39 仕込
日が昇る。
昨夜もたっぷりイゼアを味わった。眠くなりかけたが昨日はほとんど寝ないよう気を付けた。
ここはスラムのアジトだからな。熟睡してそのままご臨終とか目も当てられん。
イゼアに見張りさせりゃのかったのかもしれねぇが、散々疲労させておいてそこまでするってのはさすがにどうかと思って俺が起きてることにした。
案の定馬鹿が何人か来たのでアジトの扉を開けて乱入してきた瞬間に蹴り飛ばして外で処理しといた。
中ですると掃除が大変だからな。
ミスターン候が帝都に出発するまであと6日。
帝都までは徒歩で30日だったけか。歩兵もつれていくわけだし。そこまで日数は変わらんだろう。
となると、あんまり早く事を起こしても戻ってこられたらたまらんしな。
10日あたりがベストか?
残りは16日ってことか。
準備もあるし色々動いていかねぇとな。
使えて信頼できる部下がいりゃ楽なんだろうが、現実は非常だ。
てめぇで動くしかねぇな。
イゼアが体を拭い降りてきたので二人で簡単な朝食を食べ行動を開始することにする。
「イゼア、今日から本格的に動くことにする。お前にも働いてもらうぞ。」
そう言って刀を放り投げると、慌てて刀をキャッチして大事そうに腰に差すイゼア。
そんなに武人でいたいのかねぇ。
スラムで暴動でも起こさせようかと思ったが、規模も小さいし確実に失敗するだろう。
幸い、エンタリウム大戦が開始されていないのでシンドレアの門の警備は平常通りだ。
闇に紛れて一気に制圧するのがいい気がする。
問題はグリーンアッシュ兵が使い物になるのかってことだ。
それは後で考えるとして、この150万都市を落とすなら工夫がいるな。
1個師団がこの世界だと1万だっけか。てことは残り4万は即戦力として出せるってわけだ。
6万だと人口の4%か。まぁあと数か月で戦争なんだ、もうちょっと多くてもおかしくはないな。
こっちの兵数は4800。まともにぶつかりゃ奇跡が起きてもかてねぇな。
ならもう奇襲。これしかない。
今日一日でこの都市の構造を把握しよう。
あとは冒険者だな。こいつらの戦力がどれほどのもんかさっぱり分からん。
エンタリウム大戦に戦力を供出するぐらいだ。
必ず俺らの敵に回るだろう。
「イゼア。お前この都市の冒険者ギルドのマスター知ってるか?」
剣を大事に撫でてたイゼアは俺の質問にしばらく考えた後答えた。
『・・。知ってますが顔見知り程度です。』
「ふむ。どんなやつだ?」
『冒険者出身で昔はランク9までいった猛者で、大金槌を振り回すパワーファイターだったらしいです。』
ドワーフを連想した。
髭面のおっさん?
「お前、ギルマス相手にして殺しきれるか?」
俺の言葉にびっくりしたのか、一気に顔色を悪くするイゼア。
『冒険者ギルドのマスターを殺したら間違いなく全冒険者から討伐の対象にされますよ。』
「まぁそうだろうが、お前結構腕に自信持ってたろ?どうなんだ?」
『現役じゃないことを考えれば、負けはしないと思います。』
その程度か。なら即死させられるな。
殺しちまったら乗っ取れない気がする。そこんとこどうするか。
「よし、イゼアは冒険者のギルドマスターが妻帯者か確認しろ。
家族がいるならその場所も調べ上げろ。
それとサブギルドマスターみたいなやつがいるならそいつの情報もだ。
俺は都市構造について調べる。夜までには帰ってこい。飯代だ。」
ピンピンと銀貨を2枚弾く。充分だよな。
『・・。わかりました。』
イゼアを見送ってから都市構造を把握するために城壁に上ろうとしたがさすがに止められた。
当然兵士に言われたわけだが、人相まで手配されていた場合に備えてボロを纏いスラム出身者っぽくしておいたので助かった。
どうしようか考えつつ、商店街に行ったら街の案内所みたいのがあってそこに大まかに構図が書いてあった。何のために城壁まで行ったんだ俺は・・。
円形都市に漢字の「人」が走ってる格好だ。北西が商人たちが多く集う商店街。
南が兵士たちが暮らす騎士区画、城に近いところは貴族街、北東はスラム。まぁスラムの規模は小さい。
北門を突破できれば城への障害はほぼない。
城のほうも見ないとな。
あんまり近づくとぼろきれを纏ってるから怪しまれるな。
遠目に見ただけだが、少なくとも城の北門は無い。大きな門としては南だけのようだ。
北から都市侵入はないな。
どうせ4万はどうにかしなきゃなんねぇんだ。
最初に騎士団の屯所を押さえて粗方片付けちまうしかねぇな。
攻めてる時に都市から人を逃がすのもやばい。
この辺をどうにか冒険者を使って出来ないもんか?
