「お前はただの現在にすぎない テレビになにが可能か」朝日新聞出版
「イエス。テレビ=わたしはただの現在でありたい。」
TBS成田空港事件をきっかけにし、TBSを辞め、後に日本最大の制作会社、テレビマンユニオンを設立した、テレビ最前線を走り続けてきた男たちの、「テレビに何ができるのか」という問いかけ。
この本は実に非論理的な構成で、【本を読む】という姿勢で文章を追いかけると疲労すること間違いなし。テレビ番組の生放送のように、情報が次から次へと文字として流され、「テレビに何ができるのか」という問いかけが、何度も様々な立場のテレビマンの言葉によって、リフされていく。
今読み返してみると、当時の左翼的雰囲気が全面に滲んでいて、この手の思想に苦手意識を持っている方は、読み進めていくうちに、怒りを覚えるところもあると思う。
しかし、この本の大事なところは、そんなどうでもいい思想などという古錆びたところにあるのではなく、テレビマンたちの葛藤と理不尽への対応と、本を通じてマスコミ社会にテレビに何が可能かを問いかけ、番組をつくるテレビマン自身が自分たちの決意を宣言した部分にある。
テレビマンを目指す人間にとって、この本はとても魅力的なものです。
目指さない人間にとっても、自分の仕事とは何か、何が可能かを問い直す、
一つのきっかけになるのではと思います。