87 第一皇子戦事後
エンタリウム歴30年10月12日
俺の軍と第一皇子率いる13個師団の戦いは終わった。
僅か数時間の戦闘だっとはいえ、案外被害が出たのが分かった。
それを防ぐためと、蜘蛛の餌のために麻痺毒何ぞ使ったわけだが残念だ。
敵の捕縛が終わったので、自軍の損害の集計もある。
それに、誰かさんの処罰もせねばならん。
キンカンに頼んで、即席の小屋を作ってもらった。
今、俺はテンパランスの報告を聞いている。
そう、冒険者ギルドが内応するのが分かっていたため抑えとしてテンパランス率いる1000名を用意していた件だ。
「それでどういう結果に終わったんだ?」
テンパランスはニヤリと哂った。
『もちろん、策は粉々にしてやりましたえ?』
詳しく話を聞いたところ、どうも9日の時点で既に冒険者ギルドは一線を越えていたらしい。
9日に高ランク冒険者達がキリルリルカの部屋に呼ばれ、帝国内応をクエストと言う形で受諾。
しかし、その前にこの内応は既に失敗していた。
何故なら、クエストとして渡された内応の書状を高ランク冒険者が、テンパランスの手の冒険者に渡したためだ。
9月29日の時点で、既にサブギルドマスターの暗殺をグリーンアッシュに擦り付けようとしていたのが判明していた。その日に内応した場合の冒険者ギルド排除を拝命したテスタロッサはすぐさま活動開始。
集めた部下は冒険者ギルドカードを所持していることが条件だったので、結構な数を内部に送り込んだ。
キリルリルカのグリーンアッシュへの煽りを次々に鎮火させていく。
10月9日、潜入させた冒険者が高ランク冒険者の手から渡された書状によって、キリルリルカの内応が発覚した。
同冒険者は、サブマスター暗殺の真犯人がキリルリルカであると告発。
偶然マスターの部屋でその殺人現場での会話を聞いてしまったというギルド職員が名乗り出ることで信憑性が増す。(ギルド職員は買収済みだった。)
冒険者ギルドは騒然とした。
マスターがサブマスターを暗殺するなど前代未聞である。
しかも、内応の書状までギルド掲示板に張り出され、エンタリウム大戦の以外の戦争不参加という不文律を破ったとして、キリルリルカの処刑を提案。
慌てたキリルリルカは、これは全て自分を陥れるための計略だと必死に自分を弁護する。
だが、サブマスターが暗殺されたと思われる日に、サブマスターがマスターの部屋に入っているのは誰もが知っていることであり、かついつもの癇癪が起きていたのも、その時いた冒険者の証言により証明された。(当然テンパランスの手のもの)
誰もが、サブマスターがマスターにとって都合の悪いことを言ったためにその場で殺されたんじゃないかと疑い始める。(火つけはテンパランスの手のもの)
その火がギルド内で一気に燃え上がり、個人の罪を冒険者ギルドに擦り付けられてはたまらないと、逃げられる前に捕縛すべきとの声が拡がる。
不穏な空気を感じ取ったキリルリルカは逃げようとするものの既にギルドは十重二十重に囲まれており、その外側にはテンパランスの手のものがごまんと待機していた。
策謀だと訴えるものの信憑性が全くないので無視されると、そのまま城へと連行された。
罪人として各種証拠と共に、渡されたキリルリルカは、必死に無実を主張するが、テスタロッサは全く聞く耳をかさなかった。
その後ギルドの混乱を収めるために一時的にはテンパランスが管理を行って、今に至るわけだ。
『陛下、キリルリルカに会われますかえ?うちは会う必要ない思いますけれど。
先方さんは会いたがっておりますえ。』
「まぁ、会う必要はないだろう。実物をみたところサブマスターは使える男だった。
ああいうやつを生かしきれんようではな。一応、帝都の冒険者ギルドに使いをだしておけ。
ああ、腕の立つやつをつけろよ?何個か証拠をもっていかせるからな。
都合の悪いことをもみ消すのはここのギルドだけじゃないだろう。」
『承知しております、いっそのことうちがいってもいいどすえ。』
「行きたいなら行くといい。・・今回の結果には満足している。お前の能力はよく分かった。
今後もしっかり俺に仕えろ。悪いようにはせん。」
『おおきに、こちらこそよろしゅう頼んます。』
にっこり笑うテンパランス。
さっきのような非道な笑いと違ってほんわかしていて和む。
「ご苦労だったな。部下共々後程褒美は出すが、さしあたって後片付けをせねばならん。
あと、今後の冒険者ギルドの運営について意見があるようだったら、書類にまとめておいてくれ。」
『承知しましたえ。』
テンパランスを送り出した後、テスタロッサが来たので戦闘の推移を告げると途端に冷酷な目をし始めた。
「奴らについては今からケジメをつける。そういえば、テンパランスはしっかりやってくれた。
裏の仕事に向いている面もある。後々情報収集はモリオ、謀略とそれに伴う情報統制や暗殺はテンパランスに仕切らせるのがいいと思う。まぁ、将軍がいいと本人がいうならまた考えよう。」
『分かりました。主様のよいように。それにしても候は残念なことですね。』
ニヤリと哂うテスタロッサ。
どことなく、さっきのテンパランスの笑いに似ている。
8割の粗方を捕縛した後、ガッデムはシオン、カイエンに残り2割を追撃するよう命令。
ただし、2時間ほどしたら引き返してくることと、捕えた兵士の拷問は禁じた。
ガッデムが来て許可を求めてきたが特に問題もないので許可しておく。
「それでは、アンプロシアとバーバリアン、ミスターン候を呼べ。
それに・・を隣に部屋を作っておいておけ。」
『ははっ!』
使者が走っていくのを尻目にどういう形で決着させるか考えていた。
10分後、3名が来たとのことなので通させる。
軽い挨拶の後、さっそく本題に入る。
「まず、降伏の条件にあったその方とシーラを第一皇子から守るという方も完了でいいかな?
