかされているな。


「おお、お待ちしておりましたギルド長。それに、アイン様でしたね?」

「ああ、久しぶりです、執事さん」

「覚えておいでは光栄です。早速ですが、旦那様がお呼びです。こちらへ」


男爵絡みのクエストか…。

権力者が絡んだ案件ってなると面倒事のような気がして、気が引けてしまうな。

俺の気持ちなど関係なく、エメも黙ってついてくる。


「おー、久しぶりだな、ガーヴェイ!それにアイン達も良く来てくれた」

「男爵はガーヴェイさんとお知り合いなのですか?」

「ワハハ、何だアイン、やけに丁寧に喋るじゃねーか、普段通りで大丈夫だ」

「ガーヴェイ、若者に変な事を教えるな」


え?どういう事と思ってたら、どうやらこの二人は昔の仲間らしい。

ボリス男爵は爵位をもらったのが10年前。

それまでは騎士団にいながらも有能な冒険者であるガーヴェイと交友があったとの事。


「すまんな、アイン。一応、この街を治める者としてあまり他言しないでくれ」

「ええ、分かってますよ」

「さて、来てもらった理由だが、ガーヴェイ話したのか?」

「いいや、まだだ」

「はぁ、やっぱりな。すまん、突然の呼び出しに驚いたであろう?」

「ええ、ガーヴェイさんは何も言わなかったですから」

「まぁ、お主が来てくれるとは思わなかったからな、有能な冒険者を連れて来てくれと頼んだら、アインだったという訳だ」


本当にちょうどいいタイミングで来たという事だ。

ちなみにだが、冒険者のランク比率はSランクは国に一人いればいい方だ。

Aランクは数人。

Bランクは各街に数人いるかいないかだ。

Cランク以下が、冒険者の大半を占める。

CランクからBランクの壁が冒険者にとって一番キツいらしい。


「安心してくれ、厄介事ではないぞ?」


ボリス男爵が目をキラキラさせながらそう言う。

そういう反応はちょっと怖い。


「つい最近、この街でダンジョンが見つかった」

「ダンジョン?」

「冒険者なら知ってるだろ?ダンジョン核があって、モンスターが…ってその辺は説明しなくても分かるな」

「ええ、まぁ」


要するに洞窟や廃墟など人がいない場所にダンジョン核が発生するとその場所がダンジョンと化す。

ダンジョン内のモンスターはダンジョン核によって強化され、またダンジョン内にある道具はダンジョン核の魔力によって魔道具などに変質する。

それらはダンジョン核を壊さない限り、続く。


「もしかして?」

「ああ、その通り。ダンジョンの調査を依頼したい。報酬はこの街を代表して支払うとして、ダンジョン内で持ち帰った者はそのまま持って行って構わない」

「それは破格ですね」

「まぁ、そのくらいは妥当だ。未知のダンジョンへと冒険者を送り込むんだ。下手すると死ぬかもしれんしな。それにダンジョンがある以上はこの辺境であるウィレームの街の発展に役立つ」

