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武部俊一「宇宙開発の50年」朝日新聞社
「のちに実験担当者が明らかにしたところによると、打ち上げから数時間後、キャビン内の過熱やストレスで死んでしまっていたらしい。いずれにせよ、ライカは宇宙で命を落とした初めての生き物となった。」
アメリカとソ連の冷戦の副産物として発展した、米ソ宇宙開発。米ソ宇宙開発がどのように行われ、そして現代の宇宙開発にどのような影響を及ぼしたのか、人工衛星やロケットの開発を、資料や取材などから組み上げられたエピソードから読み解いていく良書。
コロリョフが率いたソ連宇宙開発チーム、元ナチスドイツの軍人であるフォンブラウンが率いたアメリカ宇宙開発チーム、双方の駆け引きと開発競争の過熱が淡々と描写されており、当時の熱狂がどこかかいま見えてくる。
ぼくにとって、この本はある種衝撃的でもありました。平和宇宙開発・利用を理念とするわが国のJAXAと違い、他国の宇宙開発はあまりにも軍事を基本にしたものだったからです。でも、よくよく考えるとそれが宇宙開発のあり方なのかもしれないなぁ、としみじみ思うこともあります。