死んではいないが、実質行動不能だろう。もちろん注意は必要だが。」
『ありがとうございます。まさかあのあほを封じ込めるとは思いませんでした。シーラ共々臣下に下りますのでよろしくお願いします。』
3人とも頭を下げる。
まぁ降伏した以上そうなるだろうけどね。
「さて、今の件はついでだ。こちらが本題なのだが、ミスターン候。卿の部下は先の戦闘で麻痺毒を食らって全員が麻痺を起していたな。ああいや、問答しなくてもいい。俺の目でもはっきり見ている。念のために、ガッデムにも聞いておいた。解毒剤は配布したそうだ。そりゃそうだろうな、皇女騎士団には被害はなかったのだし、わざわざ候の騎士団に配らぬ理由もないわけだ。
遠回しに言うのも俺の気性に反する。責任をとって自害しろ。それで貴様の家族までは罪に問わん。」
『お待ちください!戦には勝ったのです。そこまで厳しい処置は・・。』
アンプロシアがこちらに懇願してくる。
いや、今回は運が良かったから、こいつの行動による被害がでなかっただけだ。
「命令も守れない軍人に存在意義があるのか?バーバリアン将軍どうか?」
『それは・・。・・命令を守れない軍人は軍の統制を乱します。存在意義はないです。』
苦々しい顔をしたバーバリアンだが、軍人たることで嘘はつけなかったのか、当然のことを言った。
俯いていた候は、突然顔を上げこちらを睨みつける。
『従えるはずも無かろう!妻を寝取った人間になど従えるはずも無かろうが!』
「レイティアから聞いていないのか?それとも信じられなかったのか?
質実剛健と聞いていたが、器は小さいようだな。」
『ミスターン候、陛下に対してその無礼な口の聞き様は許されませんよ。』
アンプロシアは、何とか候を救おうとしているのであろうが、どの道こやつは死ぬ気だろう。
明確に俺に反抗してきているし。
「アンプロシア、候はもう死を覚悟しているからこんな口を聞くのだ。
最後くらい好きに言わせてやれ。」
俺を泣きそうな顔で見るアンプロシア。
なんか美人がそんな顔するとそそられるなぁ。
『当然聞いたが、信じられるわけもなかろう!
貴様のような悪魔が俺の美しいレイティアに手を出していないことなど、ありえるはずもない!』
「つまらん奴だな。最後の言葉はそれでいいのか?」
『俺は呪う。貴様達のことをいつまでも呪ってやる。死後の世界からずっと呪ってやるぞ。』
負け惜しみかな?
「ぷっ、ははははは!何をぬかすかと思えば。貴様らフォークブラウンの屑どもが我等アッシュビレーンにした所業を差し置いてよくもそこまで吠えるものだ。
確かに奴隷に落としはするが、俺は奴隷の差別を許さん。扱いは貴様らの言うところの平民とかわらんわ。ゴミのように我が同胞を扱ってきた貴様らとは違うわ!」
悔しげに睨んでくる候。
「そもそも、レイティアをあのままにしておけば、我が同胞から散々恨みを買ったお前の妻だ。
当然惨殺されただろう。男と違って女は殺しやすいからな。それを防ぐために便宜上性奴隷にしただけだ。俺のものと知っていれば、部下共は殺すわけにはいかぬと思うはずとな。
大体俺の性奴隷は2人だけだ。まぁ1人は抱いてはおらんがな。妻もおらん。抱いている性奴隷は1人。
貴様なんぞに悪魔と非難される覚えもないわ!
シンドレアで扱われていた同胞の悲惨な末路を知りながら放置していた貴様のほうがよほど屑であろう?
まぁフォークブラウン国侯爵であるし、他国の民はどうでもよいというのは、さほど間違ってはおらんのかもしれんがな。」
俺の言葉は信じられないのだろう。
ひたすら睨んでくる候。
『悪魔!悪魔だ貴様は!絶対に悪魔なのだ!俺の妻を寝取ったのだ!