そうか!いい方法がある。
俺の目的に沿う品が現存してるのか確認しなきゃならんな。
これはトモデレンがいるな。
それにこの都市の周辺地図もほしいとこだが、こういう時代だきっと軍事機密だろう。
あんまり時間もないし、その辺は妥協するか。
あとはイゼアが帰ってきてからか。
手が足りねぇな・・。
よくよく考えれば俺は指名手配の身だ。
てめぇで動こうと思ったがそもそも動くことさえできやしねぇ。
手足がいる。この際奴隷でいいか。
マッピングで奴隷商人は確認してある。
行ってみるか。
その前に、金が足りるかも分からん。
ちょっと寄り道してお布施してもらおう。
スラムのファミリーを1個潰し資金を回収。
あんまり大きなとこじゃなかったが、全員脅しまくって貯金の在り処を吐かせた。
その後、俺の存在がばれても困るし、痛みを感じないように皆さんを輪廻の旅へと招待した。
同じようなことをもう1カ所終えるころにはもう夕方を迎えていた。
締めて金貨122枚。
スラムにいても悪い奴らは結構ため込んでるんだな。銀貨12200枚と思えば大金だ。
それにしてもスラム街にいるとは思えない服装のやつがいた。
多分貴族だろうが面倒なんで一緒に殺してしまった。
お金たっぷりもらえたのはあいつのおかげな気がする。
200人ほど殺したせいで血の臭いがすごい。
風呂でも入りたいがそんなものスラムにあるはずもない。
しょうがないので水で洗ってから奴隷商の元へ。
また来るって言ったわけだし前の奴隷商人のところを訪ねた。
『いらっしゃいませ!おや?前にいらっしゃった方ですね。』
前同様油ギッシュなおっさんがまた出迎えてくれた。
さすがに商人。顧客はある程度覚えているのか。
「ああ。今回は購入を考えたい。」
途端に嬉しそうに手を揉むおっさん。
『ありがとうございます!用途はなんでしょうか?また亜人、人間、獣人様々ご用意しております!』
「戦闘用で頼む。魔術が使えるのがいたらありがたいんだが。」
『魔術使用可能な戦闘用奴隷ですか・・。ならば、エルフか人間ですね。
生来の奴隷で魔術が使えるものを取り扱ってますので魔術師よりは当然格落ちです。
まぁ魔術師が奴隷落ちするなどほとんどありませんので。
ただいまご用意しますので少々お待ちください。おいっ!』
パンパンと手を鳴らすと使用人が走ってきて要望通りの奴隷をこちらへ連れてくるように店主が命令する。
性奴隷のほうが高いのだろう。
待ってる間性奴隷の売り込みを必死にしてくるおっさんを適当にあしらっていると、奴隷が連れてこられたようだ。扉が開いて3人ほど入ってくる。
『お待たせしました、テラ様。こちらが当店が現在扱っている魔術使用可能な奴隷になります。』
そういえば・・。奴隷契約のとき名前を教えたんだったな。
指名手配されている身だ。こいつが売らんとも限らん。
いっそここで殺るか・・?
すっと目を細めると、殺気が漏れ出ていたのか店主が蒼白な顔をしてこちらを伺った。
『どうなさったのですか?お気に障るようなことがございましたか・・?』
まぁいいか。
決定的な動きをするまでは放置しよう。
「いや・・。何でもない、すまなかったな店主。」
『左様でございますか。それでは紹介させていただきます。』
そう言うと店主は使用人を下げて奴隷3人を俺の前に立たせた。
+++現在のステータス+++
名前 ???→テラ
年齢 20
出身 地球→不明
身分 出身地不明により流民
所持金 金貨122枚銀貨541枚
スキル(★1~★5まで)
★5 ジャッジメント(神罰LV2)
★5 マッピング(邪神クラス)
(敵対生物表示可、建物家屋検索可能。味方検索可能。)
★1 自己鑑定(詳細LV2)
加護 邪神(地球)の加護(全ての言語の読み書き可能、会話可能)
祝福 2外道の道(弱者を殺せば殺すほど、非道な殺し方をするほど能力上昇)
5不屈の意志(契約を破ると能力低下、契約を履行する限り能力倍加)
呪い 1黒き選択(発動中) 3不信の心 4勇者への道 6殺戮の咎
7対立の導 8魔王への道
使命 神々により召喚された異世界人3名の抹殺(期限まであと50年)
間に合わなかった・・・。無念であります。




