5 呪い
反対側の森に着いたが、ことが終わるまでマッピングで観察しとくか。
ふむ・・メイドさんと騎士隊長さんはもうしんじまったっぽいな・・。
あと5分でチェックメイトってとこかな?
のんびり待とうと木に寄りかかったその時だった。
+++ 呪い 不屈の意志 が発動されました +++
頭の中でシステムメッセージが流れる。と同時に強烈な頭痛が襲う。
「うぎゃああ、なんだよこれ!」
あまりの痛さに地面を転げまわる。・・・意識が朦朧としてきた・・。
「うう・・。このままじゃやべぇが・・、どうしようも・・・。」
バタリ。
side シーラ
後ろを見つつ必死に走る。
また一人妾のために犠牲になった・・。
「無力な村人さえ贄にして生き残るのか・・。
妾は自分の無力が恨めしい・・。」
流れそうになる涙を止めるとスピードが落ちぬよう慌てて走るが、馬の鳴き声にまじり山賊共の声が聞こえる。
森の中を馬で走るじゃと?!ありえぬ・・・。
『この付近だ!木の裏、草の影も見過ごすんじゃねぇぞ!』
『『了解です!!』』
「はぁはぁ・・、もう駄目じゃ。足が前に出ぬ・・。」
ここまでか・・。馬の脚にはとてもではないが逃げ切れぬ。
慌てて草場に隠れるが丹念に草の影も槍で突いている・・。
隠れきれんじゃろうな・・。
今まで必死に走ったせいじゃろう、草で切ったのかところどころ手足から血がでておる。これも発見の手がかりとされるじゃろう。
『いたぞ!お頭あそこだ!』
見つかったようじゃな・・。妾と目が合った山賊が興奮した様子で叫ぶ。
『でかしたぞ!囲め!囲め!』
14、5人じゃろうか・・すごい勢いでこちらに向けて走ってきおるわ・・。
このまま囲まれて終わりじゃろうが、威力は弱くともせめて一太刀と思いファイアボールの詠唱を唱え始める。
『弓を貸せ!』
部下から弓を奪いすさまじい速さで山賊の頭が矢を番え放った。
「っつ・・。」
その矢が妾の肩をかすった。
と同時に詠唱が遮断されファイアボールが消えうせる。
マイやメイのように魔術に才能があるわけではないので、詠唱が長く隙が多い。
痛みで詠唱が止まるなど本職ならありえんじゃろうな・・。
所詮素人に毛がはえた程度の魔法か。
『手こずらせやがって!おらよ!ほかの奴らのとこに送ってやる!ありがたくうけとりな!』
近づいてきた山賊の頭が馬上から槍を妾の頭目掛けて繰り出すが、避けようにもすでに囲まれておる。
目の前まで槍がせまり、死の恐怖に目を閉じたその時だった。
『ぺぷしっ!』『ほげっ!』『たわばっ!』
パンパンッと風船が破裂するような音がした。
と同時に血の臭いが充満する。
そっと目を開けると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
「なんじゃこれは・・。なにがどうなっておるんじゃ・・。」
妾を囲んでおった賊共はただ一人の例外もなく頭が無かった。
そこらじゅうに血をまき散らせ、臥せっていた。
恐怖でガチガチ歯がなるものの、助かったのだとおもい。安堵の涙がこぼれた・・。
「早く街にいかねばの・・。」
しばらく呆然と座り込んでいたが、血の臭いでモンスターが集まってくるやもしれぬ。
慌てて立ち上がりシンドレアに向かうことにした。
side シーラ end
+++ 呪い 不屈の意志 発動を終了しました +++
+++ 固定化中・・・・ +++
+++ 成功 +++
+++ 呪い 不屈の意志 が解放されました +++
+++ ステータスを更新します +++
「っつう・・。」
なんかこっち来てから頭痛がひどいな・・。
システムログが頭を駆け巡ったし見てみるか。
+++現在のステータス+++
名前 ???→テラ
年齢 20
出身 地球→不明
身分 出身地不明により流民
スキル(★1~★5まで)
★5 ジャッジメント(神罰LV2)
★5 マッピング(邪神クラス)立体地図を脳内で展開、敵対生物表示可
★1 自己鑑定(詳細LV1)
加護 邪神(地球)の加護
祝福 5不屈の意志(契約を破ると能力低下、契約を履行する限り能力倍加)
呪い 1黒き選択 2外道の道 3不信の心 4勇者への道
6殺戮の咎 7対立の導 8魔王への道
使命 神々により召喚された異世界人3名の抹殺(期限まであと50年)
色々いいたいことはあるが、それを考える前に頭の中で
ピンポーン とチャイムがなる・・。
『ごめんください~。』
「はーい、ガチャ」 っていわないといけないのか?!
