小島直記「鬼才縦横 小林一三の生涯」日経新聞出版社
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。」――小林一三
文筆業に憧れる慶應義塾大卒の遊び人が三井銀行に入行したものの、周囲の雰囲気に合わずダメ行員の烙印を押されながら退職。後になにの因果か鉄道ビジネスに目を向けはじめ、かつての遊び人は今や関西地区では知らぬ者がいない、同時に日本中の鉄道会社経営手法に強い影響力を与えることになった、巨大鉄道会社グループを作り上げることになる。
阪急電鉄グループの創業者、小林一三の苦難と困難の乗り越え方を記載した良書。
商売にとって信頼がどれほど大事なものか、人脈をつくり守ることがどれだけ大事なことか、この本は教えてくれます。
また、混沌とした時代には発想の転換が求められるということも、教えてくれます。
一三は「人が多い場所に線路を敷く」のではなく「線路を敷いた場所に人を集める」という理論をかざし、宝塚少女歌劇や温泉、ターミナルデパートを成功させてきました。
読むだけで、エネルギッシュな彼の一端を知ることができます。
スゴイ経営者とはどのようなものか。ぼくが名前を挙げろと言われたら、
小林一三の名前が真っ先に浮かんできます。
本を通じて語られる彼の言葉は、ぼくの人格形成に少なからぬ影響を与えました。