俺の妻を返せ!俺の妻は俺のものだ!』
いっちまったのかね。
会話にならんな。
「会話にもならんか。残念だったな、アンプロシア。お前の婚約を下げてまでした提案がこの結果だ。」
狂ったように叫ぶ、候をみて呆然とするアンプロシアとバーバリアン。
『悪魔!!悪魔!!レイティアを寝取ったやつめ!許さん、許さんぞ!
悪魔!悪魔!あっくま!あっくっま!』
「はぁ・・。もうよい!こういうやつだったがどうなんだレイティア。」
『『え・・。』』
アンプロシアとバーバリアンが隣の部屋の扉から出てきたレイティアを見て驚く。
『あなた・・。そこまで信じてもらえていなかったとは思いませんでした・・。』
涙をため、悲しそうな顔で呟くレイティア。
『レ、レイティア・・。』
さすがに愛する妻の登場で悪魔コールを中止する候。
『父上!僕はそんなみっともない姿をさらす父上をもって恥ずかしいです・・。』
レイスにまでいわれた、候は顔面蒼白になった。
『うひっ。うへ?ひへへへへ。あっくっま、ひへ?あっくっま。うひっ、ひひひひ・・。』
突然、白目を剥き狂ったように変なことを言い始める候。
最愛の2人に見られたくないところを見られ、そのことを責められついに壊れてしまったか。
まぁそうするつもりだったんだけどね。
「いってしまったな。ふむ、レイティア、レイス。お前らはこの先どうするのだ?俺の庇護を離れるなら他の要塞都市にいくしかあるまい。別に片田舎に引っ込んでもよいがな。」
俺が話してる最中も候の狂ったボイスは流れ続けてる。
『弱い人だったのです・・。・・私達が陛下の庇護を離れて無事に生きていけるとは思えません。
もしよろしければ依然のようにテスタロッサ様の元で働かせていただきたく思います。』
テスタロッサを見ると笑顔で頷いている。
まぁ・・人員不足だしな・・。
「レイティアの件は分かった。依然と同じように働いてくれ。給料もしっかり出す。
それで、レイス。貴様はどうするんだ?俺のことをずっと憎んできただろう?
俺の元にいてもしょうがないとは思わんのか?」
レイティアは我が子ゆえにレイスの気持ちも分かるのだろう、悲しい顔で見ている。
『僕はお前が嫌いだ!!!!だが、仕えるべき皇家の方は今やアンプロシア様とシーラ様のみだしお前の配下になってしまった。大きくなったらどちらかに仕える!お前の家来になんかならない!』
思わず苦笑してしまった。
その考え方を16になっても持っていたら処刑されても仕方ないんだがな。
8歳の子供に何を言っても無駄か。
レイティアのほうを向き言っておく。
「レイティア、レイスとは別居せよ。こいつはそこの狂った男のように心の弱い面がありそうだ。
そうだな、例えばアンプロシアのために俺を排除するのが正義と思い込みそうな。そういう危うさを感じる。それを矯正するのは気性の優しいお前では無理だろう。街の孤児院にいれる。
現実と言うものを学べば馬鹿なことを考えるようにはならんだろう。危うい部分は取り除く方がいい。」
一緒に暮らせるとは思ってなかったのか。
悲しそうな顔をしたレイティアはしょうがなくといったかんじで頷く。
一方のレイスは絶望的な顔だ。
『何故頷くのですか母上!僕は父上のようにはならない!そんな男と一緒にはならない!
孤児院など行く必要はないと何故言ってくれないのです!』
心労が祟って倒れられても洒落にならん。
テスタロッサを促し、レイティアを連れて行かせる。
「心の強さか・・。お前が本当に心の強い男になれると思うなら証明してみせろ。
この男を軍の前で公開処刑するつもりだ。その執行人をお前が務めよ。」
初の殺人が父親とはね。
受けても受けなくても壊れるねこいつも。
『僕はこんなクズにはならない!こいつとは違う!望むところだ!処刑してやる!』
8歳だから仕方ないかもしれんがね・・。
もう少し考えたほうがよかったと思うがまぁいいか・・。
これで、こいつも長くないな。
相変わらずバックサウンドで候が『うひ・・ひへ。うへえ。』とか気持ち悪い声を発していた。
+++現在のステータス+++
名前 ???→テラ
年齢 20
出身 地球→不明
身分 出身地不明により流民
所持金 銀貨200枚銅貨70枚
スキル(★1~★5まで)
★5 ジャッジメント(神罰LV2)
★5 顕現 new
★5 マッピング(邪神クラス)
(敵対生物表示可、建物家屋検索可能。味方検索可能。)
★1 自己鑑定(詳細LV2)
加護 邪神(地球)の加護(全ての言語の読み書き可能、会話可能)
祝福 2外道の道(弱者を殺せば殺すほど、非道な殺し方をするほど能力上昇)
祝福 5不屈の意志(契約を破ると能力低下、契約を履行する限り能力倍加)
呪い 1黒き選択(発動中) 3地獄への道標 new 4勇者への道 6殺戮の咎
呪い 7対立の導(発動中)new 8魔王への道(発動中)
使命 神々により召喚された異世界人3名の抹殺(期限まであと50年)