『やぁ、さすが期待しただけはあるよ君!』
やっぱり邪神かよ・・まぁこんな非常な訪れ神しかないよな。
「いまいちよくわからんが・・、5不屈の意志が祝福に変わってることと関係ある?」
『うんうん。言ってないかったんだけどさ、僕邪神じゃん?
だから基本呪いしかかけられないんだよね。』
「おいおい!致命的な話じゃねぇか!
んじゃこの加護って効果なんもないのかよ!」
『ああ、加護は呪いつけるために必要だからって便宜上おいてるだけだよ、効果ないね!
んで、君弱すぎるからなんとかしようと呪いをかけまくってるわけ。
神クラスの呪いってのはマイナス効果がひどい分解呪すると反転して祝福になるからね!
これで僕でもちゃんと神と同じようにプラスの加護を与えられるってわけさ。』
呪いからスタートってだけですでにハードモードじゃねぇか・・。
それに呪い8個もかけられたらそもそも普通に生きていけない気がするんだが!
『僕なりにあんまりにも弱い君のために頑張って祝福あたえつもりなんだけどねー・・、とにかく解呪されたら異世界間通話が可能なように仕込んでおいたのさ。長時間は無理だけどね!
それで解呪について説明するけど、呪いの名前見たら大体わかるよね?』
わからないぞ。
『・・・。
今回の場合は一度心に誓ったことに対して、前言を翻して破ることだね。ただし心の底から破ることだね!
それにしても最初に言ったけど、まだ来て数日なのにいきなり解呪するなんてすごいよ!』
絶対ほめてねーよなこれ。
『フフフ、そりゃね!こんなクズでしか解呪できない条件なのにいきなり解呪されるんだからさ、期待通り?(笑)』
・・・。
『このボーナスを見ても分かる通り、基本解呪条件は屑なことばかりさ!
まぁ君なら解呪はだいじょぶだろう。問題は祝福なんだけどね・・。
屑じゃないことに対してプラス補正がかかるから、君が変わっていかないとぶっちゃけ何の効果もないんだよね・・・。』
「さっきから聞いてればいくらなんでも滅茶苦茶なことばっかりじゃねぇか!」
『まぁ、一般人として生きるなら問題ないよきっと!
何かを成し遂げたいとは元来の君ならおもわないはずさ!』
そりゃそうかもしれねーけどさ、なんか俺の性格変わってる気がしてしょうがないんだが。
『ああ、改変してたねそうばいえば・・、想像できないけど君が伝説の勇者になったとしたらやっぱり僕の祝福は充分役に立つじゃないか!
・・呪い解呪がきついかもだけどさ。
時間かなー、あんまり話してるとそっちの神々に邪魔されるからね。
この辺にしておこう!じゃあ頑張るんだよテラ!』
ああ、邪悪な顔でニコニコしてる邪神が容易に思い浮かぶ・・。
『最後に一つアドバイスしておくと、祝福とか加護をそこまで信じないほうがいいよ!僕は呪いを与える側だから、こんなこと言うとおかしいかもしれないけど加護、祝福を持ってるからって必ずしも勝ち組じゃないんだよね。じゃね~。』
ツーツーツーツー 通話終了の合図と共に邪神は帰っていった。