6 臨機応変?
出身地が言えないのは辛いことなのです。
邪神が帰ったあとだが、シンドレアにゆっくり向かいつつ俺はもう少し自分のステータスからさっき何があったのかを推測していた。
ジャッジメントが上がっている、あるとすれば攻撃系なのはこれだけだよな。
さらにマッピングからシーラに向かっていたはずの山賊達が全滅している。
おそらく俺が気絶してる間に俺を操り邪神が降臨して敵を全滅したに違いない。
となるとシーラにとって俺はまさしく命の恩人だろう。いやそうであるべきだ。
ならば俺の女になれというかは別として褒美はもらえるはず。
別れ際の行動からおそらく俺が逃げたとは思っていないはずだ。
ならばシンドレアに入る前になんとしてもシーラに合流しなければならねぇな。
俺は異世界出身者だ。
身分も流民だし皇族に恩をうっておくのは必ずためになる。
そこまで考え慌てて走り出した。頭の片隅にちらっとよぎった邪神に操られるということに対してはさくっと置き去りにして・・。
***
テラの楽観視からの推測は実のところほぼ完ぺきに当たっていた。だがしかし、一国の皇女たるシーラに接触を続けるということは今後後継者問題に巻き込まれることを意味するのだが・・・。
それはさておきシーラ姫が目指しているシンドレアについて少々記載しておこう。
要塞都市シンドレア(人口約150万)
魔帝国フォークブラウンの東の1大防衛拠点であり、領主はジャック・ド・ミスターン侯爵、質実剛健を旨とする武力派貴族である。
ミスターン候旗下の帝国第一騎士団は帝国騎士団の中でも有数の武力を誇り、候の性格の影響か略奪・虐殺等をしたことがないという。
軍の一大駐屯地であるため、騎士団の家族が居住しその人口目当てに商人も多く経済活動も活発であり傭兵ギルド、冒険者ギルド等も存在している。
***
side シーラ
ようやっと見えたのじゃ!
視認できる距離にシンドレアの大門が見え気が緩みかけたが、まだじゃ!
せめて都市内部にはいるまでは・・。
シャラ、マイ、メイ、マクレイン・・何とか着けそうじゃぞ・・。
門前には行列が多かったが、妾を見て慌てて門番が騎士団を呼んでくれたのかそれほど待たずにミスターン候が駆けつけてくれたようじゃ。
『シーラ様そのお姿は!何はともあれまずは城へ!
者ども姫様を城へお連れせい!』
「久しいなミスターン候・・。」
やっと気を抜いて良い場所に来たからか何やら行列のほうからしきり誰か叫んでおったがふっと意識が途切れるのが分かった・・・。
side シーラ end
見つけた!もう門前じゃねぇか!のんびりしすぎたか。
「おーい!おーい!おーい!シーラー!」
慌てて必死に叫んだが聞こえてないのか無視してるのか全然こっちを向きゃしねぇ・・。
あ、騎士団っぽいのが連れて行っちまう。
このままじゃまずい!
「待ってくれー!俺だー!テラだぞー!」
叫びながら行列を前に進もうとしたが迷惑そうな民がなかなかどいてくれやしない。
ようやっと来たときにはシーラはすでにおらず騎士団も数名を残すのみだった・・。
金が・・俺は無一文なんだ。ここで捨てられたらまじでやべーんだ!
強引に騎士団の前まで向かう。
『なんだ貴様!順番くらい守れ!』
怒鳴る騎士に慌てたせいかつい今まで通り叫んでしまった。
「シーラに用があるんだ!通してくれ!」
『まさかシーラ姫様のことではあるまいな・・この無礼者があああ!』
「ぐふっ」
ものすごい勢いで殴られふっとんだ。めちゃくちゃいてぇ・・。
『村人の分際で姫様を呼び捨てとは訂正せい!』
「待ってくれ!シーラとは・・ぶわばっ」
槍の石突きで殴られる。涙が出るほど痛いが何とか堪える。
『ったくいい加減にせい!今は民一人に関わってる暇なんぞない!行くぞ!
そうだな。二度と姫様を呼び捨てにすんなよ!次したら牢にぶち込むぞ!』
言いたい放題いって去っていく騎士達・・。
俺の予定が・・流民の俺なんざ都市にはいれねぇだろうし無茶してでも皇族との糸を切られるわけにゃいかねぇよ!
「ぐっ・・待ってくれ!シーラにあわせてく・・げはっ」
『阿呆め!ほんとに牢行きになりたいらしいな!門番!牢へぶち込んでおけ!』
『ははっ!』
胸がいてぇ・・骨折してんじゃねぇのかこれ・・。
牢でもなんでもいい・・事情聴取とかしてくれれば何とかなるだろ・・・。
なんで俺こんな目に合うんだ・・人助けしたってのに・・・
門番に引っ立てられつつ周りを見ると行列を成す民たちの冷たい目線が俺を見つめていた・・。
『シーラ姫様を呼び捨てだってさ!何様なんだかねあいつ!』
『ほんと、ほんと!死ねばいいのに!』
『見たところぼろっちい服みたいだし村人かさえ怪しいじゃないか。』
『見ろよ!殴られて涙たらしてるぜあいつ(笑)』
惨めだった・・・。
+++現在のステータス+++
名前 ???→テラ
年齢 20
出身 地球→不明
身分 出身地不明により流民
スキル(★1~★5まで)
★5 ジャッジメント(神罰LV2)
★5 マッピング(邪神クラス)立体地図を脳内で展開、敵対生物表示可
★1 自己鑑定(詳細LV1)
加護 邪神(地球)の加護
祝福 5不屈の意志(契約を破ると能力低下、契約を履行する限り能力倍加)
呪い 1黒き選択 2外道の道 3不信の心 4勇者への道
6殺戮の咎 7対立の導 8魔王への道
使命 神々により召喚された異世界人3名の抹殺(期限まであと50年)