「観光になりますもんね」

「その通りだ。つまりその位は安いものだと言う事だ。ただ、ダンジョン核だけは破壊しないでくれ。万が一は仕方ないかもしれないが、そうじゃない限りは破壊はするな」

「万が一っていうと?」

「あー、そうだな。ようするに手に負えない程のモンスターが生息して街に迷惑をかける可能性がある場合ってこったな」

「なるほど、分かりました。どのみち、手に負えなかったら俺らが死ぬだけですから」

「そう言うな、本当は俺が…いや有能な若者にこそこういったチャンスを与えてぇんだよ」


今、この人俺がって言ったよ。

そりゃそうだ、あんだけの戦闘狂なんだから自分が行きたいのを我慢してるんだろうな。

万が一にでも俺らに何かあれば、危険と判断されギルド長が自ら手を下すだろう。

いや、半ば半分そうなって欲しいと思ってるのかも。

何か、ムカつくから何が何でもクリアしてやる。


「引き受けます」



準備も兼ねて、一旦工房へと帰った。

しかし、行きにあったものが無くなっている。


「あれ、ここにゴーレムあったよな?」


作業台の上には調整中だったゴーレムの一機があるはずなのだが、無くなっている。


「ええ、出る前にそこに存在するのを確認しています」

「おかしいな…。作業中の為に、魔力パスを切っていたから勝手に動く事はないんだが」

「と、なると誰かの仕業かと」

「はぁ、面倒にならなければいいんだが…」


調整中といえど、そこそこ改造を施しているゴーレムだ。

Cランク冒険者くらいでは相手にならないだろう。


「どうしましょう?」

「ダンジョンは捨てがたい…。一旦、学長とギルドへ報告だけして、ダンジョンへ行こう。何かあればガーヴェイさんに壊してもらうしかないな」

「彼ならば、容易いでしょう」


はぁ、そのガーヴェイさんを倒せるくらいにはゴーレム達を強化したいものなんだが…。





「これがダンジョンか…。と言っても、今のところただの洞窟だな」


早速、教えられた場所に向かうと着いたのはダンジョンである洞窟だ。

真眼で見てみる。


「確かに、ダンジョンである洞窟付近に魔力が充満している」


真眼の本来の使い方は大気中の魔力などを見通す。

そこから派生して、[鑑定]や[見切り]等を習得出来た。


「先に進むか」

「了解です、マスター」


奥に進む。

洞窟らしい造りが続いていく。

洞窟内はヒカリゴケの一種が働いているのか、明かりは確保できている。

しばらく進むと、早速敵の気配を感じる。


「敵ですね、マスター」

「ああ、戦闘準備だ」


正面から敵が姿を現す。

狼型モンスターが5匹。

弱冠暗くて視認しづらかったが、近づいてくるにははっきりと見える。


「こいつらシルバーウルフか!?」

「みたいです。大きくてモフモフです」

「いや、そういう事じゃなくて」


シルバーウルフが群れをなしている何て聞いた事がない。

きっとこのダンジョンに迷い込んだシャドウウルフの群れが進化した結果だろう。


「ガルルルルッ」

「来ます!」


先行してきた一匹が飛び込んでくる。

エメは棍を回転させ、横っ面に一撃を入れる。


「キャウンッ」


飛ばされたシルバーウルフは態勢を立てなおして、再度エメに突っ込んでくる。


「おかしいですね、通常のシルバーウルフならあの一撃で昇天なんですが」

「仮にもダンジョンという事だろう。気を抜くなよ、エメ」


俺はアイテムボックスから一本の槍を取り出す。

新しく制作した一体。

槍型ゴーレム[槍術スキル 7][雷魔法 6]


槍に魔力を通し、詠唱させる。

タイミングを見計らい、シルバーウルフに向かい槍を放つ。


「喰らえ、ライトニングスパーク!!」


敵に槍の切っ先が当たったのを確認して、魔法をぶっ放す。

至近距離で喰らった魔法の威力はすさまじい。


一撃でシルバーウルフを絶命させる。

エメの方もすでに二体目を相手にしている。

さすがの性能だ。


槍でシルバーウルフの攻撃を裁く。

タイミングを見て、再び雷魔法を喰らわせる。


「よし、残り一体だなって、デカッ!!」









【ステータス】

ダイアウルフ

年齢:10歳


Lv:39

HP:865/865

MP:287/287

力:398

体力:198

早さ:421

魔力:265

運:56


【スキル】

[風魔法スキル 7][土魔法スキル 7][隠密スキル][回避スキル][気配スキル][韋駄天スキル]



「ダイアウルフ!!?狼系モンスターでもかなりの上位だぞ!」


元々群れのボスだったものが、更に進化した事でダイアウルフとなったのだろう。

ダイアウルフは驚いてる俺に構わず、迷わず迫ってくる。

まだ詠唱を完了していない俺は槍を横にして奴の攻撃を口を塞ぐようにして防ぐ。


「ぬおおお」


やはり"力"不足だ。

このままだと抑え切れない。

そこにエメが颯爽と現れてくれる。


「マスター!!」


横からエメが棍の一撃を喰らわせる。


「ガウッ!!」


エメの重い一撃を喰らって、ダイアウルフはふっ飛ぶが、その巨体に似合わず一回転すると綺麗に着地する。

ダイアウルフは突っ込んでくると思いきや、間を置く。


「くっ、まずい、魔法がくる!」


俺はエメの前に立ち、魔力の壁を形成する。


「ガルルルルルッ、ワオーーーーン!」


鳴き声と共に、ダイアウルフの前方の地面が盛り上がって大きな棘上になっていく。

放たれた土魔法は、俺の元へ到達するが魔力の壁によって塞がれる。


「モフモフ…、大人しくしなさいっ!!」


エメは壊された土魔法の土煙の中に飛び込んでいくと至近距離で棍を振り回し、連撃でダメージを与える。


「ガルルルル…」


バタンッ


ダイアウルフが倒れる。

HPが0になっているのを確認する。


「ふぅ、どうやら倒し終えたようだ」


一本のナイフをアイテムボックスから取り出す。

ナイフ形ゴーレム[解体スキル 7]

これがあれば、ある意味誰でも解体が簡単に行える優れものだ。


サクサクっと、先ほどの狼の群れ達を解体していく。


シルバーウルフの毛皮×4

シルバーウルフの牙×4

Cランク魔石×4

ダイアウルフの毛皮×1

ダイアウルフの牙×1

Bランク魔石×1


素晴らしい成果だ。

ダンジョンで初の戦闘で驚いたが、これは中々に魔石集めが行えそうだ。

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